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思い出を料理で伝える日&Anntiのシナモンロール作りの思い出

2023年7月16日、フィンランドのライフスタイル体験プログラムにて、シナモンロール作りの講師として参加させていただいた。エラマ(Elämä)プロジェクトのイベントで、岐阜県の高山市で開催された。
私の役割は、当日のランチ作りと、シナモンロール作りのワークショップの担当。
前回、ゴールデンウィークに、高山に来た際に、公園でコーヒーを飲みがら話していたことを実現する機会となった。

ランチ作りは、石原家の野菜と米を使わせていただけるとのことだった。地元の食材を使いたい自分にとっては、とてもありがたい条件だ。ただ、何をどれくらい使えるのか、何人来るのかが明確ではなかったので、メニューはいろいろと考えていたものの、確定はせずに高山まで来て、現地で決めることにした。久々に会うゆみさんは、相変わらず元気で、石原家のみなさんも元気そうで何より。まるで、高山の家族のよう。

土曜日の準備は、材料の買い出し、ゆみさんの同行していろいろな場所に行ったり、参加者さんとの交流をしたりして、何かと忙しかったが、新しい人にたくさん出会え、とてもわくわくとした気持ちを抱いた。帰宅後は、夜ご飯を食べた後に、次の日の料理の下準備とケーキ作りなどをしながら、緊張も入り交ざる夜を過ごした。何に緊張したのかというと、やはり、シンプルにみんながおいしいと思うものを作れるかということ。レシピはあっても、まともに従ったことのない性分が響いてくる。

ゆみさんのおすすめ、前日の気持ちの良い帰宅路:)

当日は、プログラムが行われる太陽の家について、プログラムが始まる前から、準備を初めて、にんにくが足りなくなるのか心配になったり、間に合うのか、常にドキドキしながら作っていた。人数は、参加者12人、スタッフ4人の16人分の料理を作った。フランスでは、ホームパーティーで70人分の料理を手伝ったり、スペインでは、25人分の日本料理を作ったこともあったので、大人数の料理を作ることは好きでもあった。が、完全に一人で作るのは今回が初めてであった。

今回のメニューは、

  • ライスサラダ:フランスにあるホストファミリーの実家で夏に食べた、タブレというクスクスのサラダをイメージ。ベトナムで食べた、米料理がおいしかったので、ピーナッツをトッピング、石原家の米、キュウリ、トマト、ニンニクを使用

  • 高山大豆の揚げないファラフェル:石原家のニンニク、ズッキーニを使用

  • ヨーグルトソース:スペインの農家で70人分のファラフェルを作ったときの、ヨーグルトソースをイメージ

  • 高山ビートルートと石原家の豆のサラダ:ホストマザーがよく作っていたビートルートのきれいな紫色のサラダをイメージ

  • 高山ビートルートの葉のハーブ炒め:北アイルランドの農家で食べた味をイメージ

  • 高山ナスのババガヌーシュ:中東の料理だが、クロアチアの島の農家で初めて食べたて感動したナスの料理

  • 石原家のシシトウ炒め:スペインのバーで食べた、シンプルだがおいしいピーマン炒めをイメージ

  • 石原家のズッキーニとレモンのオイルケーキ:イタリアの農家の10時のコーヒー休憩の際に食べた味を思いながら

そして、

  • 王道Anntiのプッラレシピで作るシナモンロール

切り方を間違えてしまったがご愛敬

お金を頂いて、料理をする機会は今回が初めてであった。時間までに間に合うのかというプレッシャーと、一人もくもくと作業をするので、「料理人は大変だ~!」と痛感した。そして、毎日家でご飯を作ってくれていた母や家族が集まる際に料理を作っていてくれた祖母の偉大さを改めて感じる瞬間ががあった。

しかし、そんなことも忘れるほどに、私の料理を食べてくれた方が「おいしい」と言ってくれたことが、とても嬉しかった。おかわりもたくさんしてもらった。留学で経験してきたことを、料理という形を通して、そのストーリーを伝えることができたのができたのではないだろうか。そのストーリーには、伝えたいメッセージが背景にある。そのメッセージの伝え方は、まだまだ考える必要がある。今回は、料理で時間を取られて、参加者の方全員に話すことはできなかった。自分の説明や想い、メニューから伝えたいことなどは、何等かの形で伝えたい。

シナモンロール作りでは、参加者の方のわくわくした気持ちが溢れていた。フィンランドのシナモンロールやこつなどを伝えながら、手を動かして、香りを楽しんだ。

オーブンに入れて焼きあがるまでの時間を、そわそわと待った。そして、ふわふわに膨らんで、甘いシナモンとカルダモンの香りが部屋中に広がった。用意してもらったおいしいコーヒーと共に、誰もができたてのシナモンロールをほおばった。Anntiから教えてもらったおいしいプッラをいろんな人に味わってもらえたこと、フィンランドの味、手作りの楽しさを感じてもらうことができたのではないだろうか。今回の機会を通して、多くの人に笑顔が差したら嬉しい。

ここで、Anttiのプッラ作りの日の思い出を共有したい。


2021年1月に渡航をしてから数週間がたち、フィンランドでの新たな暮らし、大学のオンライン授業に頭がパンクしそうなころだった。ホストファミリーが、週末にプッラを習う?と誘ってくれた。プッラ?と思ったが、フィンランドでよくある、カルダモンが生地に入った菓子パンのことだ。Anntiはプッラ作りのプロだからね。とまた新たな友人を紹介してくれた。今回は、シナモンロールを作るとのことで、映画「かもめ食堂」で散々フィンランドのシナモンロールに憧れ、カフェでも食べた後だったので、フィンランド人から学ぶシナモンロール作りにとてもわくわくとしていた。

2021年1月31日。一月末のフィンランドでは、雪がたくさん積もっていた。「さあ、スキーのセットも持っていこう!」と言うホストファミリーと共に、9時半に家を出発した。ヘルシンキでは、アパートに住んでいる人が多いので、ヘルシンキの外にあるAnntiの家は、自分にとってフィンランドでの初めての一軒家であった。家の外を雪かきしているAnntiに迎えられたが、彼は身長が2m近くあり、152cmしかない自分にとっては見上げるほどの高さであった。家に入ると、妻のEevaが明るい笑顔で迎えてくれた。家の中には彼女の趣味のアート作品がたくさん飾られていた。

Anntiについて家へ向かう

そして、早速、Anntiからフィンランドのプッラについて学び、作り方の流れの説明を受けてから、生地つくりに取りかかった。生地は倍量だったが、なんと電動の器械が生地を混ぜてくれた。でも、家で作るときは、しっかりと生地が滑らかになるまで混ぜるんだよとのこと。

生地作り

そして、生地を発酵させている間に、私の元気なホストファミリーは森にスキーに行こうと近くの森まで、車を走らせた。その日は、お腹がすいていたのか、とても疲労を感じて全然力が出なかった。なので、短めにしてもらったが、10㎞はスキーをしていた。疲れてしまったと言ったら、ホストマザーは新しい言語を使っているから疲れているんだよっと言ってくれた。そうなのかどうかは、わからなかったけれど、刺激で盛だくさんの日々を過ごしていたから、いろいろと溜まってもいたのだろう。

家に帰ると、サウナを温めて用意してれていたので、サウナに入ってリフレッシュ。フィンランドに風呂はないけれど、サウナがあるので、シャワーだけよりとても気持ちがよい。

15時近くにやっと昼ご飯。オニオンスープとノーザンパイク(hauki)のオーブン焼きとクリームソースとマッシュドポテト。フィンランドらしい、シンプルだけれど、素材の味がいきているおいしい料理を用意してくれた。

遅めのランチの始まり

一息ついたところで、やっとシナモンロールの成形をして、焼く作業に入った。オーブンに入れてから、10分もしないうちに、見事に膨らんで、きれいな焼き色の付いたシナモンロールが焼きあがった。シナモンとパン生地の甘い匂いが部屋中に満ちた。フィンランド人は、牛乳と一緒に食べるのが好きなのよと、コップに牛乳を注いでくれた。コーヒーも好きなので、コーヒーも淹れていた。とにかく、たくさんのシナモンロールと飲み物で、その日を祝福。3つほど食べたら、かなり満腹になった。フィンランドの文化や暮らしも、シナモンロールを食べながらいろいろと教えてくれた。
オンライン授業で、学生の友達を作るのが難しかったので、学生寮にも住みたいと思っていただ、フィンランドで現地の人と交流して、新たな経験が得られることはとてもありがたく、貴重な機会であることを実感し、感謝したいと思った。


以降、何度もAnntiのパンを焼いてきたが、今回は、私が、高山でシナモンロールの作り方を伝えれたことで、あの日の感謝・お礼をしたいという気持ちを繋ぐことができたのではないだろうか。

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