ありふれた愛と幸せ
お借りしました😊
高校生の頃、
私は全国を転々とした。
父の仕事と称して身を隠す。
あまり知らないお家にお世話になったりならなかったり。
またもや、別の人を演じて生きていく。
私は私を生き抜く為だ。
仲良くなれる友達もいれば
馴染めない街もあった。
どんな家族でもどんな職でも私をみて判断してくれる人もいれば父のことを知った人は
それまでよくしてくれても手のひらを返したように離れていく。
父を利用する人もいれば私を利用する人。
10人いたら10通り。
そんな人間を観察しながら体験しながら
生きてきた青春時代。
一つの町へ行った時のその時の物語。
港町のその場所は
どのくらいの期間いたのだろうか。
短かったのだろうと思う。
転入をし、
周りのクラスメイトは興味深々。
その中でクラスの中心にいたお調子者の男子がいた。
人の輪の中心にいて、クラスをまとめ
人が必ず彼の周りに集まる。
今の言葉でいう【陽キャ】
という人物だろうか笑
名前は蒼甫そうすけ。仮。
転校してきた私に人見知りする事もなく
笑いながら話しかけてくる。
その周りに常にいる男子や彼を好きなんだろうなーと必ず側にいる女子。
仲良くしようかと心を開こうとしたが
問題が起きる。
大体、こうやって全国移動をしているときは
幼馴染も同じだ。
時間差があるときもあるが
大体同じ町や近場、そして同じ学校などにいる。
幼馴染の兄の1人が大体問題をおこし、
大人しくしていた私にもとばっちりがきて
父親がヤクザだと知られる。
そして大体の人が離れていくのだ。
友達が大丈夫でも
その事をきいた親が反対をする。
まぁ仕方ないが。
だから私は仲良くなるのも期間限定。
なんなら、
今回はどの位バレずにいれるのか自分で自分を楽しみ出す。
ゲームオーバー。
【あーぁ。仲良くなれそうだったのに】
ため息をこぼし、
その町を後にする。
今回の港町ではどんな出会いがあるのか
どんな人間に会うのか半分怖いけど
生きていく為には移動するしかないのだ。
どこか冷めた感情を持て余しながらも
どこかで期待する。
【今回こそ、青春を過ごしたい】
そんな中、出会った蒼甫そうすけ。
彼といると楽しかった。
でも怖かった。
そしてそれがすぐにやってきた。
皆んなと敢えて距離をとる。
それでも近付いてくる蒼甫に私は
敢えて冷たくしたのだ。
嫌われるように。
迷惑をかけないように。
側にこないように。
大切だからこそ、距離をとる。
そんなやり方を覚えた青春時代。
クラスメイトが私の態度にキレて
怒っている。
理由も話さなかった。
理由を言っても蒼甫はきっと
私を嫌らわない。離れないと思った。
だから理由も言わずにいた。
父親がヤクザでその事がバレたら
迷惑を掛けてしまうから。
そんな事を話して
手のひら返しするような人じゃない。
優しくて温かい人。
そして私はあっという間にこの町から姿を消した。
それから数年後。
社会人になった私はその町に戻るきっかけがあってひっそりと暮らしていた。
この数年の間に父が亡くなったり環境が変わったり学生じゃなくなったり幼馴染との関係で
東京にいたり。色々と会った。
そんな時
蒼甫と再会する。
クラスメイトは
少しだけいた私の事なんて忘れているだろうし
日々、その時のクラスメイトに会いませんように。
そう願いながら過ごしていた。
蒼甫は覚えていた。
【うわっ最悪だ😣⤵️】
よりによって蒼甫に会うとか。
蒼甫は
目がクリクリでジャニーズにいそうな顔をしている。
頭は良かったかは忘れたけど
スポーツができてお調子者。
友達に囲まれていて毎日楽しそうに生きている陽キャラオトコ😂
毎日お祭りですか?😂
そんな人だった。
私は逆に
秘密をかかえ、周りと距離をあえて取る
不思議な子そんなとこだったんじゃないかな。
少し大人になった私達は
敢えてそれでも距離をとって離れようとする私と
グイグイとやってくる距離を詰め寄る蒼甫との
戦いが始まる。
蒼甫が偶然会うところからわざと会いにくる
そんな事が増えた。
どんなに冷たくしても
どんなに突っ返しても
どんなにどんなに無視しても。
絶対折れない。
私はそんな蒼甫に降参した。
降参して
蒼甫を受け入れてからは
蒼甫は更に会いにくるようになる。
クラスメイトにも会わせようとしてたけど
お断りした。