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音のない夏

蝉が鳴く暑い暑い夏の午後
時折混じるサイレンの音に耳を澄まして
ただその場に立っている
佇んでいる

音が飽和して何も聞こえない何しか聞こえない
耳を塞いでも何も囀らない心音さえ聞こえない

ふと世界から音が消え
暑さだけが残る感覚に
そっと目を開け口を開けた

蝉も鳴かない暑い暑い夏の夕方
覆い被さる様に手を拡げた入道雲が
焼けた湿度と暗闇を連れてきて

孤独と熱気を流そうと
逃げもしない私を押しつぶす

ああ、私は空が飛びたい

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