太い実家で殴られた僻み

太い実家。今まで見ないフリをしてきた。

うちは関係ない。ずっとそう思っていた。スマホもノーパソも親が与えてくれた。大学の研究に使う本も、2000円までなら買ってくれる。恵まれている。

友人がノーパソを持ってきた。以前まではタブレットだが、授業中にカタカタとまあ喧しく板書か何かを打ち込んでいる。
彼女はバイトをしていない。大学に入学したばかりの頃はやっていたが、長く続けられず辞めていった。

彼女は言った。幼い頃は遊びに行くと言えばお金が貰えたと。今はそのツケが回ってきたのか、あまり貰えていないと。
彼女はブリーチをして髪を染めている。最初はピンク、現在は紫から色落ちして金髪。イヤホンはAirPods。タブレットで絵を描き、ノーパソで板書をとり、無線イヤホンで音楽を聴き、オタク趣味に金を使う。

どこからそんな金が沸くのか?

前提として言うが、これは僻みだ。嫉妬だ。金を稼ぎたいならもっと良いバイトをすればいい。それで済む話である。

最低賃金のバイトと大学の授業中で休みのない一週間。迫るレポートやゼミの課題。働かなければ金は入らない。勉強はしなければ進学できない。時間がない。金がない。休みがない。ようやく貯めた金でイヤホンを買う。液タブも買う。その傍ら、親にねだって無線イヤホンとノーパソとタブレットを買ってもらい、美容院代まで貰っている友人。



あ~~~~~~全てが嫌になる嫌嫌嫌嫌嫌

怒鳴る父親も、男尊女卑をする身内もいない。お金も貰える。バイトなんてしなくてもいい。研究に没頭する時間だってあるのに、「授業ダルい」と言って笑い、私よりも膨大な時間をかけてレポートを行うことができる。

僻み。嫉妬。努力しない自分が悪い。分かってる。でも私は私なりにやっているのだ。彼女よりもハードなゼミの課題をこなし、最低賃金ではあるもののバイトも行っている。学業以外はほぼ自腹。本を買ってもらえるだけ有難いと思えと言われれば言い返すことはできない。
太い実家で殴られる、なんて言葉で語れば怒られるかもしれない。だが少なくとも私にはそうだった。見えないようにしていた家庭の経済格差を、私は大学生にして叩き付けられたのだ。

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