「愛の花」

良く晴れた静かな夜
妖精たちが、ザワメキ出す…

今日は、年に一度あるハレの日
森の中に愛が満ちる日

仲間を
思い遣り
慈しみ
いたわり
友愛の心を込めて
光の魔法を妖精たちが宙に放つ

青く
眩く
美しい
光が辺りを照らす…やがて
光が集まって、凝縮されていく…

宝石みたいな丸い玉がフワフワ宙に浮いている
妖精たちは、魔法を更に強めていく…
優しい気持ちを込めて…

宙に浮かぶ玉の中で、ぬくもりが形を作る
温かい気持ちでできた淡くて綺麗な赤い♥

森を照らす光に誘われて、
動物たちが集まってきた

その光景に動物たちも祈りを捧げる…
「これからの一年も、
みんなで幸せにいられますように」

動物たちの想いを受けて♥が更に赤く色づく…

やがて、妖精たちの、動物たちの、お互いを大切に思う気持ち…「愛」を養分にして玉の上に緑の植物が根を張り、茎を伸ばし、葉を広げた

妖精たちも
動物たちも
更に強い愛を玉へと送る…しばらくすると…
大きな赤い花が咲いた
青かった辺りを今度は赤い花が赤く染める

いつもは静かな森が大きな歓声に包まれる

今日は、年に一度あるハレの日
森の中に愛が満ちる日

妖精たちも
動物たちも
入り乱れて、抱き合って、愛の花が咲いた今を、満面の笑顔で祝い合っている
森中に幸せが満ちていく…

みんなの愛がつまった花は大きく大きく成長していく…

鮮やかな赤が、みんなが見上げる空を覆ったら、花びらが一枚、また一枚…と剥がれて落ち始めた

大きな花びらが、ひらひら、ヒラヒラ…宙を舞って落ちていく

花びらが、地面に落ちるとソレは、動物たちと妖精たちの絨毯になった
フカフカで座ると穏やかな気持ちに満たされる不思議な絨毯…

妖精たちも
動物たちも
花びらの絨毯に寝そべってウットリ気分♪

愛の花は、スッカリ花びらが落ちてしまった…
だけど、その代わりにまぁるくて大きな実をつけていた

実は、どんどん大きくなっていく…
それにつられて、宙に浮いている玉も大きくなっていく…

やがて…大きく膨らんでソレラは耐えきれずに弾けた！！

天使のラッパみたいな綺麗な音を森中に響かせて弾けた！！

赤や青とか黃…ソレラが合わさった紫とか緑に橙の光が森を彩る

ソレはまるで人間が打ち上げる花火みたいに…

そうやって、凝縮されていたみんなの愛が森を包む…

その光景を花びらの絨毯に寝そべって見守る
妖精たち、動物たち

みんな、最高の笑顔を浮かべてる

今日は、年に一度あるハレの日
森の中に愛が満ちる日

また一年間、森の中に穏やかな時間が流れる…

おしまい