子ども同士で遊びあい、育ちあう

児童精神科医佐々木正美先生によると

子どもは子ども同士で遊びあい育ちあう

佐々木正美 子どもへのまなざし

親が「子ども同士で育ちあう」ということを知らないと、自分の子どもだけを一生懸命に教育しようとする。
学校の先生から勉強を、スポーツクラブのコーチから、音楽教室の先生から、外国語をネイティブ講師から、、、
大人から教えてもらうことで、確かに知識や技術は伸びるかもしれない。
ところが、子どもの人格の中心部分は、それらだけでは育たない
子ども自身が年齢相応の社会性を身に着けておくことが必要。

不登校や緘黙、家庭内暴力、拒食、非行などの非社会的、あるいは反社会的な行動がみられる子どもたちは、「大人からしか学んでいない」という傾向があるそうだ。

大人から学ぶ機会が多かった子が悪いという、良し悪しの問題ではないのだと思う。早期教育を受けてきたからといって社会性が育たないわけでもないだろう。
とはいえ、就学時にある程度の学力がある子どもは、学校の勉強も簡単すぎてつまらないだとか、周りの子どもたちとの会話が面白くなくて学校に行きたくないという声を実際に聞くことがある。
詰め込み式の早期教育だけで、学習する習慣がついていなかった子どもたちは、10歳頃から伸び悩むことが多いが、しっかりと学力があり、学校になじめない子の場合は、無理に合わせようとしても、難しいので、レベルにあわせて学校を選ぶ、つまり地元の公立校よりも受験向きだ、と考えるとよいのかなと思う。
同世代の子どもと話すよりも、年配のおじいさん、おばあさんと話すほうが心地よい人もいるだろうし、何かの専門領域にはまっている子は、その道の専門家に出会う、SNSでつながる機会をつくってみるのもよいかもしれない。

身の回りの狭い範囲の中で、適応を求めるのではなく、時として距離や付き合う世代の幅を広げたなかで、自分にとって居心地のよい場所を求めるということも必要だろう。

それでも、子どもが子ども社会に適応するためには、「子どもは子どもから学ぶ」ことを親が知っていて、その機会をつくるということは大人の役割なのではないかと思う。

子ども同士で学びあうためにどうすればよいのか???

子どもが、どんな環境でもそれなりにコミュニケーションをとれるようにしたいと思うのならば、幼児期に大人があれこれ教え込んだり、干渉しすぎず、子ども同士で関わりあう経験をたくさんしておくということが、やはり大事だと思う。

「こどもへのまなざし」のなかで、具体的な方法について言及されていたのが、親せきや友人の家族と(難しければ子どもだけ誘って)一緒に遊びにいくことだ。

人と一緒にくつろぐ努力をする

家族旅行ならば、気楽で気兼ねなく行けるけれど、親せきや友達を誘っていくと、いろいろと気兼ねしたり、煩わしさも出てきて、かなり気を遣うことになる。だけど、だからこそ社会性が育つ。
(家族だけだと、親にコントロールされた動きしかしない。自分の判断で行動しなくなる)

どうしたら、人と一緒にくつろげるかということを、多少努力してでも試みるべきだろう。

確かに、せっかくの休日に気を遣いたくなくて、気を遣わせるのも申し訳なくて、我が家の場合も家族だけで行動しがちだ。
親が友達と遊ばないのに、子どもに「友達と遊びなさい」というのも本当に変な話しだ。
なんとなく、友人に、家族に気遣い、楽な方に、自己完結できる方向に行ってしまうと、コミュニケーションは生まれないし社会性も育たない。

大人も子どもも、コミュニケーションスキルが必要だ。そしてその力を習得するには、地域・人との関わりが必要で、そのための煩わしさを受け入れる必要がある。

人類誕生から今に至るまで、不便のないところに、コミュニケーションは生まれていない。

西野 亮廣 夢と金 幻冬舎

核家族やワンオペだけで、子どもの社会性をはぐくむのは「無理ゲー」
地域社会やコミュニティを活用して、あえて不便な環境に身をおいて、その不便を仲間と楽しむ。



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