マーケティングの成功譚は、手を変え品を変え結局言いたいことはただ一つ

 一企業に身を置いていてつくづく感じるのは、一度生まれてしまった商品は簡単には潰せない、ということだ。

 それは別に、「売るのがどれほど絶望的でも死に物狂いで売上に固執している」……からではない。

 どんな売れない商品にも、必ず担当の社員がいて、彼らに仕事をしてもらうためにはその仕事を残さないといけないためだ。

 潰せないのは商品ではなく部署の方である。
(もしかしたら私の企業だけに当てはまることかもしれない。そこそこ人数が多い会社なので。ただ、そういう企業もあることを知っていてほしい……)

 幹部たちが有能ならこんなことにはならない。売れない商品にはとっとと見切りをつけて、次の戦略のために新しい組織再編を行なっていけるからだ。

 けれど幹部たちが無能なら、ずるずるとお荷物をぶら下げて地獄のようなノルマ達成を強いられることになる。

 なぜなら彼らには他にプランがないのだ。つまり未来を考える力がない。今の現状の何をどう変えればいいかわからないので、部下たちは途方に暮れるしかない。

 自分達が企画を承認してしまったケツを拭けない幹部に頼れない私たちは、なんとか企画力やマーケティングの精度を上げるしかないのだ。

 けれどそれは単純なことではないので、安易に他社の真似ができるものではないということを、以下の記事を読みながら思った。

 なぜなら、この2つの記事で語られている核の部分は同じことで、そしてそれはコピーできるような必勝法がないからだ。



・イノベーターとアーリーアダプターの攻略が、その商品の普及を左右する
・消費者に聞いて物を作るのであれば、僕はあなたたちを雇わない。

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/01077/

・欲しいものを聞くのではなく、渡したときに初めて、「なぜ分かったの?」と驚かれるのが理想
・ユーザーに尋ねるマーケットリサーチは愚の骨頂。スティーブ・ジョブズが語ったという、『人は形にして見せてもらうまで、何が欲しいか分からない』
・顧客に聞くのではなく、なり代わること。ユーザーに乗り移り、自分ごととして捉える

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00725/00004/#:~:text=%E5%85%A87%E5%9B%9E-,%E3%83%9E%E3%83%84%E3%83%80%E6%96%B0%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E6%9C%AC%E9%83%A8%E9%95%B7%E3%81%AE%E5%93%B2%E5%AD%A6%E3%80%8C%E6%AC%B2%E3%81%97%E3%81%84%E3%82%82%E3%81%AE%E3%82%92,%E3%81%AE%E3%81%AF%E6%84%9A%E3%81%AE%E9%AA%A8%E9%A0%82%E3%80%8D

 よく聞く言葉に当てはめ直すと、「インサイト」の発掘、つまりはそれである。

 けれど、現在はあらゆるビジネスマンが自分達のやり方でインサイトの追求を実践しているが、同じ人でももちろんうまくいく例もあれば失敗もある。確度の高い鉄板の手法が現時点では存在していない。

 結局のところ、繰り返し失敗して感覚を掴んでいくしかないのではないか、そのためには小さくチャレンジをし続けられる職場環境と理解のある上司の存在が必須な気がする。

 口だけは「チャレンジしろ」とか「やってみなはれを我が社は実践している」と言いつつも、実際は尻込みする上司の元では成功体験はあり得ない。

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