反省日記

 定期がない。
 財布もない。
 支払手段が何もない。

 恥ずかしい話だが、先日の退社時オフィスにカバンを忘れた。
 スマホでネットを見るのに夢中で、帰り支度がおろそかになったからである。
 取りに戻ろうにも、わたしはオフィスの鍵をもっておらず、締め出された状態である。

 会社から自宅まで徒歩で帰るのは不可能な距離なので、わたしはパニックに陥った。

 《…オフィスが開く朝まで、近くのファミレスで過ごすのか?》

 そのとき、自分に呆れ返って動けなくなったわたしの横を、偶然にも同僚が通り過ぎた。

 「待ってくださいぃぃい〜」

 おそろしく情けない声が出た。

 わたしは同僚に電車賃を借り、無事家にたどりつくことができた。
 ちなみに家の鍵はポケットに入れていたので、その点については事なきを得た。

 家に帰り、ほっと一息ついたとき、ふと思ったことがある。

 「タクシーに乗れば自力で帰られた…?」

 恥ずかしいやら情けないやら申し訳ないやらで少しへこんだ。そして、同僚の優しさには感謝してもしきれない。

 こんなことが二度とないように、帰り支度はきちんとしなければいけないと心に決めた。
 スマホに熱中するのも、気をつけようと思う。

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