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「小品を吹こう」#11《グルック/精霊の踊り》

こんにちは!
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さて、今日は11曲目、グルック作曲精霊の踊りです。出版によっては妖精の踊り、とも書いてます。

https://www.youtube.com/watch?v=p_KL1jGeVfM

毎度私事で大変恐縮ですが、この曲もいよいよ中学生になり随分と息も続くようになったころ、フルートの発表会で与えられた曲です。もっともその時はメヌエット部分は省いたpoco piu lentoの方のみで、初めて32分音符で表記されている譜面で難しそう!!と思った曲でした。

これから前置きを少なくしてみます。

**クリストフ・ヴィリバルト・グルック(1714~1787年)**

グルックは丁度大バッハの息子であるC.P.エマヌエル・バッハと同時期の作曲家です。ちなみにエマヌエル・バッハは同じ1714年生まれで亡くなったのがグルックより1年しか違わない1788年です。活躍した国は違いますがドイツ生まれというのも同じでとても興味深いですよね。いつか比較してnoteにも上げてみたいですが、まずは小品集を先に!!

オペラの偉大な改革者とも言われ、この曲はギリシャ神話をもとにした歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」第2幕2場で使われている曲で、後にあまりに美しい旋律なので独立した曲として有名になりました。また、この曲は「メロディー」という曲名でも知られています。

このようにオペラや歌劇から独立して有名になった曲は結構ありますね。オペラではありませんが、ビゼーの「アルルの女」やラヴェル「ダフニスとクロエ」等、やはりその中で流れる美しい旋律と物語は人々の心を動かします。

**ギリシャ神話とオペラ**

さて私は神話がとても好きなんですが、全てではないけれどいろんな国の神話をいくつか読んでいて思ったのは、どの国にも伝えられている共通の内容があるのですよね。
全てがどこかでつながっていると思わざるを得ません。

この「オルフェオとエウリディーチェ」の話も、結末は少しずつ違ってはいますが、「あ、この話あの神話にもあったな・・・」とかあります。

同じようなお話は日本の古事記にも存在していますし、多くの神話は多神教ですが、神々と言われているのにこんなことしてたのか~と美しさから離れてしまっているような物語になっていたり共するのは興味深いです。

オルフェオとエウリディーチェのお話は亡き妻を思い黄泉の国まで行って会いに行き、そこの神さまが「ここから連れて帰るまでは妻の姿を見てはならない」と言われますが我慢できずに振り返って見てしまうんですよね。

これ、古事記のイザナキノミコトとイザナミノミコトの話でもそういう箇所があります。

どちらも「黄泉の国の妻を見てはいけない」と言われ見てしまうのは似ていて、その後の事柄が古事記の方はイザナミが信じられないような姿になっていたのを見て命からがら逃げかえるのですが、ギリシャ神話では見てしまった瞬間に冥界に引き戻されオルフェオは悲しみに暮れ過ごすことになり、その間オルフェオはどんな女性からの誘惑にも乗らず二度と女性を愛することはなかったようです。
しかも、オルフェオはよほど男前だったのでしょうか、フラれた女性たちがら侮辱された思いから彼を八つ裂きにして捨てられたという怖い話になってます。怖い(>_<)

しかし、オペラでは「愛の神」と言われる神さまが存在し、オルフェオの悲嘆に暮れる姿を見てエウリディーチェを蘇らせ2人は一生別れることなく暮らした、という流れになってます。
しかしこの内容も調べて分かったことなのですけれど、なぜかちょっとずつ違っていたりしてます。
まぁ、きっとここはオペラとして美しい展開にするために聖書的な?作りにしたのではないかと勝手に解釈してますが・・・。

**練習のポイント**

最初のメヌエットの速度表記にはLentoとありますので、ゆったり踊るような速さですね。そもそも舞曲の中でもメヌエットは早くないのですが、この曲も気持ちよく流れるテンポで妖精が祝福しているかのようなイメージで演奏すると良いです。イメージ力大事!

そして、同じ4分の3拍子でも中間部は例の32分音符が沢山でてきますがPoco piu lentoの表記があり前半よりもさらにゆっくりとしたテンポになります。

c-mollに入ると、オルフェオが失意の中冥界にいるエウリディーチェのことを想う気持ちが描写されているのかもしれません。

さて、そのテンポの移り替わりをどうしたら良いのか・・・というと、私が良くやることは最初のF-Durのところは3/4拍子を四分音符一つを一拍として数え、c-mollに入る手前から少しゆっくりに、今度は先ほど4分音符の一つの速さのまま八分音符(♪=♩)として数えます。

そうすると自然な流れでc-mollに入ることができます。

3拍子の感覚は持ったままこの作業に入るのですが、6拍子として数えることで16分休符や32分音符をとらえることができます。

多分、皆さんもやってることかもしれませんが。

**休符、32分音符がなかなか取れないとき**

さて、さらに少し行くと32分休符から始まる箇所ですが、なかなか正しく入れない人も多いはずです。まずは休符のところを次の音と同じ音で32分音符にして「ドドレミレー」と何度か吹いてみましょう。

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慣れてきたら休符のところを「ス」という発音にして「スタララター」と言葉で言ってみましょう。そうやって休符の感じが身に付いたらフルートで吹いてみてください。

あとは前打音の取り方はここは長前打音ですので16分音符にして休符の前の音はやや長めにして切り上げ次へ繋げます。
または、装飾音符らしく少し早めに次の音に移る演奏する人もいます。

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まるでため息を吐くように吹くと良いと思います。

あとは、同じようなフレーズが3回続くところがありますが、ここは音楽の基本原則、1=2<3(数学の公式ではありません)1回目と2回目は同じですが3回目はその次への展開となりますので、それを意識して3回目は少し広がりを持たせるように意識したいですね。

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この中間部は悲しげですが、とても美しい旋律ですので音色、歌い方トレーニングとしても参考になりますので是非レパートリーに入れて挑戦してみてください。

**まとめ**

私も大好きなグルックの精霊の踊りですが、この曲を初めて聴いたのは私が小学4年生か5年生頃母が初めて私に買ってくれたレコード、イタリアのフルーティスト、セベリーノ・ガッゼロー二のフルート名曲アルバムに入ってました。

何度も聴きすぎて溝が擦り切れ音が聴きとれなくなってましたが、その後随分経ってガッゼローニも亡くなり、CD復刻版が出ました。すかさず購入してみましたが、レコードのような音質ではなかったので少し残念に思いました。

それと、かのマルセル・モイーズはフランスにいたときパリのオペラ座でこの歌劇が上演される度にゲストとして招かれソロとしてこの精霊の踊りを演奏していたそうです。

そのモイーズの復刻版のCDにも入っていて、やはり音は劣化してますが歌い方などは大変参考になります。機会があれば聴いてみてください。

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