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小説「メグル~猫と名付けられた僕①~」

~会いたい~ 

???「長くは生きれないんだよ」
 僕「それでいい」
???「会えるとは限らない」
僕「探し出す」
???「チャンスは2回…本当にいいんだね」
僕「うん」
……

 あれからどのくらい歩いただろう。
真っ暗な世界の中、光を求め僕はただひたすら歩き続け、やがて眩しい光に包まれた。

 僕は産まれた。そこは眩しく光に満ちあふれていた。母親は優しく僕はすくすく成長した。幸せな日々だった。なのに僕はどこか焦っていた。行かないと、探さないと、早く!僕には時間が無いのだから…。
  そんなある日、僕は攫われガラス貼りの部屋に閉じ込められた。泣いても誰も助けてくれない。それどころか多くの人間がガラス越しに僕を見つめる。

  「誰か助けて!ここから出して!」何度叫んでも誰も助けてくれなかった。時間が無いのに…誰か助けて…ここから出して…。

 あれから何日過ぎたんだろ…このまま死ぬのかな…。後、どのくらい生きれるのかな…。
 絶望の中、眠りにつく日々が続いた。

 ??「死なないで!」
夢の中で誰かが泣いていた。
 僕「泣かないで!大丈夫またすぐ会えるから僕達はいつだって一緒だよ」そう言い残し僕は夢から覚めた。 

  絶望してる時間はない。僕は探さないと行けない!諦めずに周りに訴えた。すると1人の男が気づいてくれた。僕はその男に買われやっとそこから出られた。

  僕はそのまま男の家に連れて行かれた。男の家には妻と小さな子供が居て僕は末っ子として迎えられた。
夜になり、僕はここからの脱出を考える為家のいたる所を探検していた。すると、僕にくっついて来ていた子供が急に体を掻きむしりだした。僕は気にせず出口を探し出た。子供は何度も僕を捕まえるが僕はその度に腕の中からぬけだす。
  一通りみて僕は元の場所に戻った。子どもも僕の後を追い後から来た。男たちの部屋に行くと男の妻は驚いて駆け寄ってきた。
  子供の目は充血して、顔も体も引っかき傷だらけでおまけに血が滲んでいた。男たちは急いで子どもを医者に連れていった。僕は家に残され、その間もひたすら出口を探していた。 ドアは高くて手が届かない。窓は全てカギが閉まっている…やはりダメか…。

 そんな事をしてる間に男たちが帰ってきた。男は直ぐに僕を捕まえる檻に閉じ込め隔離された。
 「どうしよう…これでさらに出れなくなった…。」
 檻の中から叫んでも男たちは見向きもしてく無かった…それどころか何か真剣に話し合っていた。どうやら子供か掻きむしり出したのは僕が原因だったらしい。そんな事を聞きながら探検して疲れていた僕はいつの間にか眠りについていた。

 朝、男の足音で目が覚めた。
男「ごめんな。」
男は一言だけいい無言で僕をダンボールに入れ、まだ薄暗い外に連れ出した。
 
 僕を乗せたまま車は走り出した。どのくらい走っていたのだろう…車は急に止まり男はダンボール事僕を外に出しご飯をくれた。
 朝ごはんまだだったので僕は勢いよく食いついた。男はその間にどこかに消えた。

 ~諦めない~


ご飯を食べ終え周りを見渡すと全く知らない場所だった……。
 「ここは…」

 周りを漠然と眺めているとどこからか微かに悲しい感情が流れてきた……

初めての感覚。でもそれが何かはすぐにわかった。あの子だ!!!

僕は、ダンボールを飛び出し走り出した。
行かなきゃ!待ってる!!!
背の高い草木をかき分け僕は必死に感情が流れてくる方向へ走った。

  あれから何日たったのだろう…
 周りを見ても草木しか見えない代わり映えのしない景色…。
  あと、どのくらい歩けば会えるのだろうか…。会いたいという気力だけで脚が動いていた。

  どんなに絶望的でも僕はあの子の感情が流れてくる方に脚を動かし続けた。なぜなら、少しずつだけど感情が濃く流れてきているから。これはきっと近い証拠。
諦めない。必ず…約束したから………。

(約束する。絶対……………。)

~きたよ~

 僕は感情の流れを頼りに山の中を歩き続けた。感情はどんどん濃く感じられる。
  歩き続けると突然開けた場所にでた。目の前には小さな祠が立っていた。
次の瞬間、僕はなんとも言えない感情に襲われた。
あ……やっと……。

僕は声にならない声でつぶやき全速力で駆け寄った。
そこには祠の岩に、もたれ掛かるようにして1人の少女がいた。
「きたよ!!」そう叫ぶも少女は反応がない。どうやら寝ているようだ。木漏れ日に照らされた少女の顔を見て少女が泣いていたことに気づいた。

   泣き疲れて眠ってしまったのか…。
「これから僕がそばにいるからね。」そう呟くと少女の悲しみが少しでも和らぐように、と…隣で寄り添い僕も眠ることにした。

   次へ続く。

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