UXについてはさまざまな手法や事例が出版されているが、学問領域として取り上げている書籍は少ない。
今回はアカデミックな内容も含めた、UXをデザインするための理論とプロセス、手法に関する知識を体系的に解説している本書を手に取った。
本書の構成は以下の通り。
総評
1章ではUXデザインが重要視されるようになった歴史的背景やUXデザインが目指すもの、2章では基礎知識としてUXデザインの7つの要素を取り上げている。
3章ではUXデザインのプロセスを7段階に分け、それぞれの段階で行う実施概要や代表的な手法を確認する。
流れとしては大まかに、
調査・分析→コンセプトデザイン→プロトタイプ→評価→提供
であり、それぞれの段階で必要になる知識を確認できる。
4章では、前章で取り上げた手法の概要が説明されている。実施方法を詳細に取り上げているものもあるが、より実践的な実施方法については参考文献を読む必要がある。あくまで、どの段階でどんな手法を取ればいいのか確認するためのもの。
本書の使い方は、UXデザインの全体像を学術的な点も含めて知識として吸収し、実践の段階になったら3〜4章を中心に辞書的に使うのが良いだろう。まさに”教科書”として使うのに相応しい。
大学の授業(名付けるとしたら”UXデザイン概論”であろうか)の教科書として使えるような網羅的に確認できる一冊だった。