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#76 わたしの不調撃退法/及川恵子

雪国における健康的在り方 -冬編-

【往復書簡 #76 のやりとり】
金曜日:くろさわかな〈なんか体によさそうなものを
月曜日:及川恵子〈雪国における健康的在り方 -冬編-〉
水曜日:泖

私も黒澤さん同様、年齢を重ねるのが楽しいです。
もちろん40歳に差し掛かろうとしている今は老化の入り口にいるような気がしていて、体から「もう無理です」という警告を受けることもあるのだけど、その一方で感受性はさらに高まっているような気がするんですよね。こんなこと自分で言うのは恥ずかしいし、実際そうなのかはわからないけど。
「ああ、これが年齢を重ねることなのか」と感じることも楽しい。
そして、実年齢と中身がまったく見合っていない私が、いつそのバランスに納得いく日が来るのか、というのも楽しみ。そう考えるとこれからの人生もなんだか楽しそうです。

とはいえ、これを書いている今だって私は不調とともにあるわけで。
PMSはひどくなる一方で調子のいい日なんて1ヶ月に1週間あるかないかだし、鎮痛剤はいつも手元に置いているし、心だってまともかどうかわからない。ベッドに沈んでしまいたくなる日も多々あります。

しかも最近ずっと雪続きじゃないですか。寒い。つらい。寒いはつらい。
山の上にある私の自宅の周囲は、連日真っ白な世界です。
ということは、体調がつらくても、しんどくても、雪掻きをしなければなりません。それなのに、雪掻きをするそばから雪、降ってきやがる。積もってきやがる。
自然に対して怒ることはすごく無意味なことだと思っているけれど、マジで腹が立つ。雪、お願いだからもう降らないでくれ。

でも、ここぞとばかりに私のA型気質が発揮されるのか、完璧に綺麗に雪を掻きたいんです…。
玄関ポーチにも、駐車場にも、家の前の道路にも、雪ひとつ落ちていないようにしたい。とにかく地面を見たい、見せたい。
そして一心不乱に雪を掻く。きれいになった家の周りを見る。
そうすると、なんか妙にすっきりしているんですよね…。
料理をすると頭がスッキリするのと同じように、雪かきをすると妙に体がすっきりする。不調もちょっと整う気がする。

これはどういうことなんでしょうね。
やりきった!という満足感が心身を満たしてくれるのか、身の回りをきれいに整えることが心身のもやもやを取っ払ってくれるのか。ただただ体を動かすことで爽快感を得ただけなのか。
もしくはそのすべてなのか。

理屈はわかりません。わからなくてもいいんです。不調とちょっと距離を置けるのならば。
右腕の程よい筋肉痛は残るものの、最近の私はこうやって不調をうまく放りながら過ごしております。

…春になったらどうすんの?

及川恵子