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【漸進という魔術】清水エスパルスとヤン・ヨンソン監督の歩み(4)



ヤンヨンソン監督と清水エスパルスの2018シーズンを振り返るシリーズ第四弾。今回は来季にむけて気になることをコメントしていきます。


目次
(1)2018シーズンを数字で振り返る 
(2)前半戦感想まとめ 
(3)後半戦感想まとめ 
(4) 2019シーズンの展望 ★今回はここ



(4)2019シーズンの展望


2019シーズンの位置付け:3ヵ年計画の2年目として


清水エスパルスは2018年から3ヵ年計画で「ビッグクラブ」を目指す、ということを掲げています。2019年シーズンはその2年目という位置付けになります。その是非や可否については置いておいて、実際にそういう風に動いているということに対してリアクションします


清水エスパルス2018イヤーブックより引用(切り取りがうまくないのは許してください)


トップチームの成績目標は8位とクリア。競技面については前章までの内容の通り中期計画の最初のステップをまずはうまく踏めたかなというところです。2019年はまずはルヴァン杯のグループステージを突破するということが最初のノルマになるでしょう。

リーグ戦のことは昨季ようけコケていた「ビッグクラブ層」(清水エスパルスが目標に掲げる収益45億以上のクラブは上から順に浦和、神戸、鹿島、川崎、G大阪、横浜、名古屋、FC東京:2017年度)の出来に左右されると思うので何とも言えないところです。

本筋と外れますが、2017年度の収益規模ベースですとあくまで昨季は規模通りの結果がでたというだけなんですよね、というのも重要な示唆ですね。

2018年度の数字はおそらく2019夏まで出ないので言及が難しいところですが、現時点でわかっているものがあるので少し見てみます。

2014年度12.9億円で運営していた強化費は、昨年度で16.7億円、今年度は18.7億円となる見込みです。4年で5.8億円押し上げて参りましたが、それでもこの規模は、J1クラブ中位程度に留まっており、確実にタイトルを狙うにはもうひと踏ん張りが必要です。
この強化費を押し上げるための源泉となる会社収益は、この4年で32.5億円から40.1億円と、7.6億円の増収を達成しております。上述致しました強化費の更なるてこ入れには、あと2年はこの増収ピッチが必要となります。一方、これまで増収を牽引してきましたのは、パートナー営業を主とした法人営業で、増収の7割近くとなる約5億円を稼ぎ出し、パートナー社数も2014年度200社から今年度は480社と大幅な伸長を遂げて参りました。しかしながら、ユニフォームパートナーやゴール裏一列目看板といった高額商材が既に完売となっておりますことから、今後は小口商材を社数で稼ぐ展開になってきており、これまでのような伸長を果たすのは極めて困難になってきております。

(清水エスパルス公式サイトリリース https://www.s-pulse.co.jp/news/detail/41543/ より)


最終的な目標がビッグクラブ並みの収益(45億円)とありますが、その成長の余地が現時点ではなかなか見つからないという状況のようです。

「INNOVATION Lab.」と銘打ったワークショップにより地域創生とICT活用の新たなソリューションを模索しているようですが、2020年までという短期で成果をあげるとは考えにくいところです。先行者である横浜DeNAベイスターズの取り組みを見る感じですとクラブの枠組みを越えるものとなりますので。もちろん長期的な取り組みとしては必要不可欠でしょう。

現時点ではチケット価格上昇と席種の変更(プレミアムの増大)によってどれほど伸ばせるかというところでしょうか。このあたりはまだまだ情報不足なので新年のクラブ広報誌に期待したいところ。


とりあえず本企画の結論としては、

今季の成果として、

・クラブの掲げる中期プロジェクトの最初のステップをクリアすることが出来た

・明確なプレーモデルに基づいたチーム作りを徹底することによって試合内容(決定機の数と質)を向上させた

クラブの収益規模成長に見合うリーグ成績を達成した

・上記の結果をクラブの期待する選手育成プロセスを満たしながら生み出すことが出来た


来季にむけて期待したいこととして、

・ヤン・ヨンソン体制2年目の成熟によるプレーの4大局面すべての質の向上(特にミドルプレスとポゼッション)

・それらを補完する新戦力の補強(CB・DMF・ウインガーの個性を持つ選手+各セクションの選手層拡充)

・上記競技面の成長を支える経営面と興業面のバックアップ


ということでまとめたいと思います。これから戦力動向が明らかになっていくでしょうからワクワクハラハラして待ちたいと思います。

それでは。