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歌詞に9ヶ月かかった曲

「LINE MUSICのランキングどうだった?」

友達がそうたずねてきた。僕とこの友達は、音楽のサブスクとしてLINE MUSICを使っているのだが、このLINE MUSICでは自分の聞いた曲が再生回数としてランキング化される。


「え、すご、上位の曲全部BUMP(BUMP OF CHICKENのこと)やん」

「ずっと一貫して聴いているよね」

「僕はその時によってハマるアーティスト変わるけど」


「たしかに、他のアーティストの曲も聴くけど、結局最後に戻ってくるのはBUMPやわ」

「なんでなんだろ」


自分でも謎だ。Mrs. GREEN APPLEやVaundy、ヨルシカも好きでよく聴く。でも、気づいたらBUMPに帰ってきている。

まず思うのは、あの歌声を聴くと安心感に包まれることだ。今流行っている曲は、ハイトーンボイスのものが多い。それでいうと、BUMPの曲は高い部類に入らない。

だけどそれが、あの優しい曲調につながっていると思う。低い声の方が、穏やかな気分に浸りやすいのかな。それとメロディーにも秘密が隠されているのだろうけど、作曲のことに疎いので、これはよくわからない。


あとは、歌詞だ。深い。潜っても潜っても、作詞されている藤原基央さんの深さまでは、到底たどり着けない。何回も聴いて、あるいは自分が日常生活でいろんな体験を経てやっと、「こういうことを歌っていたのかな」と、理解することが多い。

歌詞の解釈の仕方もいろいろできて、味わい深い。だから、何度も聴きたくなる。藤原基央さんは、ミュージシャンであると同時に詩人でもあると思う。



テレビ番組の関ジャムのインタビューで、「この曲がもう完成したと判断するのは、いつですか」という質問に対して、「曲のほうから”完成した”と語りかけてくれるので、それで判断している」みたいなことを、藤原基央さんは言っていた。天才のそれ、みたいな回答だ。

曲のほうから「完成したよ」と、なかなか語りかけてくれなくて、難航したものもたくさんあるのだと思う。それぐらい考えて考えて、考え抜いて生まれた曲だから、あの深さに至っているのだと思う。僕がいろんなアーティストにハマっても気づいたらBUMPに戻ってきているのは、それが理由にあるのかもしれない。


その中でも歌詞を書くのに時間がかかった曲があって、それは『ロストマン』という曲。20年ほど前に作られた曲なんだけど、ミスチルの桜井さんも好きな曲で、Bank Bandでカバーされていた。

なんとこの曲、歌詞を書くのに9ヶ月かかったそうだ。藤原基央さんも「この時期がトラウマになっている」と、関ジャムのインタビューで答えていた。

歌詞の解釈は人によって異なるので、ここでは歌詞についての個人的な見解は書かないけど、僕は折に触れてこの曲を聴きたくなる。過去に選んだ道を後悔して、一歩が踏み出せなくなりそうになったら、この曲の歌詞が頭に浮かび上がってくる。そして、口ずさむ。忘れてしまわないようにと。


間違った旅路の果てに正しさを祈りながら


自分では表現しがたい、このなんとも言えない、心苦しさと希望とが入り混じった気持ちを、歌詞と歌声に乗せて僕に伝えてくれた。ちなみに、この歌詞にインスパイアされて制作された任天堂のゲームソフト、『間違った旅路の果てに正しさを祈る』が存在する。プレイしたことは、残念ながらない。

それと、この記事は2時間ぐらいで完成した。noteで文章を書き始めてから、文章のほうから「完成したよ」なんて声は、一度たりとも聞こえたことがない。なので僕には、記事が完成したタイミングを判断する術がない。


いつか聞こえてくる日が来るんでしょうかねぇ。

うん、たぶんこないね。


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