シルビア日記20 凄み
柔道選手のゼッケンで金色を着用できるのはオリンピックの金メダリストだけだ。世界選手権の優勝者は赤色になる。
特別なゼッケンを身に纏う人がいる。彼は東京オリンピックで優勝を果たし、今年のパリオリンピックで2連覇を目指し努力を続けている。
人は変わっていく。いやそんことはない。外側から見る目、我々が変わってしまっているのかもしれない。
勝手にその人や、行きつけのそのお店に自分で鎧を着せて昔は違った、あの時はこうだった、あいつは天狗になったとか勝手に言っているのかもしれない。実際はその人もそのお店もなんら変わっていない。そう思っていたが、彼は変わっている。日々成長しているのだ。時を止めているのは自分の方で成長がないということに気がつかないといけない。
だから彼と向かい合った時に一瞬息を呑むんだ。
先日彼の稽古を見させてもらった。高校時代から地道に努力をするタイプであった。それは大学進学後も変わらなかった。柔道家の最大の目標であるオリンピックチャンピオンになっても変わらない。それはなぜなのか。すごく興味が湧いた。常に自分にフォーカスを当てて、成長をしようとしている。勝敗というより自分を磨くための当たり前の毎日がある。追っかけられる立場はきついことの方が多いと思う。
ライバルのことを聞くと
「すごく刺激になります。もっと頑張らないと。」
誰よりも汗をかいている人がさらっと言いのける。
当たり前のことを当たり前にやることの難しさ。高校生や大学生の頃は怖い指導者がいて取り組む、でもそのころから自分のためにやっていたんだと思う。
「細かいこと、地味なこと、人が面倒と思うことをしっかりやることで、最後の勝負の際が強くなるのかなって思っています。」
そんなことはわかっている、俺だって、誰だって。
でもみんな自分の弱さに負けるんだ。根底にある楽好きに負けるんだ。
芸能人も有名人は寄ってくるものに対して面倒だなと思う節がある。だから距離が生まれる。それはスターとして当然の権利だと思っていた。
しかし彼は高校生と同じ目線で時には自分のできないことを曝け出して話をしてくれる。だから隙を感じない。誰もが応援したくなる選手。いや人として男として格好いいと思う人がいた。20歳以上も離れた彼に生き方を教わった。
震えるほど格好いい男に惚れた。
パリオリンピックは全力で応援しようと思う。
そして自分も頑張る。
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