地球の歩き方 「韓国」
誰の心にも、冒険心はあると思う。
知らない土地に行って、まだ見ぬ景色を求め、自分がこれまで生きてきた世界と全く異なる文化に触れたい。
程度の差こそあれ、誰にでもこの冒険心、好奇心が眠っていると思う。冒険には危険がつきものだが、危殆に瀕しているからこそ、生きている実感が湧いてくる。
僕の場合は、高校時代のワンダーフォーゲル部(山岳部のような部活)にこの冒険心が呼び起こされ、大学2年の夏休みには、ユーラシア大陸をバックパッカーで横断する旅へと駆り立てられた。
ワンダーフォーゲル部で出会った友達と2人で、約1ヶ月間かけ、徒歩・バス・電車だけで横断した。そして生きていて記憶がまだ鮮明なうちに、この思い出を書き残したいと、思い立った。それは、昨日の記事にも書いている。
普段書いているような記事の間に、この紀行記を挟みながら、それらの記事をマガジンとしてまとめようと思っている。
さて、このユーラシア大陸横断の旅についてだが、どこから書き始めよう。
このユーラシア大陸横断のスタート地点は、ロシア極東の都市、ウラジオストクだ。本来はここから書き始めるべきなのかもしれないが、ロシアに着く前に経由した国である韓国での思い出から、書き始めることにする。
僕と、旅を共にしたこの友達の出身は、兵庫県。実家でそれぞれ旅の支度をして、この子の家で旅程の確認を行い、関西空港に向かった。
関西空港の本屋で、訪れる予定の国のガイドブック『地球の歩き方』を買い込んで、韓国行きの便を待つ。初めて訪れる国にワクワクしながら、「本当に大丈夫だろうか」という不安もつきまとう。ガイドブックを読みながら2人で話し合っていると、韓国行きの飛行機が到着した。
飛行機に乗って海外へ行くのは、修学旅行で台湾に行った経験があったので、特に恐怖というものはなかった。あの離陸する瞬間の無重力状態が好きで、この時も人知れずこっそり楽しんでいた。
飛行機の中でも、『地球の歩き方』を読みながら友達と話していると、韓国に着いた。2時間なので、あっという間。僕が広島から実家に帰省する時の、半分の時間ではないか。人類は、とんでもないもの(飛行機のこと)を発明してしまったらしい。
韓国の空港(なんていう空港か名前を忘れた)で、夜ご飯を食べることに。ロシアに向かうための経由地として韓国に来たので、空港からは出ない。全く読めないハングル文字が、空港内の店の看板に並んでいる。ショーウィンドウからビビンバが食べられそうだと判明した飲食店が見つかったので、そこに入って夜ご飯を食べることにした。
そこで食べたビビンバの味、交わした雑談のことは、全く覚えていない。「これが本場のビビンバの味か」とはならなかったことは、覚えている。もしかすると、日本の飲食店で出されるビビンバのレベルは、高いのかもしれない。
ご飯を食べたあとは、空港内をウロウロして回った。テレビニュースが流れていても、何を喋っているのかわからない。
ロシア行きの飛行機便は、翌日の朝だったので、この空港で野宿することになった。このユーラシア大陸横断で野宿を何回かしたが、これはそのうちの、初めての野宿だった。
夜中もこの空港内にいれると思っていたのだが、何かの理由(何だったか忘れた)で空港内の外へ出されることになった。駅ホームの待合室みたいな場所に案内され、「寝るならここで寝ろ」と、僕らを案内した人はジェスチャーしていた。
残暑が厳しい8月下旬。蒸し蒸しとしている。エアコンはついていない。イスに座って、寝るしかない。頑張って寝ようとしても、蚊の羽音が気になって眠れない。
「こんな野宿が、この後も何回か待っているのか」
「この旅の誘いに乗らなければ、今頃ベッドに横たわって、冷房が効いた涼しい部屋で眠れたというのに」
まだユーラシア大陸横断のスタート地点にも立っていないのに、もう後悔の念が芽生えていた。
隣のイスに座っている友達の方へと、視線を移す。
スヤスヤ眠っている。
不快耐性つよ太郎だ。
写真を探していたら、その時に食べたビビンバの写真がありました。
まさかこのあと自分がnoteで文章を書いているなんて、思いもよらなかったので、きれいな写真を撮ればよかったと後悔しております。
あと、韓国は空港以外には、全く足を運んでいません。タイトル詐欺です。
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