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SonnyBoy 全話考察 面白かった!

考察というか、感想というか。
全部、生きててぶつかる問題ですよね。
その問題にどう向き合うか、各キャラの振る舞いを見て、学んでいくアニメかなと思います。

「こういう人、いるいる!」「世の中ってそうだよなぁ」ってのがたくさんあって面白かったです。




@夏の果ての島
ルールに生きづらさを感じたら、外の世界に飛び出せばいい。という話かな。学生時代は気付けないけど、意外と世界は広くて明るいんですよね。でも外の世界にもルールはあるから、適応しないといけないです。
ぱっと暗闇が晴れたのが素敵すぎる演出で、思わず「あ、そういうこと〜?」と声が出ました。
世界のルールを攻略(=社会問題にどう向き合うか)を考える旅が、ここから始まります。

@エイリアンズ
たぶん資本主義の話。楽して手に入れたものは、残らない。そのまま利用してると痛い目を見る。燃えてしまうというルールですね。
協力するのが当たり前だと思って利用されるのに腹を立てている瑞穂。それでもニャマゾンしてて偉いと思います。それが燃えたって知ったこっちゃないよね。分かる。
この問題はラジダニが解決します。
あとは、ひとりが何かした程度では、世界は変わらないということを前向きに言ってますね。

@下駄を履いたネコ
いじめと引きこもりの問題。引きこもりは、やりたくてやっているんじゃなくて、ゆるやかに全体的な圧力で、結果として引きこもりになってしまうという話。自分の意志ではないから、解決するには誰かの手を借りなければならないというルール。
長良と瑞穂以外の生徒が無関心で無責任なのが、リアルな光景だなぁと思います。

@偉大なるモンキー・ベースボール
娯楽の問題。プロ野球が金銭を目的とした催しである以上、思惑の渦巻くエンターテイメント。そんな中でも公正であるサルはかっこいいですね。でも自分の正義を貫いたサルは死んじゃう。娯楽は正義を殺すし、人は正しさより楽しいことに流される。
とはいえ、スマホはいじってしまいますね。

@跳ぶ教室
陰謀論と政治の問題。肩書きと服装に人は騙される。政治にうんざりすると、カルトにハマりやすいという話。
明星(政府側)とアキ先生(陰謀論)の対比が面白いです。
どっちに流されるか。流されず、どちらにも従わないか。キャラの個性が出てますね。


@長いさよなら

事実と報道の問題。報道されるのは事実というわけではなく、世間を煽る側面があります。校長(権力者)が都合よく決めていて、明星(メディアだの)がその風潮を強めるだけ。それにアキ先生ら(陰謀論者)も加担します。
逆らおうとフィルムを作ったところで、巧みに希望を潰し、行動しても無駄だと諦めさせてくる。
結局は権力者のシナリオ通りで、本当に世界は簡単に変わりませんね。

@ロードブック
労働階級の問題。世界はこういうものだからと思考停止で働いても、最後は喰い潰されてしまう労働者(二つ星)。
対称的に、明星が晴れやかな顔で「もっと早くこうしてたら良かった」と言ったのが印象的でした。権力者の声が自分にとって正解とも限らないからね。
ただ、方舟さえシナリオなんだけど、自分の意思で乗るか否かで気持ちは違ってくるものです。

@笑い犬
たぶん憲法の問題?ヤマビコのコダマへの変化でいうと、コダマは平和条約だか9条的なやつかな。
コダマに反発してたのが安保反対期。可決後は犬になり、受け入れる。犬は主従関係の象徴なので、憲法は万能じゃないし従うだけではいずれ戦争に利用されちゃうよってことでしょうか。あとは戦争の目的が「神殺し」なので、ちょっと天皇制度の存在がチラつきますね。
うーん、ヤマビコの回想は人によって解釈が変わりそうですね。コダマは科学とも思える。
ただキズアートはそのまま、戦争による傷跡だと思う。見せびらかすモノじゃないからコダマは怒ったんです。美談にしてはいけないことだから。

@この鮭茶漬け、鮭忘れてるニャ!
思想と政治の問題。本来は共にあるものだけど一本違えば分断し、争いに転じる思想と政治。ここにも陰謀論(アキ先生)は関与していて、色んな人間の思惑が渦巻くからなかなか決着はつかない。争いを理由に命は軽視される傾向(サクラ)があり、いざ勝敗がついても大きな穴が残るだけ。人の行為の愚かさがありますね。
冒頭、猫ちゃんが「権利がどうの」と主張をしていて可愛かったです。

@夏と修羅
カルト問題。選ばれた人間だの、世界が崩壊するだの、天命を授かっただの、スケールの大きなセリフが飛び交いますが、いざ直面した戦争に、大した脅威はありませんでした。
というか、ヤマビコの回想と見た目がかけ離れているし、ニセモノの戦争なんです。傷アートも無いみたいだし、銃に変わったから戦争ビジネスの示唆でしょうか。
戦争だとか神という存在をデカデカと掲げて利用する組織って実際にある。
現実から目をそらしてカルトに流された結果、大切なもの(希)を失ってしまった朝風をどう思いますか。

@少年と海
死生観の話。生物は何を持って、死とするか。
ロケット製作中に「こっちはもう使わないの?」という長良の問いかけに、「こっちのほうが便利だから」と言ったラジダニ。アリの件でもだけど、人間の都合で好き勝手にムダを生んでいることって沢山あります。自然淘汰。だけどラジダニは森になったので、マジで好き過ぎる。

@二年間の休暇
現実と未来の問題。これからどう生きるか、世界はやっぱり変わらないかもしれないけど、すべては自分次第。
過去は決して消えないから、前向きに思える時間の重ね方をしたいですね。



以上。

個人の解釈なのですが、何よりセリフが全部ステキで、12話があっという間でした。充足感があります。

資本主義、等価交換、野球娯楽、陰謀論、救世主、伝染病、戦争、権利団体、政治。
人間社会を構成する要素をモリモリに詰め込んでるデラックスセットですね。

特に、校長とアキ先生の存在がユニークでした。
持って生まれたカリスマ性やら影響力やら財力やらで、社会を扇動する存在。

アキ先生に限っては目が特徴的だし、分かりやすいメタファーですね。朝風は、刺激的な存在(おっぱい)に魅了され、甘い言葉に惑わされてふらふら言うこと聞いちゃってましたね。
それに対比する明星の存在は、政府側を示してるのかなと。
政治にうんざりすると、カルトにハマりやすくなる。それでも希や瑞穂のように意志をしっかり持った子は自分の道を選べます。

校長はさらにその上の「世界のため」「平和のため」「人類のため」を謳うグローバリストでしょうか。

さて、そんな不条理な社会に、どう向き合うか。

最終回は、瑞穂の言葉と重なるけど、私も長良は大丈夫と思います。
コピー世界から飛び出せた長良のままなら、どうせ希とまた意気投合するし、交流できる機会は出てきますから。

だって自分と同じもの(燕の巣)を気にしてる男子ってポイント高くない?
朝風は燕ベイビーのこと「どうすんの、そいつ」とか見当外れなこと言ってるし、どうせ会話も愚痴中心でつまんねえ男だよ。

大丈夫だ、長良。朝風は意外と敵じゃない!

そして、先はまだ少しだけ長いから!
急いで事を進めなくても大丈夫。

私達が観れるのは最終回までだけど、長良も瑞穂もまだ高校生ですもんね。色々大変だけど一緒にがんばろ〜

彼らの漂流生活を通して学べることが多い作品でした。
また少し時間を置いて観てみると、違った印象になるんだろうなと思う作品です。

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