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午後のロードショー「逃亡者」


公開 1990年
監督 マイケル・チミノ
公開当時 ミッキー・ローク(38歳) アンソニー・ホプキンス(53歳)

「ディア・ハンター」のマイケル・チミノ監督、ミッキー・ローク主演という事でエッジの効いたサスペンスかと期待して見たのですが、緊張感のまるで無いユルユルのサスペンスでした。

人質役のアンソニー・ホプキンスは「レクター博士」のイメージがあるためか被害者感が無く、中途半端な悪人役のミッキー・ロークに逃げて~!と言いたくなってしまいます。

砂漠地帯を砂埃を立てながら疾走する厳ついアメ車や、「セクシーダイナマイト」と呼びたくなるような美女が多数登場し、90年代アメリカ感満載です。

IQ130の知能犯であるはずのマイケル・ボグワースは、まったく無計画で行き当たりばったりの逃亡計画を企てるのです。
弟のウォーリーとその友人のアルバートらに協力を得るのですが、二人ともポンコツで人選ミスと言えますね。

ボグワースは弁護士ナンシーと落ち合う場所を確保するためコーネル家に押し入り家族を人質に取る。
コーネル家を選んだのも特に理由があったわけでは無く、その時の気分で選んだようです。

恋人ナンシーは警察に足取りをガッツリと掴まれており、ボグワーズ確保のため泳がされていた。

最初はコーネル一家に対して紳士的に振るまっていたボグワーズだが、ナンシーの到着が遅い事にいら立ち、隣人を殺害するなど徐々に凶暴性を露にする…

ボグワーズは予想外の事態が起こるとテンパってキレるなど小心者感全開なのです。

一家の長ティムは、若い女と浮気して妻と別居中だったものの、復縁を願っていた。
彼はボグワーズの暴力から家族を全力で守り、再び家族からの信頼を取り戻す。

ボグワーズ一味と人質になったコーネル一家の攻防が本作の見どころだと思うのですが、ボグワーズらは最初から手荒な真似はしないと宣言しており、仲間二人もどこか間が抜けていて緊張感がまるでありません。
監視の目もユルユルで、コーネル一家は勝手に見えない所で作戦会議を練るなど結構自由なのです。


女性弁護士ナンシーはカリスマ性を帯びたワルのボグワーズに精神世界を支配されており、恋人同士というよりは主従関係に近いものがあります。
ボグワーズの言いなりで危険を犯してまで逃亡計画に手を借し、「裏切ったことがばれたら、彼に殺される…」と、ボグワーズを愛しつつも恐れているのです。
この関係性はDCコミックスのジョーカーとハーレイクインを彷彿とさせます。

ナンシーを演じたケリー・リンチはモデル出身だけあり抜群のルックスで、映画の冒頭で車から黒いストッキングの美脚を現すシーンだけで惹きつけられてしまいます。

その他、劇中に思わず二度見してしまうほどの素人とはとても思えないエロい服装の女子が登場するなど、見る者を飽きさせない演出がなされており、私は正直彼女たちが一番印象に残っています。

アンソニー・ホプキンスは当時54歳で1991年「羊たちの沈黙」でブレイクする直前の作品ですね。
英国人俳優らしい気品と存在感がありますが、妻と年齢がかなり離れているように見え、子供たちの父親というよりは祖父に見えてしまい、本作ではミスキャストだったかもしれません。
「レクター博士」の怪演を考えると、ミッキー・ロークとキャスティングを逆にした方が面白かったかもしれません。

ミッキーロークは80年代「ナインハーフ」や「エンゼルハート」などのヒットで「世界一セクシーな男」と言われていた頃ですね。
私は彼の全盛期にはさほど魅力を感じず、むしろ肉体派ちょい悪おやじの現在の方が色気を感じます。
本作の頭脳派ワルの役柄は消化できていなかったように感じますが、女を手玉に取り翻弄させしめる魅力は充分に見せていたと思います。

本作のキャッチコピーは「愛されていれば、逃げ切れると思っていた」というもので、ボグワーズが恋人の愛を信じ、裏切られたことで半ば自暴自棄になり警察に投降するラストを迎えます。クールな知能犯の割には意外に一途なのですね。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★★


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