アメリカでのこと#17 最前列でクラシックのコンサートを聞いた話
アメリカ中部のコンサートホールでの話。
クラシックコンサートに普段行かない知人に、オーケストラの公演チケットを頼んだ。
夜がフリーになる日ができたので、その町にあるホールのコンサートに出向くことにした。
この日の何時からのコンサートチケットをお願い、、と簡単に伝えたら、チケットを用意してくれると。値段は気にしないので、とにかく良い席をとお願いした。
座席番号をみて少し困惑した。一番前の列、つまり最前列、指揮者の真後ろの席だった。
良く見えたほうが良いと思ってこの席を選んだといい、その人はチケットを自分に渡した。
確かに値段の話だけで、座席がどのあたりが良いか伝えてはいなかった。後からその事を後悔した。
一番前の列は関係者が演奏してるのなら、別の楽しみがあるのだが、一般客として行くので残念ながら全体の音を楽しむ場合は、あまり良い席ではない。
ホールにもよるのだが、前から10列目前後の中央だと、全体がバランスよく見えて音も聞こえる。という好みを伝え忘れた。
最もこの席だと、人気があるので早めに予約をしないとそのあたりからチケットはなくなる。
結局最前列に座った。
隣にやたらノリのよいおばさまがいらして、しきりに話しかけてくる。どこから来たの?今日の演目は・・など。社交辞令程度に会話を交わして、演奏が始まった。
クラシックのコンサートを一番前でみるのは、日本では経験がない。
普段はコンサートで見たことのない面白い景色が見えた。
指揮者の靴の裏がはっきりと見えた。
靴の裏が真っ赤だった。遠くの席、また、角度によってはここは見えないだろう。
履いてる靴のブランド、おそらくクリスチャン・ルブタン。
ハイブランドのオシャレな靴。
コンサートが終了すると隣のご婦人はfabulous!を連呼されていた。
マエストロという職業は、美しい音を奏でるために全体を統制する事だけでは事足りず、足の裏まで気が抜けない商売らしい。
たまには何も知らない人にチケットを頼んでみるのも、面白いと思った。
同じものを見ていても、異なる場所からは、全く違った景色がみえるのだ。
新しい視点をくれたこの知人には後日礼をした。あなたに頼んで良かったと。