記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

魔女を疑似体験🧙‍♀️「The Cosmic Wheel Sisterhood」

お盆を過ぎたとたんに何かに急かされるようにお菓子のフレーバーも栗や芋などが商品棚を占拠し始め、唐突に夏の終わりを感じさせる日々ですがいかがお過ごしでしょうか。
少し日の入りが早くなった感はありますね。

アレコレつづりたい記事はあるものの、まとめる時間と気力が足らず下書きが増えていくばかり...

そんななか以前「The Red  Strings Club」というゲームをプレイしてとても感銘を受けたので、同じディベロッパー『Deconstructeam』さんの「The Cosmic Wheel Sisterhood」というゲームをプレイ。「これは面白い!」となったためごく個人的な感想などを書いていきたいと思います。

7月のsteamサマーセールの時にポチってそのまま積んであったのですが、それは前述の「RSC」のように体力が要りそうだなと薄々予想はしていたが故でした。

ドット絵でキャラたちも愛らしく可愛いADVゲームなのですが、世界観はサイバーパンク。ハードボイルドな文体でまさにブレードランナーのような世界観。猥雑で日常が便利になったような気がするけれども孤独感は拭えない、そんな現在の延長線上にあって遠からず訪れそうな未来。

レプリカントのアカラー184と探偵の如く捜査を進めていく


基本はとあるバーを舞台に客たちとの会話の選択によって物語が進行していくのですが、カクテルを作るものや金型?を作成するミニゲーム群が絶妙に難しい。推理や探偵の要素もあって潜入捜査も一筋縄ではいかず手詰まりになる場面も。あとそれほど直接的ではないけれど少しブロマンスを感じさせるくだりもあります。

「CWS」はそういったシステムを踏襲していて、会話の選択肢によって進んでいきます。

人間から魔女となったフォルトゥーナはコブンと呼ばれる魔女のコミュニティでタロット占いを生業としていた。ある日カードをめくるとコブンが崩壊するという旨が示されていた。包み隠さずその予言を公にしたのだが、その行為自体が危険で秩序を乱し混乱を招いたということで魔女を統べているコブンの長のエイダーナから800年の追放を言い渡されます。小惑星に禁錮され200年が過ぎたころ、フォルトゥーナは禁忌であるベヒモスのエイブラマーを召喚。代償と引き換えに力を得たフォルトゥーナはより強力なカードデッキを創作することによって魔女とのつながりを取り戻していくのだが……

というあらすじ。

パラメーター化された火・風・土・水の四元素をエネルギー源としてこまめに振り分け、カードを作成していくのですが、そこには必要とするエレメントに対応した象意が付与されます。
土台(スフィア)とアルカナ(メイン)とシンボル(属性)の3つを組み合わせて配置をプレイヤーが自由に決めてカードを作ることが可能。

水要素強めのカード

火は攻撃的で破滅に向かいがちな読み方につながるものが多く、風は公平な平和主義にあふれたもの、土は保守的で堅実、水は温情に寄り添った優しさを感じられるラインナップとなっている。

土要素の強いもの

タロット占いシミュレーターと言っても過言ではないです。
実際はカードからオリジナルの解釈を読み解く必要があるのでこんな簡単なものではないですが、選択肢がいくつか提示され、相談者の好みそうな提案や好感度の良しあしによってその後の人間関係も構築されていくところが本当によくできています。もちろんその選択も自分の意志によって後の展開が変化していきます。

知りたい内容によって一枚目と二枚目の位置を変えたりすることもできるのですが、一度やってみたところゲームの本質に反する行為だったのか、本人も「よくわからない」という不穏な結果となってしまいました。なのでそれきりでカードを引いた順番にきちんとおいて最後まで進めました。

パラメータを使用する突発イベントがあったり、カードに必要な四元素の数値も随時更新されていくのでエネルギーを貯蓄しておく必要があるのですが、そこも一周目は手探りなので緊張感が漂います。

そして独特な世界観に加えてチルな人間界でのたわいもない会話なども楽しめて、控えめだけれど神秘的な音楽もとても良いです。


地球で70年代に生きていたフォルトゥーナの過去を垣間見ることが出来ます

セクシャルな会話も多いためかESRBはMと17歳以上推奨になっています。


どうですこの世界観。とあるリリックなのですが、これを読んでやってみようと思う奇特な方がいたとして、その方のためにあまりネタバレになってしまわないよう深くは言及しませんがワケがわからないでしょ。
でもそれでいいんです、というシチュエーションでした。

結末はマルチエンディングで、私は一番多くの人がたどり着くであろうノーマルEDを迎えたみたいですが、確かに「これはこの結末で受け入れよう」とテーマになっている不可逆的な運命(さだめ)を生きろと誘導されているような気にさえなってきます。制作陣の思う壺!

壮大な未知の世界での体験によりじわじわと広がっていく余韻とともに無常な現代社会に住まう地球人としてどう在りたいのかとも深く考えさせられます。
なにより独特な世界観を構築した上で作りこみは膨大な時間がかかっているのに定価2000円代ととてもリーズナブル。ボリュームはさほど多くないものの、ゲーム内の読みものコンテンツなども短編集を読んでいる感覚で実に読みごたえがあってコスパ良し。
演出も映画的で凝っていてエンドロールでは「えっ!えっ?!」と声が思わず漏れる程。

めちゃくちゃ楽しませてもらいました。
他にも面白そうな作品があるのですが、ローカライズの壁が立ちはだかります。かなり精神世界に偏ったシナリオなので理解するのは難しいかと思われ、ともすれば英語を勉強する方が早そうな現状です。

最期にも驚く仕掛けがあって感動しました。
ぜひ興味を持たれた方はプレイして心をかき乱されてほしいと思います。

この記事が参加している募集