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付け焼き刃に頼らないで

 最近、「何やってるんだろう?何がしたいんだっけ?」と思うことが多い。先行きが不安になってきた。どうも暗雲が立ち込めてきた気がする。このまま、婚活も長期化するだけして誰とも結ばれることなくいつか「もう結婚なんてしなくていい」って思いそう。本気で心の底から「もう結婚なくてしなくていい」と結論を出せたなら、そこが私の婚活のゴールとしても問題はないけど。本心を押し殺して「私は結婚しないって決めてるから」なんて周囲に語りながら自己洗脳を施す姿が最近は結構リアルに想像できる。

 そう、「本心を押し殺して」。これが私は結構得意なんである。

 過去、人と話すことが苦手で閉じこもりがちだったわたしは、大学卒業後に就いた接客業の仕事で早々に躓いた。そこで「演劇」を学びに行き、感情解放のレッスン等で自分で自分にスイッチを入れることを覚えた。それから明るく振る舞えるようになって、売上は見違えるほど伸びたし、会社内外でのコミュニケーションは驚くほどうまく行くようになった。

 だけど思い返せば、そうやって付け焼き刃のやり方で乗り切ってしまったことが、それを成長だと誤認したままここまで来たことが、わたしの間違いだったとも思う。だって本質的には「切れない刀」のままなんだもの。

 コミュニケーションは本来、実際の人間関係の中で何度も繰り返しトライして失敗してたまに成功した中から学びながら、徐々に自分自身を成長させることでできるようになるものだと思う。わたしの周りの「この人人付き合いが上手だな」って感じる人は、きちんと家族や恋人や友達と向き合ってきた人が多い。時には恐れず踏み込んで、長期的で親密な関係を築いている。

 もちろん「演劇」がどうだとかいう話ではない。演劇を極めた俳優さんにとても人間的に魅力的な人が多いのは、演劇を通して相手と向き合う作業、自分の感情を掘り下げる作業を真剣に行い、その経験と、人間を深く理解しようとする姿勢を身につけているからだと思う。

 わたしはこの真剣に取り組めば人をとても豊かにしてくれる演劇を、中途半端に囓って生半可に使ってしまった。自分をきちんと人付き合いのできる自分に育てる作業より、自分を表面的に偽って相手と向き合うお手軽な方法をとってしまった。それは「自分」のまま人付き合いで失敗して傷つく勇気がなかったからだし、その時「すぐに変わらなくちゃ」と思っていた焦りがそうさせたとも感じる。

 そのことが、今の「結婚できないわたし」「お付き合いしても半年以上続かないわたし」の根本的な原因であるように思う。

 よく言われること。「明るい」「優しい」「おおらか」「人を否定しない」「怒ったところを見たことがない」「話しやすい」そう言われると嬉しい。そんな自分だから周りの人はわたしのこと好きになってくれるって感じてる。

 だけど、自分自身を受け入れられていると感じることが少ない。男性に好きと言ってもらっても心から嬉しいと思えない。人のいいところを見つけるのは得意で、好きだと思って付き合うのに、付き合いが長引くとなんだか疲れる。ベッドの上で心が冷めている。とても苦しい。すぐに別れる。男性はみんな「訳がわからない」という顔をする。

 さて、今日、初めて会った婚活男性、「生理的に無理なタイプ」だった。

 だからランチのお店に入る前からなるべく早く切り上げようって内心決めていた。だけど、ニコニコして相手の話に相槌を打っている。相手の話はちゃんと聞いて話が広がるように質問に気をつける。この人とキスはできないなと思う。知らないお店の話が出たらその場でググって「本当だ、美味しそう!」と言う。

 そうしているうちに45分経つ。相手は40分かけてバスで来ているから、45分じゃ失礼かもしれないと考える。あと15分話すことにする。なんだか話が盛り上がって、いい人のような気がしてくる。1時間経つ。いいところは頑張ったら10個は言えるかもしれない。キスも頑張ったらできる気がしてくる。1時間15分経つ。「そろそろ行きましょうか」と促して退店する。LINEを交換しようと言われなくてホッとする。会ってくれた御礼を伝えて忘れる。

 それで、家に帰ると、その人から「また会いましょう」と婚活サイトにメッセージがくる。

 「また会いたいとは思わないけど、いい人だったし会うべきだろうか、会ってるうちにすごくいい人だと気づくかも。生理的に無理とか失礼なこと言ってちゃいけないかも。でもやっぱりここでお断りしようかな。でもまだお断りしないでもう1回会うかな?あの話し方も最初は不躾だと感じたけど垣根なく人と話せるオープンな人っていうことのようにも思える」と受け入れる方向で最大限模索する。なかなか答えは出ない。

 書いてて、この人疲れないのかな?って思うけれど、わたしのことだ。

 わたしは、これまで積み上げ整えてきたわたしへの執着を捨てなくちゃいけない。

 「これならいける」と信じて取り組んできた自分を捨てて、染み付いた癖も意識して剥ぎ落として、実は何にも成長していないかもしれない(怖い)本心の自分をちょっとずつ引っ張り出そう。

 自分が受け入れられる相手も、自分のことを受け入れてくれる相手も減るだろうけど、それが本当の世界だ。今からでも本当の世界を生きないと、本当の幸せはきっと手に入らない!

 きっと少しずつになる。でも幸せになりたいから。変わっていくんだ。

 まずは本日の方にはお断りのメッセージを送ろう。それだって勇気のいることだ、わたしにとっては。

最後まで読んでいただきありがとうございました! あなたのスキやフォローに勇気をもらって毎日いろんな気持ちを素直に書くことができています。