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ロシア決済網排除は諸刃の劇薬か

ロシアのウクライナ侵攻を受け、米欧は国際決済システム「国際銀行間通信協会(SWIFT=スウィフト)」からロシアの一部銀行を排除するなど最大級の制裁措置に踏み切るかまえだ。これによりロシア経済を孤立させて深刻な打撃を与えることができる。ルメール仏財務省はスイフトからの排除を「財政的な核兵器」と例え、その効果に期待を示した。スイフトは200か国・地域1万1千社以上の金融機関が送金連絡を自動的に処理する「メールシステム」にあたる。排除されても理屈上はファックスなどで送金連絡できるが、膨大な取引を一つ一つ手作業で行うことを意味する。よって事実上は海外との取引から締め出せることが可能になる。
しかし日本や欧州なども影響を受ける恐れもある。ロシア経済は市場が非常に巨大であるため世界から切り離せば日本を含め取引のある国への反動も予想されている。特に天然ガスなど燃料を輸入する欧州への影響は大きく燃料不足から世界的な価格の高騰を招く恐れもある。このため、米欧は燃料取引の決済に使われている銀行は排除しない方針だが、例外を増やせばロシアへの打撃は小さくなる。
日本への影響としては、ロシア企業との取引や資源価格の一段の上昇、金融制裁のよる輸出入の減少または消失がなどが挙げられる。日本企業は27日、ロシアへの送金や現地事業に影響が出ないかどうか精査を始めた。精査によりこれらの影響以外のものも出てくるかもしれないと考えられる。
米ペンシルベニア州立大のランダル・ニューハム教授は「ロシアが制裁対策をとる前に大きな打撃を与えられるかが焦点になる。」と語った。

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