空中落下作戦

会話劇書いてみました。楽しすぎた。ここに置いておきます。

僕 僕は空を飛びたい。なーんて。無理だよね。

? ばあ!びっくりした?

僕 できればお星さまにぶら下がって、手に豆でもできたらな~。
  なーんて。そんなの豆どころじゃ済まされないな。。
  ほら、血まみれだ。

? え?聞こえてない?
(集団で現る)
  ばあ!びっくりしたでしょ?今度こそ

僕 うええ!?なにこれ!?気持ち悪いなあ

? それ、初対面でいうかな?ひどいな全く。みんなありがとう!帰っていいよ

僕 あれ?見えなくなった、なんだよ今の。気持ち悪い。

?(心の声)あー。僕見えないのか。
 (咳払いして)さっきの話聞いてたよ!君、空を飛びたいんだ?

僕 ん?あー。うん。

?(心の声)お!声は聞こえるのか。
 (咳払いして)僕がお手伝いしてあげるよ!

僕 え?見えない相手に?何をどうやって手伝ってもらえばいいんだ。

? 何をするって、その腕と足をぴーんと伸ばして、はい、完成。
  あとは、そのまま落下してくれればそれで大丈夫。僕が下から押してあげる。

僕 それの何が大丈夫なんだよ。というか、君は誰なんだ?

? 僕は俗にいう細菌だよ。

僕 細菌!?細菌なんて僕に近づくなよ。

細菌 なんで?僕何も悪いことしてないよ。

僕 そうだけど、、、いや!そうなんだよ!存在がさ、ほれ、もう悪なんだよ。

細菌 ひどいな~。初対面でそんなこと言うかね。好きで登場してるわけじゃないのに。

僕 なんで来たんだよ。

細菌 君が、血なんて出すからだろ。

僕 血?

細菌 そんなことどうでもいいから、とにかく僕に体預けて空を飛んでみようよ!

僕 やだよ。だって、君は汚いし、ものすごく小さい。僕は空へ飛ぶどころか落下してしまうだろ。

細菌 じゃあ、一人で飛べばいいんじゃない?
   そこにあるプラカード「空中落下作戦」て書いてある。
   もともと一人で飛ぼうと思ってたんだろ?

僕 君、文字読めるんだ。だとしたら理解してほしいんだけど、
  落下だよ、落下。飛ぼうと思ってここへ来たわけじゃないんだ。

細菌 それってまるで、落下を飛ぶより下に見てるような言い方だね?
   落下をなめたらいかんよ。落下したかと思いきや低飛行して
   上昇する時だってあるんだよ。

僕 君は、脳天気でうらやましいよ。僕もそれくらい気楽に生きれたらな。
  真面目過ぎてつまらない。器用で何でもこなしてしまう。

細菌 へえ~。すごいじゃないか。

僕 勉強も、運動もできる。

細菌 そういうのうらやましいな~。

僕 失敗もしたことがない。

細菌 欠点の付け所がないね!

僕 だけど、大きな成功も、喜びも幸せも、感じたことは一度もない。
  家に帰ると決まってテストの話だ。
(回想シーン)
母 どうだった?今日のテストは。
僕 ん~。まあ、ぼちぼちかな。あっ!そうだ!聞いてよ!
  今日ね、クラスの友達が教室の端で大喧嘩して、
  窓ガラス同時に二枚割ってたんだよ!
(遮るように)
母 テスト!返されたんでしょ?早く見せなさい!!
僕 あ、、、。うん。はい。
母 98点!!やっぱりすごいわねえ。お父さんにも言っておかなくちゃね。

僕 点数ごときで、何を騒ぎ立てるんだろう。
  本当はもっとばかげたくだらない話がしたいのに。
  誰も聞いてくれないんだ。
  僕が!お母さん、お父さんに冷たく関わればよかったのかもしれない。  
  でも、それは怖いんだ。
  僕はやっとの思いで、98を取ってくるんだ。
  誰のため?
  お父さんとお母さんの名誉を守るため。
  僕は、必死だ。失敗が怖い。
  そんなことしたら、見捨てられるんじゃないかって、びくびくしてる。
  だったら、いっその事根こそぎ消えてしまおうと思ってここに来たん
  だ。けど、、、

細菌 見えた!!

僕 なにが!?

細菌 え?誰も聞いてくれない、その、くだらない話が。
   クラスの友達同士でけんかして、窓ガラス二枚
   割ったんでしょ?

僕 なんでわかったの?

細菌 今、君の脳みそまで入り込んだ。小さいことって案外武器になるんだ
   なあ~。

僕 君の姿、見えないけどきっと、変わった見た目をしているんだね。
  変わってるかあ~。いいな~。僕もそういう一面ほしい。

細菌 君は、窓ガラス割ったことないの?

僕 ないよ、盗み食いも、万引きも、強盗も。

細菌 いや、、、もっとかわいいさ、悪戯とかもないの?

僕 ないな~。先生のこと
  「おい、センコー。」とか呼びつけないし。

細菌 君からしたらそれは悪戯なんだね。
   君は、トイレに行くことを
   「お花摘み、行ってきます。」
   っていうタイプだね。

僕 正解。クラスの子みたいに
  「センコー、クソ行ってくるわ」
  とか言えたらいいのになあ~。

細菌 それは、言えなくていいんじゃないか?
   希望がわんさか出てきているし、
   この流れで君の願いを僕がかなえてあげるよ。

僕 空を飛ぶ?

細菌 ここまで話した仲だ!大丈夫。僕を信じて。

僕 わかった。

二人 せーーの
(二人で飛ぶ)
(走馬灯が走る)
母 お父さん!あの子98点だったわよ。
父 お!やっぱり、あいつはすごいな。次は100点か~。

クラスの友達 え!?98点?すごっ!いいなあ~。羨ましい。
       頭もよくて運動もできんのかよ。
       言いたかないけど、この全校生徒の中で 
       間違いなく1位だね。

僕 なにが、なにが!なにがだよ!!
  1位?嬉しくなんかないよ。君が羨ましいよ。僕はなれっこない。
  98点?100点には届かない98。馬鹿だって詰め込めばこんな点数取れ
  るさ。
  僕は、相変わらず怯えてる。
  期待されて、期待に応えられなかったら。
  てか、期待すらしてもらえなくなったら。
  そうやって、僕を見捨てるんだ。
  勉強、運動できてすごい。
  こんな言葉、何もうれしくない。
  ただ僕は、くだらなくてバカみたいな話がしたいだけなのに、
  僕の口から出るのは、少し頭のいい数式だけだ。
  取り繕ってる外見に追いつこうと必死なんだ。
  もう、つらいよ。
(ドーンという衝撃音)

細菌 どうだった?

僕 っ、、、頭が痛いよ。
(プラカードを見る)
ん?なんだこれ。
「空中落花菌作戦」

細菌 書き換えて、付け足したよ。
   菌のことすっかり無視するんだから。

僕 僕は、生きてる?

細菌 んー。それは、わからないけど。
   君の周りには、花が置いてあるよ。

僕 花?僕、、、

細菌 君だって、失敗するじゃないか。



  

   


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