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フランス滞在の記憶「α」 灰色のフォンテーヌブロー宮殿

当時日本を離れ、とある国に数か月滞在していた。その国で知り合った日本人と外国人混合のグループでフランスを旅行していた。

その頃の人間関係は今よりも軽やかだった。
男女問わずサラサラと様々な交流ができていた。

日本にいるとどうしても、人間関係が重くなりがちで、社会的制約に気を取られて、身動きがとれなくなる。私が理想とするのはゲシュタルトの祈りとその返し「パールズを超えて」の関係だ。理想はそれとして実践するのは難しいと感じることもある。

当時のグループ旅行で訪れたフォンテーヌブロー宮殿は、ものすごく個人的な解釈なのだが、少し落ち着いた趣のある宮殿だ。

京都の金閣寺にあたるものがヴェルサイユ宮殿なら、フォンテーヌブローは銀閣寺的なポジションかもしれない。

もちろん宮殿としての豪華絢爛さがあるのだが、自分には全くそういった印象の記憶がないのだ。

天気は印象を左右する。

到着した時の天気が曇り、そして小雨だったのだ。もはやここは冬のロンドンかと見紛うほど。

海外滞在時のホームシックが全くない私だったが、不思議な事に、ここの宮殿が「わびさび」という言葉を想起させた。

共通言語の拙い英語で仲間と談笑しながら、
意識だけ日本に向いていた。

灰色の空と雲の下に広大な宮殿があった。

フォンーテーヌブローが懐かしくても、来月はパリには行けそうもない。
きっと来年、再来年もだ。

また私は、ここに行きたいのだろうか。 

何にでも迷うことなく手を延ばし、軽やかな時間がゆっくりと流れていたあの頃を、思い出していた。