生きる選択 1

「困難事例だけどいける?」出勤すると洋子さんから提案があった。
※困難事例※
他の事業所が入っていたが、本人の対応などにより困難が生じて正常なサービスが提供できない困った事例の事

仕事がうまく入らないこともあり、うける事にした。
名前は成田さん 要介護3男性
食べる事が好きで、重度の糖尿病にてほぼ寝ている生活。透析に週3回通っている。
だが血糖値が安定せず、視力低下も著しい。緑内障もある。
介護に対して拒否があるようだ。

毎日入ってほしいとの依頼で、顔合わせ。すると私の顔を見るなり
「クッキー買ってきて」という。
クッキーは自宅のマンション1階にある個人商店で買ってくれとの事。
それをしないとケアを受け入れないという。

なるほど、甘いものと引き換えにケアを受け入れるという事か…。なるほど。だが、同席した洋子さんは
「それなら帰ります。私はあなたの為にケアを手配してます。でも、お菓子は毒なのでそれに加担はできません。」
本人は一瞬困った顔をしたが、その後すぐに怒りだし
「じゃあ帰れ!!」と怒った。
洋子さんも応戦し
「なら帰ります」
と譲らない。あっけにとられる私たちを背に本当に帰ってしまった。
え?…帰ってしまったよ…。
すると本人が
「便が出てんだよどうすんだよ!!」
といっている。ただ、私たちはケアマネジャーの依頼が無いと動けない。

数分経っても、帰らない洋子さんは、マジで帰ったのか?
とりあえず換気しましょとドアを開けたとき、洋子さんが隠れていた。
洋子「なんか言っている?本人」と。
私が「おむつ変えてくれと…便が出たそうで」
そういうと洋子さんが部屋へ行く。
本人「おい、オムツを変えろ」
洋子「介護は平等、利用者様でもないし、従業員様でもない。お互いが同等でないといけないんだよ。だからおむつを替えてというなら替えますが、どうしますか?」と畳みかける。

本人は勢いに圧倒されたのか、お願いします…と返し交換することになった。その場で契約をし利用となったのだが、ここれは始まりの序章にしかすぎなかったのだ。

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