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北海道が好きになったわけ28

何回か書いていますが、僕らはとてもお貧しかった。僕の場合、親からの仕送りが届くとまずはアパートの家賃を払い、次に銭湯のチケットとタバコを1カートン購入。残ったお金で米とパンと納豆を買った。

浦茂アパートの住人はそれぞれの貧乏レシピを持っていて、色々と教わった。

中でも気に入ったレシピが3つある。

朝食でよく食べたのは、青森ボーイ・澤村のマヨネーズパン。食パンにマヨネーズをモリモリっと乗せてトースターで焼くだけ。マヨネーズが少し茶色っぽくなったら出来上がり。コレが激うま。サクッとしたトーストとマヨネーズのクリーミーな食感。酸味がいい具合に効いていて食欲を増した。ちなみに、北海道では食パンのことを角食(かくしょく)と言います。

お昼は跡見さんのお雑煮ラーメンをよく食べた。袋麺は1袋に2つ入っている「マルちゃんダブルラーメン」。コレを普通に作りながらお餅をぶっ込む。すると、麺を茹でている間に少しお餅がやわらなかくなり、麺とスープとからんで絶妙な美味しさに。どの味でも美味しかったけど、僕は味噌味が1番好きだった。

晩飯でたまに作ってのは跡見さんに教わった青椒肉絲モドキ。材料のピーマンは一緒だけど、牛肉の代わり挽肉を、タケノコの代わりにジャガイモをそれぞれ使い、仕上げはクックドゥの青椒肉絲のソースを掛けて混ぜれば出来上がり。
クックドゥだから、味はもちろん間違いない。そしてなんと言ってもジャガイモと挽肉の食感がとてもいい。更に、ジャガイモを入れることでよりボリューミーになり、腹ペコ大学生の胃袋を満足させてくれた。この料理は息子が気に入ったので、今でもしょっちゅう作っている。

あと、学生時代ではないし料理でもないんだけど、北海道に来てビックリした食べ物が2つある。
いや、ホッケのデカさだとかトウモロコシの甘さだとかジャガイモと塩辛が合うとか、ビックリしたのは色々とあるんだけど、中でもこの2つは衝撃的だった。

ひとつ目は嫁の田舎である砂川で食べたトマト。田舎の家の庭に成っていた真っ赤に熟したトマトをもいでそのまま齧った時のこと。今まで食べていたのは何だったんだというほどの衝撃。完璧な状態まで成ったまま熟したトマトってこんなに美味しいんだ!硬さも甘さも塩味も、全て完璧だった🍅

もうひとつは利尻島で食べたウニ。ウニが超好きだったので、到着したフェリー乗り場でもすぐにウニ丼食べて。居酒屋で食べた晩飯もウニ食べて。お祭りやってたから屋台のウニ丼食べて。2泊3日の利尻島旅行で5杯くらいウニ丼を食べた。けど、なんていうか、美味いのは確かなんだけど、想像の範囲というか。少し感動はしてるけど衝撃はないというか。
帰る日になって、宿の方が「フェリー乗り場の裏手にある漁師小屋みたいなとこ行ってみ」と教えてくれたので行ってみたら、そこで食べたウニは想像なんて遥か彼方に吹っ飛ぶくらい、衝撃的な美味さだった。未だに実現できていないけど、あのウニだけの為に親を利尻島に連れていきたい。

味の記憶って結構長い時間残っていて、トマトとウニは20年以上経った今もよく覚えている。

あ!そうだ!書いてて思い出した。
東京の谷中ちゃんちに遊びに行った時に、お婆ちゃんが握ってくれた塩むすびも、硬さといい柔らかさといい塩加減といい完璧だったなぁ。

お婆ちゃんの塩むすびはもう食べることができなくなったけど、トマトとウニはまた記憶を上書きしに食べに行きたいな。

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