no title

帰る気分じゃなかったから、帰り道の途中にあるお風呂屋さんに寄った。
何回か来たことがある。ここで働きたくて、系列店が新しくできたとき、アルバイトにも応募した。結局、労働時間の条件が大学生には厳しかったため、泣く泣くあきらめた。

お風呂という日常すぎるルーティーンをあえて外でやること、一人でなく、名前も知らない人と一緒にお風呂に入るということ。
一人になりたくないけど、私を知る友人と話したい気分でもなくて、誰とも話さないけど誰かがいるお風呂屋さんがちょうどよかった。マジで救われた。救済の風呂^ - ^

前回ここに来たとき、なんか行ける気がして調子にのって43度のお風呂に入り案の定のぼせて倒れかけた。そのときの教訓があるので、今日はちゃんと水を飲んでから入り、41度のお風呂に10分くらい浸かって、出た。人間は学ぶからいいし、学ぶからだめだなと思う。

一人の若い女性が、やんちゃな子どもを三人連れてお風呂に入っていた。私は脱衣所で下のロッカーを使っていたのだけど、カギを開けようとしたらまだ天使のような顔をした男の子が私のカギに興味を持って、私が開けたロッカーのカギをもう一度閉めた。そして満足げに私の顔を見た。私は咄嗟に、「あ、ありがとう」と言ってしまった。
最初はロッカーを開けてわたしの荷物全部出したりしたらどうしようと思ったけどそんなことはなくて、ただただその笑顔の可愛さに笑ってしまった。
何がありがとうなんだと自分で自分に思ったけど、私を笑わせてくれたことに感謝したんだな、たぶん。
お風呂から出てから、あれは神様が遣わしてくれた天使だったのかもな、と思った。そう思うことで救われた気持ちになった。


まだ帰る気になれなくて、お風呂屋さんと同じ駅にあるカフェに行こうと思った。ここも何回か行ったことがある。夜遅くまで営業していて、なんとなく帰りたくないときに寄ってほしいカフェだと店長さんがSNSに書いていたのを思い出して、寄ろうと思った。
SNSをチェックすると、数十分前に店内が空いていると投稿があったので、ナイスタイミング!と思って足早に向かったが、私が着いたころにはちょうど満席になっており、優しい店長さんは私が再び戸を閉め切るまで丁寧に謝ってくれた。
そう、なんでもうまくいくと思ってはいけない。すべてはタイミングだ。


まあ夜も遅いし、諦めもついたので帰ることにした。
有線イヤホンで、爆音で音楽を聴く。
電車が人をぱんぱんに詰めて駅のホームにやってくる。こんな時間まで電車が満員なんて、本当にこの国はどうかしている。
絶対音漏れしているからさすがに音量を下げた。


思ったよりも冷静だ。あの時の絶望とは違う。
希望すら感じる。
私が三年半という期間で、自分という存在をこの世に認識して、悪いところを見つめて、1人で考えたことが少しは役に立っているのかもしれない。直っているかはべつだけど。
私はいろんなことに手を出しては中途半端にやめていくけど、それが意外と私を救ったりするから、間違ってなかったのかもしれないと思う。

前から見たいと思っていた映画の明日の回のチケットを買った。
今まではドアの近くの端の席のチケットを買っていたけど、珍しく真ん中の方の席を買った。


映画を見て、それから、これから私は


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?