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~蜃気楼に花を咲かす者2 死神がくる夜~作 tukiyo
翔 深哉、、、つらいか、飲み過ぎたな、あの政治家の妻はお前を酔わせてどうにかしたい魂胆見え見えだな、よくやり過ごしてるよ、さすがは、ホストクラブ蜃気楼No.1の深哉様だ、、、
ほら、シート倒して寝とけ、、、着いたら起してやる
深哉 翔さん、なんだよ、、
べつに、、、俺なんにも言ってねぇだろ、、、それに、いちいち迎えにこなくていいんだよ、、、女の子じゃあるまいし、、、保護者のお迎えみたいでカッコ悪い
翔 (笑) 、、、保護者なぁ、、、まぁ、半分は、そんな感じだろうが、、、家出少年のお前を拾って育てたのも、、、俺だしな
深哉 半分、、、保護者ねぇ、、、じゃ、、、あとの半分は?何様なんだよ、あんたは?
翔 んん、、、そうだなぁ、あとの半分は、、、さて?、、、お前は、なんだったら嬉しい?、、、ホストクラブ蜃気楼のオーナー、、、なんでもわかってくれそうな相談相手、、、愛してやまない、たった一人の運命の人
深哉 は?馬鹿じゃねぇの、、、なんだよ、運命の人って、、、気持ち悪いジョーダンかましてんじゃねぇよ。
、、、あぁ、そうだなぁ、、、あんたは、、、俺にとっては、、、
都合よくいつも迎えにくる。おかかえ運転手、、、って、とこだ。
翔 あはは、、、そうか、、、ふふ、、、運転手か、、、ツレナイなぁ、深哉。色気がないねぇ、、、そんなんじゃ、、、取られちまうぞ、、、
深夜 なにを?
翔 例の新人に、、、No.1の座をな、、、
深哉 ちっ(舌打ち)うるせぇ、つまんねぇこと言ってんじゃねーよ、、、
あんな、薄気味の悪いガキに俺が負けるわけがねぇ、、、あのガキの取り柄って言やぁ、、、やたらと酒が飲める、、、それくらいだろーが
翔 ふふ、、、まぁな、、、だが、、、それだけじゃない。俺がみつけてきたんだから、、、
深哉 じゃ、他に何があるんだよ、どこがいいの?
翔 そうだなぁ、、、流星は、、、
口元が、、、やらしい。笑
深哉 なんだそりゃ!
翔 あの子は唇が異様になまめかしい。あれ、気に入ってる、、、あの唇の奥から、吐き出される言葉も、おもしれぇだろ? なにを考えてるかわからない感じ、、次は何を言い出すんだか、、、ちょっとワクワクしないか?
深哉 馬鹿馬鹿しぃ、物好きが、、、俺にしたら、翔さんこそ、いちばん、何、考えてるか分かんないんだよ、、、得たいが知れねぇ、、、あんたは、化け物だ。
翔 化け物ねぇ、、、笑、ひでぇ言い方だな。深哉、、、どうした?機嫌わるいねぇ、、、今夜は、、、やはり、流星が、、、原因かな
深哉 いちいち、カンにさわるんだよ、、、あんたも、、、あの野郎もな!、、、もう、いい、車停めろ、、、歩いて帰る
翔 、、、笑、、、怒らせちまったか、、、あ、おい、深哉、、、降りるのか?どこ行くんだよ、、、あーぁ、、、いっちまった、、、気が短いな、、、ふふ、、、拗ねたかな、、、かわいい奴。
間
流星 、、、じゃな、真奈美、、、
なんだよ、、、は?、、、泊まり?
そりゃ、無理だわ。疲れてるし帰ってゆっくり寝たい、、、言ったろ、、、俺は今日からホスト流星になったんだよ、、、初仕事だったんだ、、、明日もあるしね、、、じゃ、帰るわ、、、おい、、、なんの真似?
、、、離してくれ、、、帰りてぇ
、、、真奈美、、、俺、、、嫌いだなぁ、、、こういう、ウダウダ重たいヤリトリはさ、、、いい加減にしねぇと、もう、お前んとこ来ないよ。
、、、、、真奈美、、、泣くなよ、、、あはは、、、馬鹿だなぁ、、、ジョーダンだろ、、、真に受けて、、、かっわいいなぁ真奈美はさぁ、、、うん、いい子だ、、、そうそう。いつも素直に、、、俺の言うこと、、、よーく聴いてね。
ふふ、そうそう、俺は聞き分けがいい賢い女が好きなんだ、、、じゃあな、、、また、来るから。
間
、、、はぁ、、、疲れた
さすがに初仕事のあとに女んとこは、疲れ、ハンパねーな、それに、真奈美も俺を束縛したがるようになってきたし、、、そろそろ潮時かもな、、、
間
流星 、、、あれ?深哉さん?なんで、こんな時間に公園いるんすか?
ブランコなんか乗っちゃって、あ!あれかぁ、童心に帰るとか言うやつ?
深哉 ちっ(舌打ち)流星、なんで、てめぇが来るんだよ、、、てめぇこそ、こんな時間になんだって公園なんかに
流星 俺んち、あそこ、ほら、見えてるでしょ、あのアパート、、、公園の中通ると近道だからさ
深哉 ふぅん、じゃあな、、、せっかく近道したんだから、早く帰れよ
流星 なんだよーツレナイ言い方だなぁ、色気ないね、、、、かわいい後輩と意外なところでバッタリ遭遇~、あは、ドラマみたい! 恋が芽生えちゃったりして!
深哉 殺されたいのか、てめぇは、、、色気がないだと、、、さっきも同じこと、、、言われたなぁ、、、ちっ(舌打ち)思いだしちまった、、、ますます腹がたつ、イラつくんだよ、お前は!
流星 、、、あは、、、ジョーダンだよ、深哉さん、ほんと、いちいちおっかねーなぁ、、、あ、そうだ、翔さんは?一緒じゃなかったの?
深哉 は?なんで翔さんと俺が一緒だと思うんだ?
流星 なーんとなくねー、、、て、いやさ、、翔さん、車で迎えに行ったんじゃないの?深哉さんを、、、
翔さんだけどさぁ、、テーブルに挨拶まわりするじゃん、必ず客に酒飲まされそうになるけどさ、うまーくかわして、、、客には飲ませるけど、自分は一滴も飲まない、、、ずっと、あの人の動きをみていたけど、、、さすがは伝説。って言われるくらいはあるよね。かわすのもうまく受け入れてるように見せかけるのも、、、魔法みたいに上手だった、、、でさ、俺、バーテンに、翔さん、なんで、一滴も飲まないのか聞いたんだよね、、、翔さんはいつも、アフター行った深哉さん迎えに行くから、酒は飲まないってバーテン言ってたよ
深哉 あのバーテン、、、いらねーこと、くっちゃべりやがって、、、
流星 で、、、なんで、今、一人なの?、、、あ、もしかして、今日は、翔さんにフラレちゃったとか?
深哉 、、、てめぇは、つくづく面倒くせぇ野郎だな、、、フラレたんじゃねーよ、、、
ふってやったんだよ、、、詰まんねー話しばっかするからな、、、
流星 あは、そうなんだ、、、やぱ、一緒だったんだねー ふふ。つまんない話しがどんなだか知らないけど、、、ちょっと、なんか拗ねてんの?深哉さん?なんか、、、かーわいいなー
深哉 は!?、、、てめぇ、マジで殺ってやろうか!
流星 あはは、、、やられちゃうの俺、、、悪いけど、どっちかって言うと、やられちゃうより、やっちゃう方が好きなんだよね、、、あ、まぁ、深哉さんになら、捧げてもいいけどねー
深哉 、、、なに言ってんだ、てめぇは、、、もういい、うぜぇから消えろ、、、具合、ますます悪くなる
流星 笑笑、、、えぇ?、、ほんとだ、、、顔色わるーい。
はぁい、、、消えまーす。ゆっくり酔い覚ましてねー
深哉 つくづく気に食わねぇ野郎だぜ、、、まったく、、、翔さんは、、、なんであんな野郎に目をかけるんだ、、、
電話のコール音
翔 、、、俺だ、、、流星?どうした?
え?、、、深哉が?、、、そんなとこにいたのか、、、悪ぃ、、、あいつの機嫌損ねちまってなぁ、、、
急に車から降りて消えちまって、、、
どこに、行ったんだろうと思ってたとこだ、、まだ、具合悪そうか?、、、わかった、、、また、迎えに行くよ
、、、流星、、、知らせてくれて
ありがとな、、、お前は、、、実のところは、、、いい奴だよな、、、ふふ、その毒舌は照れ隠しか?
いろんなことをよく見てるし、、、察しもいいし、、、きっと、いいホストになれる、、、
これからも、頼んだぞ、、、いろいろとな、、、じゃ、また明日、店でな、、、、、
さぁて、、、急ぐか、、、俺の花がしおれてしまわないうちに、、、連れて帰って、たっぷり、、、潤してやらないとな、、、
間
深哉 そういや、、、翔さんとはじめてあった時も、俺、こんなふうに真夜中の公園でブランコにゆられてたっけ、、、まだ、俺は16のガキだった
オヤジに死ぬほど殴られて、唇切れて血が出てたっけ、、アチコチ痛くて、、、でもいちばん痛かったのは体じゃない、、、痛くて痛くて、、、いちばん血が出てたのは、、、
心だ、、、
あの時、、、俺は死のうと思ってた。
夜明け前にどこかのビルの屋上から身をなげてしまおうって、、、
うっすら開けてく空をぼんやり眺めていたら、、、翔さんに声、かけられたんだよな、、、おい、ボウズ、こんなとこでガキ一人なにしてんだ?って
、、、ビックリした、、銀色に染めた長い髪、、、切れ長な瞳でジーっと俺の顔を覗きこんできた。
人に見つめられて、こんなにドキっとしたことなんて今までに一度もなかった、、、
なんて、綺麗な人なんだ、、、いや、もしかしたら、これは人じゃないのかも、、、俺、、、もう死んでるのか?
まっ黒なスーツに身を包んだ、その男は、、、天使、、、いや、、、俺を迎えに来た死神か?
翔 俺は翔、、、クラブノワールでホストやってる、、、ボウズ、お前は?
深哉 俺、、俺は深哉、、翔?ホスト?俺を迎えにきた死神じゃないの?
翔 笑、、、ふっ、、、死神か、、、確かにな、、、深哉、、、行く宛がないのか?、、、じゃ、、、来るか?この俺と一緒に、、、
深哉 、、、え?、、、死神と?
翔 あぁ、、、そうだよ、、、お前に天国、、、見せてやろうか?
深哉 天国に俺、行けるの?
翔 あぁ、連れていってやるよ、さぁ、おいで、、、
深哉 そして、あの時から俺は翔さんに手をひかれて、、、ここまでに登りつめた、、、翔さん、、、俺の手を、、、
翔 みーつけた!深哉様!
深哉 翔さん!なんで、ここだとわかったの?、、、ほんと、不思議だらけ、あんたは得体が知れねぇ、、、だから、、、離れられないのかな、、、
翔 ふふ、、さぁ、、、おいで、、、
深哉、、ほら、手をかして、、、まったく、世話のやける花だ深哉、、、
お前って花はな、、、
さぁ、、、花の手入れの時間だ、、、ふふ
おわり
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