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#41 お守りさん/及川恵子

A3用紙に、詰まっている

これ、私の手帳です。

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(今までは「ほぼ日」でしたが、今年はLoft限定のビジネス手帳「view」を愛用中)

私はこの手帳の一番後ろに、お気に入りのものたちを詰め込むくせがあります。
・ゴッホ展で買った「薔薇」のポストカード
・ソール・ライター展で買った「赤信号」のポストカード
・大好きな劇団四季の「オペラ座の怪人」を見に行った時のチケット
・友人たちと撮ったプリクラ
・「さよならたりないふたり」のステッカー などなど…
(わたし、ポストカードが好きなんだなあ…)

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きっとみなさまにはガラクタに見えることでしょうけど、私にとってはひとつひとつ思い出深く、どうしても捨てられないものたち。
そしてこの中に、私のお守りがあります。

それが、これです。

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京阪神エルマガジン社から発行されている、「Meets Regional」というライフスタイル情報誌をご存知でしょうか。
大阪を中心に、京都や神戸などの関西の色と情報を存分に詰め込んだ、とても魅力的な雑誌です。
(ちなみに仙台の書店でもよく見かけます)

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私は、タウン誌編集部に勤めていた頃からこの雑誌が大好きでした。
なんというか、雑誌が動いて見えるんです。いや、動いているんです。
デザインによるものか、はたまた写真によるものか。
それとも、編集者の心意気なのか。

東北人とは真反対の、関西特有の匂いを撒き散らして、誌面が動いてくる。香ってくる。迫ってくるんです。

さらに、どんな特集もおもしろい。
勢いと緻密なこだわりが込められた、ミーツらしさは絶対に忘れない。
だから、流行をなぞるようなことはしない。
かといってニッチに走るわけでもない。
そうした、フォーマットに自分たちを押し込めない自由を謳歌している感じに非常に憧れを抱いたものでした。

そしてこのコピーしたものは、ミーツ創刊から16年間編集長を勤め上げた江弘毅さんのインタビュー記事です。
誌面をコピーしているうえ、その写真まで掲載してしまっている自分に引目を感じているので何を語っているかの詳細は割愛しますが、
(本を作る者のひとりとして、雑誌や漫画の転載は絶対に許せないので…)
この中で江さんは、本を作ることについて

「自由でいい」
「好きなことを考えてみたらいい」
「編集の寄り道を楽しめ」


のような言葉を語っているのです。
原点に立ち返るとは、まさにこのこと。
江さんの言葉を読んでいると、本当に元気になれる。
「これ、中の人が本当におもしろくてつくったんだろうな」と思ってもらえる本をつくりたくなる。
当たり前を当たり前のまま受け取ってしまっていた自分の肩を強く揺さぶって、枠を外して、ほぐしてあげたくなるのです。

だから、このA3のコピー用紙こそが私のお守り。
本作りに行き詰まった時、言葉がうまく出てこなくなった時、いつもここに立ち返っています。

及川恵子

※ちなみに手帳には、とある人からいただいたサインも忍ばせています…。どなたのものかわかるでしょうか。最高のエンターテイナーであり、私の中のキング オブ ポップスターです。

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