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八月納涼歌舞伎第三部 狐花 観劇

小説家の京極夏彦さんが30周年記念で歌舞伎のために作品を書き下ろし、脚本もするという話題の新作、「狐花」を幕見席にて観劇した。(2024.8)

SNSの評判は二分されており、「歌舞伎らしくない」「セリフ劇で面白くない」という意見と「京極先生らしくて凄く面白い」「言葉が現代口語でわかりやすい」という意見。また「面白かったけど歌舞伎座でやる演目ではない」という意見もあった。
これは自分で見てみないと!と思って行ってきた。
個人的にはとても面白かった。
子供の頃から横溝正史や江戸川乱歩のミステリーのドラマ化作品を沢山見て育ったため、すんなり受け入れられた。座敷牢とか花を犯行予告として置いてくるとか実は兄弟で血が繋がってるとか、よくある設定だけど、大変好み!

ポスター


まず、私は京極作品は読んだことがなく、歌舞伎も昨年の丁度8月から見始めた初心者。なので特に歌舞伎らしさにこだわりはないし、京極作品にも馴染みがないため、途中、幸四郎さんの役、なくてもいいかも?くらいに思ってしまった。いや、この役はおそらく主役なんですけどね。金田一耕助とか明智小五郎的な感じ。この舞台の世界観の中で若干浮いてるように感じたんですよね…。
だけど最後まで観たら、必要で重要な役だった。

曼珠沙華って不思議な花だ。都会に暮らしてるとあまり馴染みがないが、田舎で暮らすと、突然お彼岸の頃に田んぼを囲むように真っ赤な花が列を作って咲いている。それまで全く気づかないので、ビックリする。しかも、毎年ちゃんとお彼岸の時期に咲くのだ。手折ると汁に毒があるからダメだよ!と言われ、更に神秘的な感じがした。
だから、この花を題材に小説を書くというのは、とても納得できた。そして舞台で一面の曼珠沙華が観れると聞いて、俄然観たくなったのだ。(昔、そんな一面の曼珠沙華が出てくる漫画を読んだこともあった)

役者は皆んな素晴らしく、贅沢な配役。(幸四郎さんはセリフ量が多過ぎるためか、所々声が小さい時があって、少しアレッとはなったけど)
七之助さんはハマり役だし女形の皆さんもそれぞれ素晴らしい!
勘九郎さんは流石の安定感。何をやっても、主役でも脇役でもしっかり役に入り作り上げてくれる。
幸四郎さんと勘九郎さんの役が逆パターンも見てみたいかも。
観にきて良かった。


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