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『紙猫』紹介 その1

関西で活動している「仔猫句会」という吟行の会に参加しています。
いろいろなことがありながらも10年続いていて、その記念に冊子をつくりました。

『紙猫』Amazonで発売中です。
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せっかくなので一人一句ずつ、紹介していこうかなと思います。
一メンバーである、岡田の勝手なコメントです。
19人もいるので、何回かにわけてゆるゆる書いていきます。

「仔猫」という可愛い名前がついていますが、みなベテランの、個性豊かな俳人たちです。

『紙猫』は作者の五十音順に掲載されているので、その順番で・・・

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掌のみみず褒め合ふ園芸部   伊藤左知子

私の通った中学・高校には園芸部はなかったです。あったら入りたかった。
なので想像ですが、園芸部はクラスではそんなに目立たず、穏やかな子の入るイメージです。
園芸をしていると、虫はどうしても避けて通れない。害虫は駆除しなければならず、敵を知らなければならないので、虫に対する見方も変わります。ミミズがいる土は良い土と言われていますが、それもミミズの種類などによるそうです。
園芸部は、みみずも愛していて欲しい。この句はリアルさを追求するよりは、ちょっと物語的な、園芸部ってこうだったら良いな、というところを描いている句かなと思います。

左知子さんは東京在住ですが、たまに関西を訪れて吟行に参加してくれます。本業はライターさんです。最初にお会いしたのは、いつかの五山送り火だったか。
あの銀座「卯波」で働いていたこともあるそうです。
銀座「卯波」→神保町「銀漢亭」→荻窪「鱗kokera」と、それぞれ成り立ちや性質は違えど、俳人の集まるお店の歴史が東京にはありますね。京阪神にもそんなお店あったらいいなぁと思います。

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水馬の水輪とともにある暮らし   伊藤蕃果

水馬と水輪、いかにも当たり前の組み合わせだと、すっと通り過ぎてしまいそうな句です。
この句のポイントは「暮らし」ではないでしょうか。水馬は水輪を作って、水輪の中にいて、雨や風がつくる水輪にも影響を受けて、水輪とは切り離せないで生きているわけです。それを「暮らし」と言うことで、俯瞰するのではなく、水馬の視線に近づきます。水輪をうまく利用したり、水輪に困らされたり。少し水馬に親近感がわいてきます。

蕃果さんは、昔あった「ルート17」という若手の俳句グループで、中心的な役割だったと聞いています。その頃は、伊藤弘高さんの名前で活動していました。その後、俳句をすこし離れて短歌にいった時期もあったり。最近では、久保純夫氏の個人誌「儒艮」などに作品を発表されています。
私は、世代や俳句を始めた時期がちょっとずれていたため、「ルート17」には参加の機会がなく、遠目に見てました。今活躍している40~50代の俳人の多くが、この会に参加していたと思います。

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まだ2人分しか紹介できていませんが・・・次回につづきます(不定期)


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