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【久しぶりの現地観戦じゃないやつ】ファジアーノ岡山vs.モンテディオ山形【MDC会報】


(画像はJリーグ公式サイトからhttps://www.jleague.jp/match/j2/2018/060207/live/#photo)


前節は生ビール、生むっくん、生勝利と最高の週末トライフォースが揃ったおかげでお肌ツルツル、辛かった肩こりも腰痛も皆無という素晴らしい1週間でした。ありがとうございました。チームも首位戦線に返り咲く6月だぞという感じで行きたいところです。



◆試合情報

岡山2-2山形                            岡山:武田(14分)、濱田(70分) 山形:小林(42分)、阪野(50分)




岡山:関戸→斎藤(51分)、武田→大竹(62分)、大竹→リカルド(89分)

山形:南→瀬沼(63分)、阪野→ゆるき@変換できない(73分)、小林→中山(81分)





◆試合内容


・町田戦と同じモデルで優位に立った序盤と先制点

立ち上がりは岡山のペース。町田戦で猛威を振るった赤嶺のロングボール競り合い→塚川球際担当大臣のデュエル→仲間の突撃によって山形陣内でボールを拾い前を向くというシーンを継続して作ることができていました。このあたりは山形が急造3バックであったというところを突けていたのではないかと思います。競り合いで赤嶺が被った裏に抜けた仲間がフリーでゴール前、という決定機はおそらく理想の形の一つ。

直接崩せなくとも空中戦で優勢を取れればCKやFK、タッチラインに逃れてもロングスローがあるよという岡山の圧力は幸先よく先制点に結びつきます。むっくんのロングスローのこぼれだまを赤嶺がフリーで拾い丁寧に落とすと武田の力の抜けた低弾道ミドルが突き刺さり見事なゴール。町田戦で結果の出た形を今節でも発揮して見事に試合を優位に進めていました。



むっくんのロングスローは特に前半でチャンスメイクの柱になっていました。むっくんのロングスローは地球を救う。




・山形の本領:サイドチェンジとドリブラー的シャドウ

しかしその岡山の優勢も先制点を境に反転。岡山がラインを下げたことによって山形のやりたい形というものが徐々に見えていきます。(山形がどんなチームだったか申し訳ないことにほとんど記憶がなく、このあたりからだんだん去年の対戦の内容などを思い出してきました)

実は先制前の11分に一度出ていた形なのですが(セカンドボールの五分の展開からのある種事故的なものでしたが)、ボールサイドに集まる岡山の選手をサイドチェンジでおいてけぼりにして逆サイドのウイングからアンカーの脇を狙う形でペナルティエリアに進出していきます。

岡山のラインが下がったことで、山形は3バックがボールを持つ余裕が出てきて、山形の2ボランチをマンツーマンで捕まえる岡山のプレスを山形のボランチの縦横の移動によってずらすことでボールを前に進め、そのカバーに最終ラインが出てきるところをスイッチにサイドを横断してシュートレンジに入るという形がはっきりと表れてきます。ボール進んだら岡山のアンカーのおったところに集まりなされということをかならずやっておったですね。

岡山中盤の隙間の狭い場所でターンでき、前か横かの2択を迫るボールの持ち方を出来た南、小林の2シャドウ、特に小林のドリブルの切れ味が岡山からボール奪取の機会を奪っていきました。山形の左からの展開が増えたのはおそらく小林がパスを受ける局面で勝てるなという確信からでしょうか。良い選手ですね。むっくん厳しめの1対1が増えていました。

(余談ですが確か神戸の若い選手で、神戸の若い選手にはボールゲームでうまいことやる選手が多い印象があるので時が経てばバルサ化あるんちゃうかという期待はあります。まあ「マスチェラーノ」とか「ブスケツ」とかどうすんだという話ではありましょうが)

山形のフィニッシュの形は後手後手の守備対応を迫ることでカバー時に生まれる大外のスペースで、密やかな抜け出しに定評しかない阪野、大外から猛然と飛び込むマンと化した三鬼がペナルティエリアを賑わせていました。これはたまらないと岡山は塚川大臣を上田と同じ高さに落として、最終ラインまで下がる気配を見せる山形ボランチを追いかけるのではなく、ボールを受けに来るシャドウ狙いへシフト。これが功を奏してのデュエル勝利→カウンターからの仲間のチャンスを決められれば「首位のパワーだ…」となったのですが、残念でした。でも修正自体はできていましたね。

前半の終盤は縦パスデュエルで山形と岡山どっちが勝つんかい対決の様相になりました。ここで勝利したのは山形。南の列移動から阪野への見事なクサビワンツーで裏へのクリーンなボール。増田が阪野を捕まえにいった濱田のカバーと裏へのボールの目測とで走るコースを間違えてしまい、たまらず金山が抜け出した小林を倒してPKゲット。山形が修正を活かして追い付き前半を折り返します。




・頂点入れ替えで威力増した山形と斎藤さんだぞで巻き返した岡山

ハーフタイムの修正を経て後半立ち上がりに優勢に立ったのは山形。その修正はボランチとシャドウの入れ替わりにありました。シャドウが下りてくるのに伴ってサイドへ出てウイングの前をとることはありましたが、ホンタク氏がバイタルエリアまで入ってくるように。岡山のボランチが取りに来れないようにパス回し出来てるんだからもっと攻めようよということでしょう。17番の中村が出し入れをうまく仕切っていました。

あれれ人数が増えたぞポジションが変わるぞと守備の勝手が変わった岡山は対応できず、プレッシャーがかからない浮き球に阪野がブラインドサイドから抜け出して教科書のような美しい逆転弾を決められてしまいました。これこそベストゴールでは。




逆転された岡山は即座に対応。関戸→斎藤でターゲットを増やすことで、分断されていたロングボールと積極的な守備の接続に再度成功。前半赤嶺がやっていたことを斎藤さんがやるような形になりました。その赤嶺は最前線でDFラインをひきつけているのでサイドで斎藤さんが待てばほぼストッパーやカバーに来るボランチとのタイマンで空中戦自体やその後のセカンドボールの勝率は上がるという算段。

むっくんもようやく上がれてきてクロスを狙えて来ました。攻撃に打って出られるようになったことでショートパスでの山形の3枚の前線プレスを外してサイドの裏へというボールを持った形でのチャンスを増やしていきます。

劣勢となった山形は瀬沼投入で前線のパワーを確保、岡山は大竹を投入して仲間をウイングに置き、ボールをもって生まれた主導権を強化したい形。山形もターゲットを増やしたことでボールを持つ時間が奪い返しましたが、ちょっとポジションチェンジの余裕はなくなった感じで、岡山の守備対応も追いついてきます。右サイドで奪ったカウンターで生まれたCKから濱田がどんぴしゃで合わせて岡山が同点に追いつくと、試合は一進一退の様相に。

山形はゆるき・中山投入でシャドウをリフレッシュして中盤制圧カムバック、岡山はパスをつなぐ余裕がなくなって交代の意味をすかされた大竹をリカルドに変えてパワーで押し切る狙いに統一。もつれにもつれた試合はむっくん奇跡の突破大チャンスで大クライマックスかと思いきや渾身のキックミスでズコーと終幕。

山形は木山監督のサッカーってこういうのなのか、と結構新鮮な驚きがあって面白かった。小林や南と欲しかった選手が来たということなのか…しかしシーズン前にめちゃめちゃブラジル人とってませんでしたっけ…いったいどこへ消えたのか…様々な意味で底の見えないチームでした。





◆感想


・「敵陣を制する」モデルの熟達と課題と

当初オンタイムで見たいた際はまずい試合だったなと印象だったのですが、見返してみると岡山の勝ちパターン(モデル)がこなれてきている様子を見ることが出来ました。

ストッパーないしSB方向へ抜ける赤嶺へのロングボール、セカンドボールに塚川が競り勝ち、拾った仲間は集結したスモールフィールドでのドリブルもしくは裏への抜け出しでシュートエリアに持っていく。時間がかかる場合はウイングがヘルプしてクロスの準備をする、という形が出せる時間帯が増えてきています。チームとしての核が強固になった証といえるでしょう。斎藤さんを球際担当マンとして再チャージ出来るという結果が出たのも良い兆しです。

とはいえ、フィニッシュは序盤を除けばセットプレーに限定されてしまい、山形の「モデル」の方が関与する選手の多さとパス数の多さ=制圧時間の長さが勝っていたことがこの試合の印象を決定づけているように思います。斎藤さんで巻き返したものの、大竹の投入は(山形の交代策によってすかされたせいとはいえ)仲間がウイングに下がったことで敵陣で場所をとれなくなるという結果になってしまいました。最後は力押しにシフトして惜しいところまで行ったので、勝つためにできることはしていたとは思うのですが、いい試合だったとは少々言いにくいところ。劣勢でも崩れない確固としたモデルを備えたチームになってきているとは言えるのですが。



・だいぶ長いこと待たれている「仕上げのむっくん」

岡山の「勝利の方程式」が固まってきていることで、むっくんの役割も明確になっています。上記の通り今季の岡山のウイングは塚川球際担当大臣の競り勝ったボールをタッチライン際に呼び寄せて相手守備を動かしたうえで、それによって生まれる穴に飛び込む選手(概ね赤嶺ですが、フリーになった逆サイドのウイングという場合も高い可能性でチャンスになります)へピンポイントでクロスを送ることが最も重要な役割になっています。また、その逆に左サイドからのクロスにファーから飛び込むという役割でチームのチャンスの中でゴールに最も近づくということも珍しくありません。

まさに「仕上げ」と言っていいと思いますが、まあ仕上がらない。

クロスに関してもフィニッシュに関してもかなりの頻度で認知的なズレ(味方の位置やGKの位置の予測のズレ)が見られています。ここはなかなか今季ぱっとしていませんね。今節はロングスローが今季で最もチャンスになっていたことですし、おそらくクロスもすり合わせ的なやつで合ってくるはず。今節がそのきっかけになってほしかったですけれどもね…あそこまでチャンス作れるなら決めて頂戴と叫んでしまいました…w 合わせる方の位置が悪いんじゃ問題は良くなっているので、ちょっとここは頑張ってほしい。出来れば次の山口戦目の前でゴール関与を見たいところです。温泉と一緒に楽しみにしています。


それでは。