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1日1作

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デザインサークルDP9内での企画「1日1作」で自分で書いた小説をまとめていきます。いつまで続くかは不明。タイトルは基本的にその日のテーマ。
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2021年3月の記事一覧

泡立つ

 渋谷の一角にあるその場所は、いつでも芳醇な香りが満ちている。その匂いはまるで、僕のような一見の素人を威圧するかのようだった。それでも彼女のために意を決して某石鹸専門店に足を踏み入れる。店内を満たす香りはますます強く、質量を持って僕を追い立てた。店に入るとすぐに店員の一人が声をかけてきた。物言わぬ匂いと違って、店員の眼差しは僕にここに存在することを許してくれるかのような慈愛に満ちていた。店員の質問

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雨、静脈

 目が覚めると、窓の外から静かな雨音が聞こえた。昨日の夜に見た天気予報はあいにく外れていたようで、気圧に比例して俺の気分も最低値を記録している。そのまま布団で一日を過ごしていたい衝動を抑えながら部屋を出て階段を降りた。
 洗面所に入ると、妹の夏澄が泡だらけの顔をこちらに向けた。何かモゴモゴと声を発すると、一歩下がり俺のために洗面台前のスペースを空けてくれた。水は冷たかったが、温水になるのを待つほど

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 やはり追い立てられるなら夕日が良い。メロスも、夕日を背にして走ったからかっこういいのだ。切羽詰まった絶望と、1日の終わりを暗示する夕日は相性が良く、素晴らしい叙情を生みだす。デスクトップのすみでは、システムのデジタル時計がもうすぐカウントをリセットさせて3時から4時に変わろうとしている。当然ながら、午後ではなく午前、つまり夕日の沈む前ではなく朝日が登る前だ。僕は、自分がまた関係のないことを考え始

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生物研のサークルクラッシャー

 彼女は、W大学生物研究会において畏怖と親しみと呆れを込めて「サークルクラッシャー」と呼ばれている。もちろん、部員からそのように呼ばれていることからもわかる通り、本当にこのサークルの人間関係を崩壊させているわけではない。むしろ彼女と関係を持つことによって、メンバーはある種の連帯感を持ってすらいる。傍から見れば非常に奇妙なこのサークルの雰囲気は、彼女の少し変わった性癖が生み出している。

 彼女、戸

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