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永瀬九段が朝日杯将棋オープン戦優勝

第17回朝日杯将棋オープン戦決勝にて、永瀬九段が藤井八冠に勝利し初優勝した。

藤井八冠は今期勝率0.857。タイトル戦の番勝負を含めてこの勝率なので、藤井八冠が無敵の人と言われるのも不思議ではない。

永瀬九段は昨年王座戦にて藤井八冠と対戦した。当時、永瀬九段は完璧な研究をもとに終盤に大優勢を築いたのに、藤井八冠の巧みな誘導で悪手を指して負けてしまい、頭を掻きむしって悔しがっていた。そして、それ以降は調子を崩していた。復調したのは最近のこと。

優勝インタビューで、永瀬九段は「努力の前借りをやめて無理をしない」ようになったと言った。王座戦までは明日を迎えない努力をしていた。それをすると世界が歪んで見えた。

……何だか哲学的だ。
……わからん。

しかし、記者が何度も質問していくうちに、永瀬九段は言った。それはHUNTER×HUNTERのゴンさん状態だったと。

ゴ ン さ ん

――無理をしないというのは時間の総量ではなく、メンタル的なものなのでしょうか。

 時間の量とは違います。メンタルというより……出し切る。えっと……なんでしょう。「HUNTER×HUNTER」って分かります? あのゴンさんですよ。ゴンさん状態はよくないんです。前借りですよね。未来の前借りをしてしまった。前借りした分、反動が……しかも利子がついてくるんですよ。「HUNTER×HUNTER」を読んでいる方なら分かってもらえると思います。

朝日新聞

まさか、将棋のインタビューでゴンさんの名前が出てくるとは。永瀬九段が週刊少年ジャンプの愛読者であることは知っていたが、バトル漫画の闘い方を地で行っていたとは驚いた。

それくらい藤井八冠はファンタジーの人なのだ。ファンタジーにはファンタジー(ゴンさん状態)で対抗するという永瀬九段の発想は素晴らしい。

でも、ゴンさん状態をやめて、明日も10年後も血肉になる努力をして、藤井八冠に終盤の1分将棋で競り勝ったというのは、未来の希望がある話だと思った。

なお、永瀬九段は大真面目にインタビューに答えていたが、今までに見たことないくらい嬉しそうだった。まるで少年のような笑顔だった。

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