【ガス】欧州のガス需給①

ガス価格を分析する二つの視点

さて、先日の「【ガス】暖冬予測で急落」にて、ガス価格を分析する際には、
①天候事由と、
②受給の構造的な要因

この二つに分けて考える必要がある、と述べました。

では、この二つの視点について、少し敷衍すべく、去年2022年の大きな流れから復習したいと思います。

欧州のガス危機

2022年2月24日、ロシアがウクライナへ侵攻しました。
侵攻当初、2014年のクリミア併合時の電光石火の味をしめていたロシアは、今回も短期戦で決着がつくだろうと見込んでいましたが、ウクライナの激しい抵抗を受け、戦況は拮抗し、2023年3月現在も未だ戦争の出口が見えない状況です。

2022年2月下旬の侵攻直後は、石油・ガスといったロシアの主要資源の供給が一気に途絶するのではないかとの憶測からいずれのコモディティも高騰。しかし、石油・ガスを始めその憶測が外れ、むしろロシアの生産・輸出が好調に推移したことから徐々に価格を切り下げていきました。

戦争が長引く中、西側諸国はウクライナへの支援を強めていき、ロシアの一番の収入源である石油の輸入をボイコットする動きも出てくる中、ロシアとして欧州(特にドイツ)のWeak Pointである天然ガスを政治的・軍事的なカードとして切ることとしました。

ロシアは、2022年6月下旬以降、ロシアとドイツを結ぶパイプライン「ノルドストリーム」のガス供給量を段階的に絞り、夏には供給量を0としました。

これが2022年の「欧州ガス危機」です。

(続く)


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