やり方がまずかっただけ #133

「言いましたよね」
「連絡があると思っていました」

平日に有給休暇を取得した翌日、出勤すると何やら不穏な空気が漂っている。

その前日、職場(保育園)で地域の方を招いたイベントを行っていた。
その時間に、来園した子どもの写真を撮り、帰るまでにカードに写真を貼ってプレゼントする、そんなことを、現場で計画していた。

ただ、保育のスタッフは、通常保育に加えて地域の方の対応もあり、ちょうど忙しい時間、写真プリントのヘルプを時間的に余裕がある別のスタッフに依頼していたのだ。

同じ施設で勤務していても、部署が異なる2人。

勤務時間や場所が少しずつ異なっていることもあって、お互い大変な時は助け合うことになっているが、日常的なコミュニケーションは挨拶程度。

イベントは30分で終わる。
依頼された方は、指示を理解できていなかったのか、忘れてしまっていたのか、イベントのある時間に別の部屋にいて、結局依頼した職員とは別のスタッフがその場で奮闘することになり、かなり手こずったそうだ。

「頼んでおいたのに、どういうこと!協力する気がないの?」と憤るスタッフ。

双方にある程度のやりとりの実績があり、信頼の蓄積があれば、信じて任せられただろう。
そうでなければなんらかのエラーが起きるのは必然だ。

信頼が無いのに、相手に勝手に期待して、やってくれると信じて、口頭で依頼(指示)しただけであとは任せきり。

聞いていると、その他にも、コミュニケーションの不足があちらこちらにある。

朝、ひと言お願いしておけば、
テストプリントの結果を確認しておけば、
きちんとスケジュールを確認していれば、
人の動きや役割を把握していれば、

〜たら、〜れば、が至るところにある。
これを責めたって、誰も幸せにならない。

「前日に確認しておけば、よかったね」
「こちらこそ、きちんと声かけできてなくてごめんなさい」

そうやって、自分が足りなかった部分をお互いが謝れば、丸くおさまりそうなのに…それができない。

悪者家族の話を聞いた。
けんかが絶えない家では、皆が「私は正しい」と譲らない。
正しい人ばかりだと争いが絶えない。
その話を聞いた人が「私の家族は全員悪者だから、けんかはしない」と言った。

お茶をこぼしてしまった時、
1人は「私が茶碗を置いた場所が悪かった」
1人は「私が選んだ茶碗が悪かった」
1人は「私が注意喚起しなかったからだ」
こうやって、皆が悪者になり謝りあうので、けんか、揉め事にならない。

そういうことよね。

原因は自分の中にあると思っておくくらいがちょうどよい。

自分では伝えたつもりでも、相手に伝わっていなければ伝えたことにならない。

受け手側の問題ではなく、どういえば伝わるか、自分の思い描いた通りになるだろうかをもっと丁寧に、相手の立場になって想像することが大切だ。

正直なところ、私がいれば、そんな凡ミスは起きなかっただろうという気持ちもある。
いやいや、私がいなくてもトラブルが起きないようにするのが、私の仕事なのよね。

信じて任せる、ことは大事。
信じていたけれど、裏切られたのか?
本当に任せられる状態だった?

「単にやり方がまずかっただけ」なのかなと思う。

みんなが悪者になって、相手の行動に依存せず、うまくいく別のアプローチを考えていくのみ。

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