見出し画像

スコアはバカだけど内容はエライ【J1第34節Vファーレン長崎vs.清水エスパルスの感想】



サムネイルは清水エスパルス公式から: https://www.s-pulse.co.jp/?



これまでのあらすじ

ホーム最終戦が大混乱のまま終わってしまった中、社長の沁み入るようなスピーチで落ち着きを取り戻し、兵働選手の優しい人柄の溢れる引退スピーチに愛を叫んでめでたしめでたし…

となったのもつかの間、社長の「次のラストゲームは選手達に全てを忘れて、彼らが一番やりたかっているサッカーで勝ちに行き、そして来年はそのサッカーで勝負に出たいという風に思いますので……」というコメントが引っかかったまま最終節を迎えようとしていた。

監督の契約更新が無事に発表されたわけだし単なる「自分たちのサッカー」アレルギーの杞憂に終わるのか、それとも…高木監督のラストゲームで全てを懸けているオーラムンムン、しかも前回対戦では完璧なミスマッチのハメ技にかかりJ1初勝利をプレゼントしてしまった長崎を相手に腑抜けた、チャラつき尽くした、筆者の胃粘膜を地獄の業火に包むような、ふざけた消化試合になりはしないか…その不安は、思わぬ形で裏切られることとなった。



メンバー


長崎はボランチの島田→中原、ウイングの飯尾→大本が変更点。詳しくないのでイメージだけですが、より攻撃的な陣容になったのかなという印象。長崎の方が見てたら教えてくださるとうれしいです...w




エスパルスは前節の乱暴狼藉で河井さんと立田君が負傷。また、北川君も足首を負傷していたとのことでそれぞれ白崎、飯田、テセそして白崎のポジションだった左ワイドに石毛が入り4人の変更となりました。前節集中砲火を浴びて散々だった飯田君に期待したい。



試合の感想


レイオフ攻撃とセットプレー:長崎が強すぎて笑うしかない

試合は長崎の圧倒的な攻勢で幕を開けました。お互いに余計なことはせずにロングボール!というのは立ち上がりだけで、長崎は3バック対2トップ、5人の前線(WB+3トップ)対4バックの陣形のミスマッチを巧みに使い、澤田と鈴木武蔵の裏抜けやそれに対応することによって生まれる大外ウイングのアイソレーションをリズミカルに繋ぎ合わせ、決定機の山、セットプレーの山を築きました。

5トップとミスマッチを起こす海峡(CB-SB間)付近での鈴木武蔵と澤田のスプリントから始まるレイオフ(ポストプレーからの三人目裏抜け攻撃)はガンガンに刺さってしまい、セットプレーでも後手を踏み続けてしまいました。澤田の何が嫌かってトランジションの的確さをあのスピードでやってくるのが嫌なんですよね…帰って来てくれませんかね…笑 六反様いなかったら10分で試合終ってたわ。

勘違いしがちなのですが、長崎は普通に攻撃が上手いです。ここまでクオリティが高いのは、ミスマッチ?知らんなと数的同数プレスに打って出る清水相手に限った話かもしれないですが、J1最下位チームの勝ち点歴代記録を更新したのですからあながち清水が悪すぎるということでもないと思います…思いたい…

ただ、セットプレーの守備では後半終盤まで後手に回り続けてしまい、特にファンソッコ・ドウグラス・フレイレと空中戦自慢の選手を代わる代わるぶつけても全敗してしまったファンマはほんとうにどうにもならなかったです。流れの中ではわりと対応できたとは思うのですが、ここで2失点してしまったことがこの試合を難しくしてしまいました。



5バック崩しで手繰り寄せた勝機:清水も強くなっててちょっと絶頂しました

大変ボコボコにされてしまいましたが、20分もしてようやく長崎のトランジションのモーレツさもなりを潜め、清水も竹内・白崎が列移動をして長崎のプレスをかわす工夫を見せ始めることが出来てきます。

今回はこれまでバリバリに機能してきたドウグラスー北川の縦関係が解消され、テセとドウグラスだったのですが、ここをどうしましょうという迷いが前半は見られたもののドウグラスを二列目の遊軍にしよっか、で今度は清水の4-2-2-2が長崎とのミスマッチを突くという構図を作ることが出来てきました。

ドリブル突貫が持ち味の飯田君の起用もようやく生きてきたところですが、2シャドウと2トップが崩しの中で場所が被りまくってしまい、カウンターを受けやすい渋滞状態になるという罠。ここで金子→テセのパスがずれてしまったことで一気にがら空きのDFラインにカウンターを食らい見事に失点してしまいました。も~こういうことする~(知ってた)

とはいえ、ここからがこれまでの清水と違っていて、左サイドから石毛がハーフスペースをうまく使って即座に反撃。サイドチェンジを飯田君がフリーで受けて仕掛け、金子の裏抜けが綺麗に決まって折り返しを再びの石毛。この崩しは最高にきれいだった。ポゼッションするとSBで詰まってすぐ死ぬという清水の課題に対する模範的な回答でした。飯田君のカットインは素晴らしすぎた。SBがハーフスペースで仕事ができると大きいですね。





さらに後半にはテセを右サイドに流す形に中盤の優位を調整してさらに攻撃が活性化。余裕を持ったボールの循環がボランチやSBのさらなる攻撃なプレーを促し、圧倒的に押し込むという展開を作っていくと、再び石毛のまた抜きパスから白崎が流し込み2点目。これは綺麗すぎて汚い話で恐縮ですがちょっとイってしまいました。石毛は以前はもう!攻撃のブレーキ!というプレーぶりだったのですが、すっかり崩しで機能して結果を出してくれました。脱帽。





自陣の集中という壁:素直に喜ばせてくれないところがたまらない(憤怒

①、②と両者の攻撃面の良さがモロにぶちあたってしまったことで、試合はオープンな殴り合いの様相を見せていきました。ファンマが蹂躙すれば、綺麗な崩しで追いつき、を繰り返し、次第に出入りが多くなると輝くのはようやくのドウグラス。

スピードに乗れれば一人のマーカーくらいなら余裕で引きずりぶち抜いていく暴力的なドリブルがエスパルスの攻撃にさらなる追い風を与えると、金子がタイミングよく走り込み待望のシーズン2桁得点を達成。いやあ長かった。

3度リードを作られながらもペースを緩めずついに3-3になったことで長崎もようやく厳しくなってきて、清水の後半の優位はさらに決定的になっていきます。その結果として鄭大世がPK獲得に成功しとうとう逆転。よっしゃ!勝ったな!有終や!

…で終わりたかったのですが笑 ここで終わらせてもらえませんでした。長崎に最後の希望を与えてしまったのは自陣での集中を欠いたボール回し。CBから後ろを向いたままのボランチへの単調なパス交換。それが二回も繰り返され、ポジションも動かない。というのであれば狙われるにきまってるじゃねえか…おばか…

残念ながら長崎の最後の攻勢を呼んでしまい、過ちを反省して10人で自陣を固める集中した守備を見せたものの運は長崎に傾いてしまい、厳しい判定のPKで追いつかれ、後悔の残る最終節となってしまいました。まあ、六反様いなかったら逆転まであったのでトントンです...残念...。






闘えた/内容見せても/この始末


心の俳句。なんどこの俳句が浮かんだことでしょう、今年はw

まず最初の懸念ですが、杞憂でした。選手のやりたいサッカー?というのが今節の内容だったと仮定するとですが(番記者の人はこのへん書いてくれてるのかな)、今シーズンのサッカー、監督と一緒に築いてきたサッカーと大きく変わるものではありませんでした。ただ、ポジションの出入りはいつもよりも多く見えましたね。来季に向けてカウンターだけでなくこういう攻撃をもっとやるというのは説得的です。ただ、ちょっとテンションが高すぎて歯止めが利かない試合になりましたね...w

また、シーズンの集大成とみた際の内容としても有意義でした。これまでうまく結果の出なかった選手たちが最後に大仕事をしてくれて、苦手にしているポゼッションして追いかける展開でも十分の内容を見せてくれて…

それなのに、こんなオチは…ちょっと待ってくださいよというのはありますがw 今節に限って言えば、セットプレーで負けすぎてどうしようもないという部分と、せっかく押してるのにバランスを崩しちゃう前半の拙さという部分と、逆転までもっていった集中力が逆転後に緩まってもうたなという部分と。ここは采配も込みで甘さが出てしまいましたね。もちろん、長崎が強かったのですが、だからこそ、勝ちきって得られたであろう成果を思うと…逃した魚…。

終盤の逃げ切りに4-5-1を構想していたようですが、逆転後も上記の緩みで出入りの多い展開となってしまって交代でバランスが変わることが非常にリスキーな状況となっていました。テセもドウグラスも自陣に下がってセットプレー対応もクロス対応も集中できていたしカウンターも見せられていたので、まあ、信じて闘い通すという選択肢も悪くはありませんでしたが、やや判定が辛かったとはいえ長崎のパワープレー気味に攻撃で中が人数不足になった結果ああいうもつれかたになったわけですので、やはり手を打っておくこと、手を打てるような余裕のある展開にもっていくべきであったということになりましょう。



ーーーーーーーーーー



さて、シーズンが終わったということで簡単に振り返ります。

まずポジティブな点として、プレーモデルがハッキリしておりシーズン開幕当初からある程度の質のサッカーを見せられたこと。その後連戦で量・質共に落ちてしまったものの、シーズンが深まるごとにひとつひとつハードルを越え、ほとんどの試合で互角かそれ以上に闘えるようになってきたからこその試合内容、上位をうかがえる順位への飛躍がありました。それは一つ、誇るべきことです。


チームが非常に向上したと。そして多くの選手が
向上してくれたということが、今シーズンを振り返ってみて嬉しかったことだと思われます。もちろん、若い選手、ベテランの選手とさまざまといますが、皆さん、やっぱり伸びしろを持った選手達だったと
思います。私も監督として彼らを向上させるということが仕事ですので、それを今シーズンにできたことを非常に嬉しく思います。伸びてくれた選手で特に育成から上がって来た選手がいました。そういう選手達が伸びてくれるということを見れたのも良かったと思います。(ヤン・ヨンソン監督試合後コメントより)


しかし、だからこそ、「もう少し上に行けたよな~」という試合、ワンチャンス、特に自分たちが押している時間帯でのカウンターの管理の細やかさといった部分もまた同じように積み重なり、その結果として上位とも下位とも同じくらい離れた8位という戦績となったことも忘れ難い事実です。

得失点差+8は上位レベルの好成績ですし、得点数は川崎に1点差の2位で横浜Mと同点、失点は今季最も躍進を果たした札幌と同点です。これはかなり悔しい…w

札幌よりも点を取っていて失点が同じなのに差を付けられてしまったのは、得失点の内容(時間帯・スコア状況)が要因でしょう。目の前の1試合1試合は「その時点ではやれるだけやった」結果としてあるわけですので、特にどの試合が、ということは言いにくいのですが、まあ、3点以上取って勝てない試合を3試合もやりましたから(浦和3-3、神戸3-3、長崎4-4)結構わかりやすくはありますね...w 

W杯前は得点力不足と言われていたチームがこういう派手な打ち合いをしているように今季一つずつ出来ることを増やしていったエスパルスですので、来季以降はここもクリアしてくれることを期待しています。オフシーズンでのオペレーションによって「どのように解決しようと考えているのか」という部分に関するヒントも出てくるでしょうから、楽しみたいと思います。

ともあれ、清水エスパルスのみなさんにはまずは毎週末の試合が楽しみな1年間を作り上げてくれたことに改めて感謝もうしあげます。惚れた監督を受け入れてくれて素敵なチームにしてくれましたし、さらなる上昇の可能性も見せてもらいました。引き続き応援していきたいですし、上を狙うから値上げさせてくれ!という熱いメッセージも貰いましたので、あたぼうよと誠意を金額で応えていく予定です。

あとはユニフォームを買おうと思っている選手が移籍しないことを願っています...w 河井さんおれだー!来年も精神安定剤になってくれー!まあ地元局アナと新婚さんですからだいじょうぶかな(慢心)


それでは。1年間お疲れ様でした。また来年!