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イタリアの記憶「ε」ミラノで浴びた車のクラクションのこと

ミラノ出発でスイスの氷河特急に乗る旅をした時の事。前日にロンドンからミラノへ移動、ミラノとロンドンは1時間の時差があり列車に乗り遅れた話。

ヨーロッパ何日目だったか。2wあまりの旅行の最後の楽しみにスイス日帰り旅行を計画していた。

翌日ベルニナエクスプレスに乗るためにミラノに滞在し、ミラノ発のオプショナルツアーを旅行会社にたのみ手配した。個人手配より部分的にプロに任せると手間が省けることも多く便利なことも多い。費用はかかるけれども。

ミラノのホテルで少し早めの朝食を食べてゆっくり出かける支度をしていたその時、列車のチケットの出発時刻をみて青ざめた。

予定時刻より1時間早めの出発だったからだ。ロンドンとミラノは1時間だけ時差があってどこかで、時間の感覚が狂ったのか。前日に確認を忘れたのもある。この時一緒に旅をしていた知人も気がついていなかった。

電車の出発まであと残り10分。

駅前のホテルだ。走れば間に合うかもしれない。ものすごい勢いで2人でホテルを飛び出し、駅前のロータリーを信号無視して全速力で走る。

車のクラクションを思いっきり、鳴らされたのはあの時だけだ。映画の1シーンのようだった。

あの時一歩間違ってたら交通事故で死んでいたと本気で思うくらいバカみたいに走った。

映画ならピンチを切り抜けハッピーエンドとなるところだが現実はそうはいかない。

あと数メートルのところで乗る予定の列車は出発してしまった。

がっかりしてどうしようか悩み、旅行会社に相談すると次の出発の、同じ方面行き列車でもどうやら間ベルニナエクスプレスへの接続は間に合うことがわかったが、スイスでの実質滞在時間は電車を除くと1時間程度となってしまうことがわかった。

しかたない。スイスではサンモリッツで下車したが、歩き回っただけで買い物する気分でもなく、ただその町並みを見てあるいた。

観光列車はとても綺麗でそれまであまり海外旅での電車を清潔だと思った事はなかったのだが、この列車は別だった。

途中で日本のかなり高齢者ばかりの団体を見かけた。この観光列車を使えばガイドがいたら安心して景色を楽しむ旅ができると納得したものだ。

あと少し足が早かったら間に合ってもう数時間スイスの旅を楽しんでいただろう。
あと少し運が悪ければ、ミラノで交通事故に合っていただろう。

ミラノで大音量で聞いた、けたたましい車のクラクション音はイタリアでの思い出の1つだ。