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うちのこ大丈夫?〜人喰いバクテリアについて〜

保育園で働いていると「うちの子溶連菌でした」。とよく保護者の方から報告を受けます。溶連菌と劇症型溶血性レンサ球菌何が違うの?私たちや子どもが感染するリスクはあるの?にお答えしていきます

「人喰いバクテリア」劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは?


現在日本で過去最多のペースで増加しています。
実は劇症型溶血性レンサ球菌感染症は名前の通り非常に重篤な細菌感染症です。医療の世界では「STSS」と呼びます。
STSSは聞き慣れない方も多いかと思いますが、子どもの多くがかかるA群連鎖球菌(=溶連菌)に感染した方がなる超重症型の感染症です。
死亡率は30%でありとても怖い感染症なのです。
そんな怖いSTSSですが、溶連菌はどこからやってくるのかというと、普段から咽頭や皮膚などによくいる常在菌なのです。
それが損傷した皮膚や粘膜を通って通常は細菌が存在しない筋肉や血液、などに溶連菌が入り込むと、稀に「劇症型」の症状を引き起こします。

どのくらいの年代の人がかかりやすいの?

子どもから大人まで広範囲の年齢層に発症すると言われていますが、特に大人が多いのが特徴となっています。今年は男性なら50歳から感染者が増え始め、70歳代以上で急上昇し、女性は50歳以降も男性ほどは増加せず、70歳代以上で急上昇するのです。

ー以下国立感染症研究所からの抜粋です。ー
過去6年の各年第1週から第11週の届出数は平均77.5例(範囲:39-106)であったが、2024年は335例(2024年第1週-第11週)の届出があり、これまでで最も届出数が多かった。
335例の届出について、性別は、男性192例(57%)、女性143例(43%)、年齢内訳は、20歳未満13例、20代6例、30代22例、40代46例、50代44例、60代68例、70代76例、80代以上60例であった。うち届出時死亡例は77例であり、男性44例、女性33例、年齢内訳は、20歳未満0例、20代1例、30代5例、40代6例、50代11例、60代16例、70代20例、80代以上18例であった。50歳未満において、届出数に占める届出時の死亡数の割合は13.8%となり、以前(2018 年-2022年:9.1%-24.1%)と同様となった。

主な症状

初期症状は
・咽頭痛
・発熱
・消化器症状(食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢)
・全身倦怠感
・低血圧などの敗血症症状
・筋肉痛、四肢の疼痛・腫れ

発病から病状の進行が非常に急激かつ劇的で、発病後数十時間以内には筋肉周辺の壊死を起こしたり、血圧低下や多臓器不全からショック状態に陥り、発病後数十時間で死に至ることもあります。
また、皮膚が侵入経路となった場合には、皮膚や皮下脂肪は黒ずみ壊死が進行して緊急で処置をしなければなりません。

感染経路

・怪我や手術による傷などの皮膚の傷口から侵入する経路(接触感染)
・鼻や喉の内側の粘膜から侵入する経路(飛沫感染)

また、局所や全身の免疫力が低下した時にでることもわかっているので、
・最近手術をした方
・帯状疱疹や水ぼうそうのように皮膚に潰瘍を作るウイルス感染を直近でした方
・感染抵抗力の弱い方(糖尿病、悪性腫瘍、肝疾患、慢性腎障害、腎障害)
・アルコール依存症の方
・非ステロイド抗炎症薬(ロキソニンやイブプロフェンなど)を普段からよく使用している方

などの方は特に溶連菌感染に対して注意してみましょう。
ちなみに、非ステロイド抗炎症薬(痛み止め)の内服自体には問題はないのですが、内服することにより炎症兆候を弱めてしまい診断が遅れてしまうこと、マウスの研究で非ステロイド抗炎症薬の投与により筋肉内の溶連菌の数が増えることもわかっています。

予防策

1番の侵入経路は『傷口』です。傷口が全身の血流に1番近いのです。
特に以下の点で注意してください。

ーーー傷口についてーーー
・傷口は石鹸と流水で清潔に保つ
・傷口には包帯や絆創膏を使ってきちんと保護をする
・傷口を処置する時は手を洗ったり、アルコール消毒をする
・深い傷や傷口の感染症(腫れや赤みや熱を持っている)場合は医療機関を受診する

ーーーその他の症状ーーー
・強い喉の痛みは放置しない
→溶連菌は喉の痛みの原因菌でもあります。
主に高い高熱や強い喉の痛みを特徴とします。


感染対策

コロナウイルスが落ち着き、以前と比べ感染対策も疎かになっている面もあるかと思います。今一度確認してみましょう。溶連菌も主な感染経路は「飛沫感染」「接触感染」
です。そのため、普段の感染対策は十分に効果があるのです。

・手洗い、うがい
・風邪症状がある時はマスクをする
・こまめに傷口を確認する

過度に行う必要はありませんが、できる範囲で行いましょう。

最後に

以上となります。また新たにわかることがあったら更新していきますね。
みんなで予防&早期発見していきましょう。

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