【ゴミと記憶】とあるアーティストを紹介させて下さい16

床一面にぎっしりと敷き詰められた、大小様々な耐火レンガブロック10.000個。それぞれのレンガの表面には、20世紀の100年間に起こった出来事の新聞記事が転写されています。

この作品、「20世紀の記憶」を作った、とあるアーティストを紹介させて下さい。

彼女は1932年、大阪に生まれました。

1950年代に現代美術家としての活動をスタートします。

初期は具象画(対象物を具体的に描く絵画)を発表。
画家の三島茂司の影響を受け、コラージュ(様々な素材を組み合わせ、新たな作品を作り出す技法)による実験的絵画を制作。

70年代は立体作品に取り組み始め、71年「日本陶芸展」で、陶(土を焼いて作ったやきもの)にシルクスクリーン(孔版とも呼ばれる印刷技法)で印刷物の活字を転写した作品を初めて出品、以降この技法は彼女の代名詞ともなります。

1986年から87年にかけて、ロックフェラー財団奨学金により、ニューヨークに滞在。様々な芸術家と交流します。

帰国後は岐阜県土岐市を拠点に、陶製の新聞紙や空缶、巨大なゴミ箱やみかん箱などの作品を始め、産業廃棄物を加工した物や時には本当に捨てられていた物などを使って数々の作品を作り出します。

現在(2024年6月28日現在)、練馬区で彼女の作品展が開催されています。タイトルは「未来への記憶」です。

彼女の名は三島貴美代。ひたすら大量消費されていく「情報」を、陶という割れなければほぼ永遠に残る物に結晶化させたアーティストです。

三島貴美代 さん は2024年6月19日、91歳でお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈り致します。

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