知ってほしい、手掌多汗症のこと。
これは、今までの人生でずっと私を苦しめてきた"ヤツ"のお話。
そしてきっと今も、どこかで誰かを苦しめているであろう、あの"ヤツ"のお話。
このことを誰かに伝えるのはたぶん初めてだけど、たくさんの人に知ってほしいと思う。
私は生まれつき、手掌多汗症(原発性局所多汗症)という難病を抱えている。
この病気は読んで字の如く人より手汗をかきやすいよ、っていう病気。「たったそれだけ?」と思う人もいるかもしれないけど、症状の程度も人によって全く違うし、原因も分からなければ完治させる治療法もまだ見つかっていない。
私の場合は季節関係なく「え?サウナでも入ってきたの?」と聞きたくなるくらいの手汗をかいてしまうからいつもハンカチが手放せない。
冬になるとよくある「もし彼氏が手繋いでポケットに入れてくれたらどう思う~??」みたいな女子トークも、いや私からしたらたまったもんじゃないけどね!?って心の中でツッコミを入れつつ、「そういうのもありなんじゃん??うっちわかんないけど。ふふ。」って言うのがいつもの流れ。
なにしろ周りの人に気づかれるのが嫌で、どんな反応をされるのか分からないのが怖くて、今までは病気をひた隠しにしてきた。
初めて症状に気づいたのは小学生の頃。
明確なきっかけは思い出せないけど、習い事のピアノで私の後の時間だった子に「ひかりの後ってなんか鍵盤濡れてて弾きにくいんだけど。」って言われたときのことは今でも覚えている。
自分でも薄々気づいてはいたけど、いざ声に出してそれを言われたことがなんだかショックで、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
それ以来ピアノの発表会では私が弾いた後にだけ先生が鍵盤を拭きに来るようになって悔しかったし、「恥ずかしかった」という一言では表しきれないくらいのむず痒さを感じた。
これ以外にも運動会の組体操とか、騎馬戦とか、キャンプファイヤーのダンスとか、、人と手を繋がなければいけない場面、特に避けたくても避けれないようなものは全部私にとって地獄だった。
今も症状は全く変わらないから、相変わらず誰かと手を繋ぐのも握手するのも苦手だし、プリントを後ろの人へ回すのすら苦しく感じるときもある。
もし仮に後ろの席が好きな人とかだったら普通はちょっとどきどきしちゃうものだったりするけど、私の場合はどきどきとかいう次元じゃなくてヒヤヒヤって感じ。笑
本当はそんなこと気にせず生活したいし、彼氏とデートとか行って手繋ぎたいし(彼氏いないけど)。
何より、私の青春奪わないで!!って思うけど、この病気があって今の自分の思考とか価値観とか色んなものが形作られているわけだから、まるっと受け止めてあげたいと思ってるのも事実。
とはいえこの病気があったからこその恥ずかしエピソード(仮)を笑い話として昇華(消化?)できるほど私はまだ強くはなくて。
今はまだへなちょこだけど頑張って共存しようとしているところ。
まあ手繋げなくても未来の彼氏とは腕組んでるんるんでデートすればいいし!!?(強がり)
年中無休24時間営業って言葉がコンビニ並みにぴったりな私の病気とは、これからも末永くお付き合いをする予定。
あ、末永くお付き合いをする”予定”と書いたのにはある理由があって。というのも、この病気は完治させる治療法が完全にない訳ではなくて、唯一半永久的に効果が持続する治療法として交感神経を切断する手術が存在するから。
ただその手術には代償性発汗という名の副作用が必ずついてくる。しかもその副作用の程度は手術してみないと分からない、というハイリスクなもの。
この先私が手術を受けることはおそらくないし、これからもこの病気と共に生きていく。きっと。
あなたの周りにもこの病気を抱えながら生きている人がいるんじゃないかな。
日本では軽症の人も含めると人口の約5.3%がこの病気だという調査結果もある。患者数に直すと約493万人。こう見ると結構多い。
この病気は周りに理解されなかったり、受け止めてもらえなかったりで何かと孤独を感じやすいけど、あなたはひとりじゃないよ。
いつかそう伝えられる人になりたいし、もしこの病気で悩んでいる人が周りにいたらそう伝えてあげてほしいなと思う。
死に直結する病気ではないというのはありがたいことでもあり、苦しいことでもあるから。
手掌多汗症、これからもよろしくね。まじ。