9.リユース着物はエッ………
リユース着物には、独特の色気があると思う。ここで色気をセクシュアルとか、性的魅力があると言い換えてしまうと、全然違う。とても意に反する。
私が言いたい色気というのは、「なにか惹きつけられる魅力があって、不用意に目を逸らしてはいけないと思わせる雰囲気がある」ということだ。
使い古された着物は、ただそこに置いているだけで、じっくりと何かが立ち昇る。何かとはなんだろう、なんと言えばいいだろう。
例えば、その着物が持っている過去だろうか。どこかの誰かが着物を仕立て、素敵な場所に着て出かける。その着物はとても美しくて、たくさんの人に褒められた。でもどこかで「もういいかな」と誰かに判断され、手放された。そんな輝かしさと、寂しみがどんな着物にもきっとある。
リユースの着物からは、なにか気配がする。まるでひっそり生きているかのように、微かな気配がすると思う。無言のまま、なにかを訴えてかけてくる。
大切にされた歴史が、着物になにか宿すのかもしれない。八百万の神とまでは言わないが…なにか確かな存在感があるのだ。
なにか、なにかとうるさくて本当に恐縮なのだが、やはり「着物にわか」のわたしではうまく言い表せない。その得体のしれない魅力を、便宜上、色気と言っている。
リユースの着物はエロい。
「ああ、そうだよね。着物の着姿って、そそるものがあるよね。」など、私の意図とまったく違う伝わり方をしそうで、なかなか声高には言えない。ただ、それでもリユースの着物はエロいと思う。
絶対に同意してくれる着物好きはいるはずだ。きっと、その人も人前では堂々と言えないだけで。
あぁ、気のおけない着物友達が欲しい。その人と一緒に、着物から立ち昇るなにかの正体を一緒に解き明かしたいから。
その時が来たら、持っている中で1番エロい着物を着ていくのだ。
ライライ