~蜃気楼に花を咲かす者~作 tukiyo
深哉「翔さん、、、お呼びですか?」
翔「あぁ、、、来たか、深哉、、、まぁ、いいから、とりあえず座れ」
深哉「、、、あの、用なら、早く済ませてもらえませんか?俺、まだ、店出る支度、終わらせてないんですよね、、、」
翔「、、、そうだな、、、もう来るさ、、、少し待てよ」
深哉「くる?なにが?」
流星「こんばんは」
翔「流星、、、来たな、、、待っていたよ」
深哉「ん?新人?」
流星「あ、深哉だ!スゲェ!本物、、、こんな間近でみれて、、、なんかテンションあがる!」
深哉「気安く寄るな、、、」
流星「クスクス(笑)あれ?照れました?ホストクラブ蜃気楼のNo.1の深哉さんは意外にもシャイなんですねぇ」
深哉「なんだと、、、てめぇ、、、」
翔「はいはい、、、熱くならないの。流星、先輩に対しての態度、悪いよ。気をつけて」
流星「はーい、ごめんなさぁい。はは、叱られちゃったぁ。ここいらで、その名を知らない者はいない。伝説のホスト翔さんにー。なんか、、、これもテンションあがる。」
深哉「なんだ、こいつ、薄気味悪いヤツ、、、」
翔「深哉、、、今日から働く、流星だ。俺が拾った」
深哉「、、、こんな得たいの知れないガキ拾って、、、翔さんも趣味悪いね」
翔「笑、、、その趣味の悪い男に拾われて、、、No.1にまで登りつめた奴もいるがなぁ、、、まぁ、名前は敢えて言わないけどさ、、、」
流星「へぇ、深哉さんも、翔さんがみつけたんだぁ!、、、同じく伝説のホストに選ばれた者同士、、、仲良くしてくださいね、、、ね、深哉さん」
深哉「(舌打ち)、、、うるせぇ、、、話かけるな」
流星「、、、おぉ、怖~っ」
翔「さ、二人とも、そろそろ開店だ、、、出る支度しろ、、、今日も店いっぱいに花を咲かせてくれ」
流星「はぁい!かしこまり~翔さんの気に入る花を満開にしてみせるよ、じゃ、俺ー、先に行ってますねー」
翔「深哉、気にいらないか?」
深哉「あれを気に入るほうがおかしくないですか?なぜ、あいつを?」
翔「笑、、、うーん、それはさぁ、、、お前を拾った時と同じだよ」
深哉「は?同じって?」
翔「あれ?言ってなかった?、、、お前を拾ったワケ」
深哉「聞いてないように思いますけど、、、」
翔「それはさぁ、、、好みだからさ、、、顔も、姿も、、、その声も、、、それから、飼ってみて、よーく分かったけど、、、性格も気に入った、、、だいぶ、ひねくれていて、飼い慣らすには中々に手こずったけど、、、手を焼くほどに、、、おもしろい」
深哉「はぁ?俺はあんたに飼い慣らされた覚えはありませんよ、、、」
翔「クスクス(笑)、、、はは、そうかい?まぁ、、、いいさ、とにかく、深哉、お前を一目で気に入ったからだよ、、、」
深哉「で、あの野郎のことも、一目ぼれして拾ったわけですか、、、」
翔「まぁ、、、そんなとこかな、、、とにかく、新人教育もトップの仕事のうち、、、しっかり躾ろよ、、、この店に合うようにな、、、」
深哉「(舌打ち)めんどくせぇな、、、」
翔「深哉、、、舌打ちする癖、、、なおせよな、お行儀が悪い」
深哉「(舌打ち)つくづく、めんどくせぇ、、、とりあえず、もうすぐ開店時間だ、、、出ます」
翔「そうだね、、、今夜も頼んだよ、No.1の深哉様」
深哉「言われなくても、、、今夜も、この店いっぱいに花を咲かせるのは、この俺だ」
(間)
流星「深哉さん!改めて!いろいろ宜しくお願いします!」
深哉「お前さ、、、経験は?」
流星「経験、、、ですか、、、うーんと、、、片手の指の数ではちょっと足りないくらいの人数とはやったことありますよ(笑)、って、、、あぁ、ジョーダンですよ、、、そんな、怖い顔しないでくださいって、、、ホスト経験でしょ、、、ありませんよ、はじめてです」
深哉「はじめてか、、、だったら、もう少し、真剣に身をいれてやれ」
流星「、、、笑、やだなぁ、、、俺、こう見えても、真剣なんですけど、、、」
深哉「(ため息)、、、とにかく、、、しばらくは俺にずっとついてろ、、、俺は手取り足取り教えてやるような親切心は持ち合わせていないんでな、、、見て覚えろ、なにが必要か感じとれ、できねぇときはこの世界からさっさと消えろ。わかったか」
流星「ひぃー、相変わらず、イチイチおっかねぇなぁ、、、」
深哉「なんか言ったか?」
流星「いいえ、なーんにも!はい!深哉さんにどこまでもついて行きます!」
深哉「ほら、お呼びがかかった、奥のテーブルだ、あれは、とある政治家の妻だ、、、プライドが高くて少々気難しい。しかし、上機嫌にさせりゃ、金払いはかなりいい、、、デカイ花を咲かせるいい種だ」
流星「へぇ、そうなんですね、ワクワクしますね」
深哉「お遊びじゃねぇんだぞ」
流星「、、、はぁい、分かってますよ、、、けど、、、仕事を充実させるには、、、多少の遊び心、、、これ、結構重要だと思うんだけどなぁ」
深哉「いちいち生意気なんだよ、、、初心者マークが、、、出るぞ!ついてこい」
流星「はいはい、お供しまーす」
(間)
翔「お疲れさま、流星、、、初仕事、どうだった?」
流星「、、、はい、まぁ、ちょっと疲れたけど、、、すげぇ、ワクワクしました。楽しかった」
翔「ふぅん、、、楽しめて何より、、、頼もしいねぇ、、、」
流星「あ、、、そうだ、深哉さんは?もう帰りましたか?」
翔「深哉?、、、あぁ、アフター行ったよ、、、今頃、あの政治家の妻と寿司でも食ってんじゃないか、、、」
流星「寿司、、、かぁ、、、大丈夫なのかな、、、」
翔「、、、どうした?なんか気になるの?」
流星「、、、言っていいのかな、、、あ、まぁ、翔さんは知ってるよね、、、深哉さん、あの人。酒、あんまり強くないよね。今日、何回もトイレで吐きながら接客してんの、、、あの人、なんでもないふうを装ってるけど、、、さすがに、何回も吐いてるから、ちょっと最後の方なんか、見るからに血の気ひいてて、、、具合悪かったろうに、、、アフターなんか、よく行けたなぁ」
翔「流星、、、君はザルだな、、、どれくらい飲んだ?何本もボトル空けさせたろう、、、大したもんだ、、、深哉の負担を減らしたね、、、」
流星「あは、、、翔さん、見てたんだ?、、、うん、俺はさ、酔わないんだ、、いくら飲んでもね、、、だから、平気!腹一杯にはなっちゃうけど、、、(笑)でも、深哉さんはちがう、、、あの人は思いの他、、、強くないよね」
翔「、、、ふふ、鋭いなぁ、流星、、、よく見てるね」
流星「まぁね、、、深哉さんからも、よく見てろ!って言われたしねぇ」
翔「、、、うん、そうだね、流星、、、俺からも頼んでおく、深哉を見ていてやってくれ、、、支えてやって、、、」
流星「はぁ?支える?それは、、、できないかなぁ、、、ふふ。俺、そんな柄じゃないし、、、ただ、、、まぁ、うまい酒、たらふく飲めて、伝説のホストが開いた店で、これまた次の伝説をつくっちゃいそうな、ホスト倶楽部蜃気楼No.1、の男、深哉の華やかな世界を間近で見物してワクワクしてたい、、、俺はそれだけだけどね、でなきゃ毎日が退屈すぎて、、、死にたくなるしね」
翔「ふふ、、、そうか、、、まぁ、理由はなんでもいいさ、、、深哉や、君たち、ホストの面々が、それぞれに力を発揮して、、、この蜃気楼に美しく艶やかな花を満開に咲かせてくれたら、、、それが、俺の喜びとなる」
流星「、、、ふーん、でもさ、翔さんはさ、、、悪人だよね」
翔「おや?なぜ、そう思うの?」
流星「、、、深哉さんが、酒、弱くて、吐きながら、、、体はってNo.1死守してるの、、、毎日、見てるんでしょ?付き合い長いよね?、、、辛くならないんだね、、、ずっと見てても、、、まぁ、俺らホストは、ただの商品にすぎない、、、ってとこかな、、、」
翔「、、、ふふ、手厳しいな。流星、、、俺はね、、、叶えたいんだよ。夢をみたい客の願い、、、それから、、、命を削ってでも、艶やかな花を咲かせて生きたいホスト達の生きる場所づくりを、、、」
流星「ふっ(笑)、、、へぇ、そうなんだ、、ま、、、難しい話は嫌い。俺は楽しめたらそれでいいから、、、それに辛そうで、ちょっと、かわいそうだけどさ、、、深哉さんが、あの綺麗な顔、歪ませて、具合悪そうにしてるの、、、見てると、、、ちょっとゾクッとするしね、、、」
翔「ふふ、、、それは、、、ちょっと分からなくもないな、、、流星、悪人だなぁ、、、君も、、、」
流星「翔さんほどじゃないよ。たぶんね!じゃ、今日はもう帰るから!また、明日も宜しくお願いしまーす」
翔「お疲れ、、、明日も頼むよ、、、また、この蜃気楼に花を満開に咲かせてくれ」
流星「はーい」
(流星出て行く)
翔「、、さて、、、俺は、、、迎えに行くか、、、具合の悪い、、、No.1ホスト様を、、、大事な大事な、俺のお気に入りだからな、花の手入れはマメにしないと、、、」
ーおわりー
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