【読書】北田暁大「 終わらない『失われた20年』」

北田暁大さんの本「 終わらない『失われた20年』」を読んだ。最初の方の上野千鶴子先生に物申す的なことが記されているが、感情的なのに論理的、という印象を受けた。この2つを両立させることはとても素晴らしいことだと思った。

個人的に気になったのは移民についてである。日本の人口が減っていくことは確実なので、同時に労働力も減っていくことが予想される。現状を維持するためには、外国人の方に頼ることが1つの方法となってくるが、移民が入ると治安が悪くなるという素朴な考えに対して、著者は厳しく批判する。要するに、犯罪を犯すような外国人が移民として入ってくるのではなく、外国人に対して十分な給与を払えていない場合に、彼らが犯罪を犯すという考え方である。これは納得できる。

雇い主が「どうせ彼らは悪いことをしでかすだろう」という信念を持っていて、彼らに対して給与をあまり与えないとなると、彼らは不満をため、最悪の場合には犯罪を犯すだろう。ここでいう「彼ら」には移民をあてはめることも可能だし、女性をあてはめることも可能だし、男性をあてはめることも可能である。雇い主がネガティブな先入観を持っていれば、結果的にその先入観を実現させるような事態になってしまいかねないのである。

それは誰にとっても残念なので、こうした悪循環をストップできるような社会を望む。

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