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午後のロードショー「パニック・フライト」

公開 2005年
監督 ウェス・クレイブン

公開当時 レイチェル・マクアダムス(27歳)  キリアン・マーフィー(29歳)

サスペンスとしては特にエッジの効いた作品ではありませんが、私にとっては内容などどうでも良く、ひたすらキリアン・マーフィーの麗しいご尊顔を拝むだけの作品でした。
彼のサイコパスな魅力が炸裂しています。
キリアン・マーフィーは元々好きな俳優だったのですが、本作ではその魅力を最大限に引き出していると言えます。

原題は深夜便旅客機を意味する「Red Eye」です。
邦題の「パニック・フライト」よりこちらの方が良かったのではないでしょうか。

ホテルのベテランフロント従業員のリサは、遅れて出発した深夜の飛行機に乗ったところ、空港でのチェック・イン時に知り合ったリップナーと隣同士になる。だが、リップナーは暗殺グループの一員であり、離陸後、リサの父親の命と引き換えに標的の政府高官一家が泊まる予定の部屋を変更させるようリサを脅迫する…

舞台は主に飛行機の中で、二人の会話劇が中心となっており、父親を人質にとりリサを脅すリップナーとリサの心理戦を描いています。

リップナーを中心とする暗殺集団のプランとは、ベテランホテルウーマンでターゲットとの信頼が厚いリサを利用して、ホテルの部屋を直前に変更させようというもの。
これにはやや、回りくどさを感じます。
リサはどう見ても20代の女性であり、社会人になって数年で顧客からそこまでの信頼を得ているとは想像しにくく、彼女の一声で政府高官がホテルの部屋を変えるなんてあり得るのでしょうか。
リップナーはこの計画のため、8週間にもわたりリサを尾行していたようなのですが、その間にもっとマシな作戦を思いつきそうなものです。

リサは暴漢に襲撃され身体に傷を負った過去があり、それがリップナーに反撃する起爆剤になっているのですが、なんだか無理やりで説得力に欠けます。

反撃方法も、隣の乗客が持っていたボールペンをリップナーの喉に突き刺すなど、素人女性にしてはあまりに強すぎる感があります。
いくら先が尖っているとはいえ、ボールペンを人体に突き刺すのはかなりの力と度胸が必要だと思うのですが…

リサはベテランホテルウーマンであり、冷静沈着な女性という設定なので、もう少し権謀術数を駆使して反撃して欲しかったものです。

終盤のリサの実家での追いかけっこも何ら斬新さはなく既視感満載で、ナイフで襲ってくるリップナーに対し、銃でとどめを刺すというありきたりなものです。

リサは緊張感マックスの極限状態に置かれているというのに、あまりに冷静で、汗も一切かいておらずヘアも一糸乱れないのです。
いくら修羅場を乗り越えてきたとはいえ、素人女性がこの状況でここまで機転が効くかどうかは甚だ疑問です。
終盤の実家でのバトルでも、リップナーに投げ飛ばされパンツ丸見えで階段から転げ落ちたあとも怪我ひとつ負っておらず、あまりにリアリティに欠ける演出と言えます。
私は彼女の余裕尺尺っぷりで、さらに緊張感を削がれてしまいました。

リップナーはプロの殺し屋を名乗っていいる割には、実によくコケるのです。
プロの暗殺者がここまで障害物に当たってコケる映画をあまり見た事がありません。
彼は意外にドジっ子なのかもしれませんね。
それにしても、イイ男はコケる姿も美しいですね。

この作品は2005年公開なのですが、作中にまだスマホは登場しておらず、リサは大きめの携帯を使用しています。
驚いたのは飛行機の各座席に電話が据え付けられており、クレジットカードを本体にスキャンして有料で通話することができるという仕様です。
舞台はアメリカですが、これは当時どの機種にも備え付けられていた設備なのでしょうか。日本の航空会社では見た事が無い印象です。
アメリカは国土が広大なため飛行機を利用する頻度も日本に比べ格段に高く、乗客はバスのような感覚で飛行機に乗るものと思っていましたが、意外にもリサのように飛行機が怖いという人も多いのですね。
無事着陸した時、乗客が拍手する光景も午後ローでは良く見られます。

キリアン・マーフィーは物腰柔らかい美青年にも関わらず、全身から殺気をみなぎらせ、女でも容赦しないプロの殺し屋を演じていました。
上目遣いにリサを睨むときの、野生の獣を思わせるギラっとした目が印象的です。
ブルーグレーの宝石のような瞳で、この目で見つめられてたら女性なら誰しもヘナヘナになってしまいますよね。

彼はクリストファー・ノーラン監督作品に数多く出演している印象があります。
「ダーク・ナイト」「インセプション」など彼は都会的でクールなSFの世界観にぴったりハマりますね。
2023年には何かと物議を呼んだクリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」に主演しています。
現在47歳になったキリアン・マーフィーですが、中年の渋みが増しいい感じに年齢を重ねています。

上映時間は88分と短く、登場人物や舞台が限定されており、コンパクトにまとまっている印象がありますが、やはり脚本の練りこみが少ない印象です。
ルックスも演技力も抜群な二人が主演だけに、この内容はあまりに残念と言わざるを得ません。
複雑なプロットを避け、シンプルなストーリーにしたのは良しと言えますが、先が読めサスペンスとしての緊張感に欠けます。

キリアン・マーフィーとレイチェル・マクアダムスのキャスティングだけが見どころですね。
主演二人の顔面アップの場面が多いのですが、彼らの「画持ちの良さ」たるや、美形二人の喜怒哀楽の表情を見るだけで眼福といえます。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★

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