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【MDCvol.3】ファジアーノ岡山vs.大分トリニータ (J2第3節)



センターラインムキムキ効果を発揮して開幕2連勝の岡山。今節のお相手は昨年完敗を喫した大分。むっくんは左ウイング緊急登板となりました。



◆試合情報

スコア 岡山1−0大分

岡山:赤嶺(43分)


メンバー

岡山:イヨンジェ→斎藤(67分)、伊藤→末吉(80分)
大分:竹内→岸田(59分)、後藤→川西(67分)、藤本→林(83分)



ハイライト




◆topics


全方位イヨンジェ放り込みサイクル

開幕2連勝を飾った要因である赤嶺さんが二列目に専念できます現象は今節も好調。イヨンジェは頼りになります。大分の予期せぬ形=岡山の有利な形でボールを奪えたことでイヨンジェが有利な状態で1対1を迎えていたことが大きいでしょう。イヨンジェがだめなら赤嶺が競りますし、いいタイミングでサポートに入ってくる伊藤大介が難しい。

単調な放り込みならまだ予測して対処しやすいのでしょうが、5バック2ボランチのどこからでも飛んできますし、遅攻となっても喜山—上田でボールを落ち着かせて飛ばすことができるので、大分としては前半中盤まで4-1-5の距離感を作る時間そのものがうまくとれていませんでした。今節いきなり左ウイングに入ったむっくんですが伊藤大介さんとのコンビで喜山—上田ラインからボールを引き出してさらっと岡山ペースを作っていてびびった。


大分の出し手・受け手問題

※岡山がこれまでの2試合とあまり変わらない形であったので大分目線厚めでお送りしております

大分のうまくいかなかった要因はもちろん戦力の入れ替えによってパスのタイミングが合わないということがあったと思います。5トップに5バックをがっぷりよつだという守備は4-1-5対策の最もシンプルな方法ですが、岡山が特別であったのはクサビのパスであれば前線3枚にはどこまでもついていきますよと徹底されていた部分。より速い動き出しとより速いパスでこれをかいくぐることができれば、岡山の守備に迷いを生じさせスペースを生み出すことが出来たと思いますが、それに70分近くかかってしまいました。

大分の2ボランチは宮阪と丸谷で、宮阪が最終ラインに下がり丸谷が真ん中に入っていました。ロングフィードはうまく蹴れていましたが、岡山の前線3人の守備をかわしてボールを受けショートパスをつないでブロックを動かすという部分でネックになり大分のパスワークが詰まっていました。丸谷はボールを奪う場面でかなり勝率が高かったので良さを出せていたとは思いますが、回収したボールを引っ掛けてしまうと逆効果になり辛い。こういうときはウイングがぶち抜いたりFWの裏抜け一本を狙って相手のDFラインをゆさぶる必要があるのですが、そういう意志疎通もなかなか出ていないように見受けられました。今季大分が5バックを相手にしたのが初めてだったということを差し引いても前線が全員止まってインターセプトの餌食というシーンがあまりにも多かった。


大分の修正に関して

修正は後半。宮阪と丸谷の位置を逆転させて丸谷が運ぶドリブルで最終ラインからせりあがるようになったところから。これで前線のパスコースを確保できるようになってきました。それでも右サイドがなかなか打開できないのでストッパーを本来ウイングの岸田に代えてダブルウイング体制に。岸田は攻撃に"厚み"を生み出す、シャドウの裏=ボランチの横を狙い、岡山は撤退を余儀無くされてきます。それでもピッチリとアブナイスペースを塞ぐ伊藤大介さんとむっくんが愛おしい。

岡山を撤退させることには成功したもののなかなか決定打が出ない大分は川西を投入。なかなか生まれなかった連動がようやく現れてきます。このあたりからようやく”大分らしく”なったような印象。川西+岸田のダブルフリーマンが生まれてしまったことで岡山の両サイドはなかなか香ばしくなっていきます。マイナスのクロス地獄。

前回対戦で岡山の前線守備を崩壊させたのはボランチの位置からドリブルをしかけられる川西だったのですが、今回は終盤まで出てきませんでした。コンディションの問題だったりメンバーの試行錯誤だったりするのでしょうが、交代の前に修正できるようなチームになることが目標になるんじゃないかと思います。後半の丸谷は司令塔然としていてとても良かった。あとは縦パスもっと強く打ちましょう。広島の時の"師匠"みたいに見えてなくても理論上空くはずのスペースに強く蹴っちゃっていいと思う。声で出すよりも雄弁な要求だし。奪われても大分なら走ってくれるはず(酷)

4バックという選択肢が取れるチームなので始めから4バックでミスマッチを作ってもよかったのかなとか喜山と上田康太と伊藤大介を同時に抑えられる3-5-2とかどうかなとも思ったりはしたのですが、試合後コメントで「あえて5バックに5トップをぶつけたんや。無理なら岸田を入れる善後策もあった(乱暴な要約)」ということなので、そういうプランだったようです。HTまでチャレンジに乏しかったのでバージョンアップのための試行錯誤としてはちょっと失敗かなというところでしょうか。

ロングカウンター決まり手一本で藤本が決めていれば全く別の試合になった可能性もありますが、ああいうチャンスを増やすために必要だったことは何だったか、振り返れるとよいですね。ホームで結果で応えることができるのかが重要になってくると思われます。(余談ですが、大分トリニータの試合レポートの質の高さ逆に心配になるレベル)




◆今節のむっくんかわいいよむっくんのコーナー


試合の話はこのあたりにしておいて本題。

今節のむっくんは三村さんの欠場を受けて左ウイングでの出場でした。ウイングバックは初めてなので左ウイングももちろん初めてだったと思うのですが、全くの違和感ゼロ。やはりいつもと逆サイドであるので突破やクロスは難しそうだったのですが、大分のウイング松本怜とのタイマンを終盤まで制していましたし(70分くらいまでほぼ完封してました)、喜山—上田ラインから始まるボール保持時に伊藤大介さんを助けボールを前進させていました。シブイ。

先制点もそのラインから。むっくんと喜山のパス交換から縦パス、伊藤大介のクロスは一度はじかれますが、そのこぼれだまをむっくんがすぐさま二次攻撃につなげ、上田康太がフリーでクロスを上げることに成功していました。

さて、今節のベストオブむっくんのコーナーですが、何分、というより脚を攣っちゃったシーンが印象に残りました。トラッキングデータがないのが残念ですが、おそらくいつも以上にスプリント、アップダウンが多かったはずです。

というのも、岡山はFWがサイドに開いてクロスの拠点を作るときは逆サイドのウイングはクロスに走りこんでターゲットになりましょうということをほぼ掟のように頻繁に行っています。赤嶺のゴールは澤口が大外から入り込んだことでDFの注意が削がれたことで半身でボールを捉えるスペースが生まれました。

実はこの動きはむっくんも結構やっていました。が、残念ながらボールが来ないので急いで自陣に戻って松本の打開力を抑えるというお仕事を繰り返しており、かなり大変だったと思います。自分でボールを持つ時間が右サイドの時よりも減ったので、このような動き出しが多く観測されたのだと思われます。動き出し自体は前節も三村さんのクロスに飛び込んだりしていましたからね。

美しさの裏にはこういう泥臭い下支えがある、それを目の当たりにできるのはスポーツの醍醐味の一つ。むっくんの醍醐味もこういうところにあるのではないかと心の中の長老が熱いお茶を啜りながら頷く次第です。DAZNには倍速再生機能があるので是非見返して下さればと思います(また見返したくなってきた)




うむ。今週もむっくんはよかったな。


では。