新生「映画秘宝」の感想

新創刊した「映画秘宝」を手に入れた。
秘宝のロゴが変わってるが、前の方が良かった。本文の文字が大きくなって読みやすくなったが、その分、文章量が半分くらいに減ってる感じがする。

中身についての感想。90年代特集は意欲的に取り組んでいる気がした。緊急切迫インタビューのジョージ氏、麗日氏と言う人たちの取り上げてた大島育宙と言う東大生YOUTUBERの動画は以前に観た記憶がある。大島育宙氏は、過去に、映画秘宝のDM事件について動画をあげていたと記憶するが、今回検索しても出てこなかった。

ただ、このインタビュー、取材・構成=『映画秘宝』編集部となっていて、誰が聞き手なのかが分からない。それなのにインタビューの文中に「『映画秘宝』を創刊した町山智浩さんや田野辺尚人さん」「あれは編集部・寺岡が〜」と書いてあり、違和感を覚えた。新編集長の寺岡氏が1人でインタビューしてそうだが、町山氏、田野辺氏は身内なので、「さん」づけしなくて良いのでは、と思った。

さらに問題なのは加賀賢三氏、睡蓮みどり氏のインタビューページ。こちらも取材・構成=『映画秘宝』編集部となっているが、誰が参加してるのか明確ではない。文章を読んで推測する限り、寺岡氏とオフィス秘宝の田野辺氏(2代目編集長)の両名は参加していそうだが、寺岡氏が発言している所と、田野辺氏が発言している所をきちんと明確にして、書くべきである。
寺岡氏は過去の秘宝の誌面には関わっていないだろうから、田野辺氏が謝罪し、田野辺氏が反省するべきなのに、そこが曖昧になっていると感じた。

またインタビュー内で「(映画秘宝は)2010年代以降はミソジニーの感覚で作っていた」と書いてあるが、なぜ、2010年代以降がミソジニーの感覚になったと考えているのか、理由を書いていない。これも大きな問題。

自分は初期のムックからの読者で、2010年頃は特集によって読んだり読まなかったりしていたが、初期の秘宝は「中学生男子」「男泣き」と言うフレーズがあったので、初期の方が女性読者を完全に拒否してる感じがあったと記憶している。2008年の松本さゆき嬢の表紙とか、凄いインパクトで男性向け以外の何物でもなかった。「チョコデリ」懐かしいね。

映画秘宝のWIKIを見ると、2012年にDM事件を起こした岩田氏が編集長になったので、おそらく岩田=ミソジニーである、と言いたい気持ちがあるのではと予測するが、読者としてはピンと来ない。

自分の記憶にある「映画秘宝ってホモソーシャル的」と言われた決定的な出来事は、AKBの北原里英の家に映画秘宝があった事を町山氏が「女の子が急にマニアックなこと言い出したら、たいてい男の影響」とつぶやいて炎上したあたりからだと思う。こちらのまとめによると2013年ごろの話である。

映画秘宝=ホモソ、ミソジニーというのは、岩田氏ではなく、世間一般には、町山氏のイメージだと思われるし、リンク先のまとめの内容によると、創刊時には町山氏はこう述べていたらしい。「映画が女の観客を目当てにすることによって、映画雑誌が女性読者向けのものばかりになって面白くなかった。男向けの映画雑誌を作りたかった」

アメリカ在住の映画評論家として町山氏がメジャーになる事によって「秘宝の読者ではない人」から嫌われる事が増えたのだと思うが、町山氏と田野辺氏の2人で始めた時は、メジャーになる事など予測していなかっただろうし、レザボア・ドッグスのコスプレをして「キネ旬にパイ投げに行く」というような常識の無さが面白かった訳で、「行儀が悪い事も個性」と開き直っていた部分はあったのかもしれない。

岩田氏のDM事件について一読者として思う事は、「映画秘宝」と言う公式アカウントではなく、本当に文句があるなら、岩田氏個人のアカウントでDMを送れば、その後の双葉社を巻き込んだ大失敗(=被害者の連絡先を加害者に伝えてしまう)にはならなかったのではないか、と言う事である。これはやはり岩田氏本人の中に「ズルさ」があって、内容が脅迫だから自分の名前を出さなかったのではないかと感じる。例えばこちらのTabloの記事では「岩田拝」と自分の名前を出してDMを送っており、相手や内容によって態度を変えている訳で。「映画秘宝」のアカウントがある種の隠れ蓑になった訳である。

https://tablo.jp/archives/41858/2

その後の「映画秘宝」ご説明の投稿文も同様な隠れ蓑傾向がある。実際にご説明文を書いたのは、「映画秘宝編集部一同」ではなくフリーランスのライター、デザイナーであり、編集部員には内容を知らされてない人や、納得していない人がいた、と言う話である。

以下、元「映画秘宝」編集部に関するデマ対策noteの投稿からの引用

「26日文書」の名義は「合同会社オフィス秘宝 取締役 田野辺尚人/映画秘宝編集部一同/映画秘宝相談役 町山智浩 柳下毅一郎」となっていますが、この文書を作成したのは、高橋ヨシキ氏、町山氏、柳下氏、てらさわホーク氏らで、当時は編集部のアルバイトであった秋山直斗氏がまとめを担当したとのことです(ほかの一部編集部員は文面の確認を求められただけで、文書を送られていない編集部員もいました)。

https://note.com/ex_hiho/n/nd991a3b8feab

このご説明も「映画秘宝編集部一同」とまとめられた中で「誰がこの内容を作成したのか」が曖昧になっており、加賀健三氏、睡蓮みどり氏のインタビューや、DM事件と同じ構造になっていると感じる。これも、本当に文章を作成した人物や、公開に納得している人物の名前だけ出せば良いのではないかと感じるが、なぜか「映画秘宝」全体の総意という形にされているところが、とにかく「炎上をおさめたい一心で」動いてる雰囲気で、責任の所在が曖昧だなと感じてしまうのである。

一連の騒動については、ロマン優光氏の連載が一番的を射てる気がするが、田野辺氏と町山氏と新編集長がどこまで頑張れるのか興味があるので、今後を見守っていきたいと思っている。


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