「定年オヤジ改造計画」から考えた子育てのこと
ミニチュア作家のいわなり ちさとです。
紹介した作品は販売します。気軽にお問い合わせください。
郷ひろみが主演して話題になったドラマの原作です。
私はテレビを見ないので、どんな風だったかは全く知りません。
同級生の男性が自分もやらかしていたとかFBで話題にしていたので、原作を読んでみました。
主人にも読まない?と言って渡しましたが、予想通り投げっぱなしでした。読むのが怖かったかな?面倒だったかな?(笑)
定年を迎えて、自分と家族、とりわけ妻との関係がよくないことに少しずつ気づいていく主人公常雄。
フゲンビョウ(夫源病)と聞いて雲仙普賢岳が関係する病気なのかと推測するほど世間とずれていて、自分のがんばりだけを誇らしく思っている人です。
奥さん十志子はそんな夫に文句言わずに世話してきた挙句不定愁訴を訴え、夫源病と診断されているのに、ただの怠けと断じるあたり、つける薬のない有様です。
うちは私が十志子のような、我慢する人ではなかったので、20年くらい前に何度も何度も喧嘩しました。
仕事だから仕方ないだろうという言葉を何度も聞かされました。
私が町内会の仕事で遅くなってもみんなにごめんねと謝るのに、ご飯を食べに行こうと約束していても平気で待たせたり、、、
熱が出て、早く帰ってきてと頼んでも寿司買ってくればいい?という軽いノリだったり、今日は飲み会なんだというからせめて1次会で帰ってきてと言ったのに12時に帰ってきたり、、、
ひどいことをされると覚えているものです。作中でも高熱でふらふらしても子供たちの世話をしたのにと十志子さんはぽつりと言っています。
最後にリップサービスでいいから、謝ってくれないかと言ったけれど、完全に拒否されたので、その時から私たちは子ども2人と私の3人で家族なんだと思うことにしました。主人は稼ぐ人。
その後、10年くらいして、息子たちが大人になった時には私が彼らを洗脳したので、自分になつかないと言いました。今さらね~
洗脳し返せばいいと返しました。
今は主人の改造はとうにあきらめて、できないんだから仕方ないわといつも思っています。
もちろん、私にも欠点はいっぱいあるでしょうから、お互い様だろうとは思っています。だから、普段は別行動をして最低限のつながりを持って生きています。
低値安定の夫婦だと思っています。子育てはきちんとしましたし、そのためのお金は稼いでくれましたから、そのほかのことには眼をつぶります。
普通の奥さんではなく、作家で自分の工房を持っているのは精神衛生上最高に幸せです。
また、常雄は実母を母性の象徴のように何度も語るのだけれど、実家の兄姉は至極冷静に母は子ども嫌いだったと論破します。
世間の神話のような母性信仰にやられたんでしょう。なさけないことです。
その自分はまっとうな生き物だと思っていたのだから思考しなくなるとなんとも、、、です。
常雄の兄が政府が仕事する男性と家を守る女性というカタチを工場や会社の仕事効率をあげるためにぶちあげたという説明をする場面があります。
兄弟はちゃんと世情を見て、判断できているのです。
都会の大企業に入って我慢しているうちに自分の考えを放棄してんでしょう。そうしないと企業で生き残れなかったのかもしれませんね。
政府というのはいつの時代も近視眼的に政策を打ち出し、うまくいかないとわかるとなかったことにしてきたのだということがはっきりわかります。
真面目な常雄さんは踊らされた一人だったのです。
だからって政府を怒っても何も始まりません。
その時、その時に本当のこと、必要なことをわかってほしかったです。
常雄さんは長男の子供の世話をしなければならない羽目になり、女性の犠牲や男性の甘えに気づきます。
うちの場合は義母が主人をそれは大切にして育てました。本人がすべきことを姉にやらせたりしたそうです。
そのせいで自分はかしずかれるべきだと心底思っているという大きな問題がありました。
いつ、機嫌を直してくれるかなぁという期待だけで、私が提示した改善してほしい点はただただ先延ばしでした。
この時に悟ったのです。
時間や余裕があっても母親は男の子を必要以上に世話してはいけないと。
長男は高校を出て就職した時に一人暮らしをさせました。
周りからは厳しいとか変わってるねとか批判されました。そんなのどこ吹く風でしたが、、、
息子が最初さみしくて夜な夜なうちに寄るのを見て、心が痛みましたが、”いい加減にしなさい。新築のアパートに入居したのに、うちに来てばかりならお母さんがアパートに住むわ”と言った翌日から来なくなりました。彼なりの意地を通したのです。
途中から友人を巻き込んで同居したりしていました。
自分で知恵を絞っている様子はなかなかがんばってるなと思わせてくれました。
入社前には会社の規定を自分の有利なように勝手に解釈し、通勤費など目論見が崩れて困っていましたが、それも知らん顔していました。
一度新型インフルエンザに罹った時は病院に連れて行ってくれと頼んできたので、連れていき、うちに来るかと聞きましたが、いやアパートに帰るというので、料理を差し入れました。
2日ほど経ってから洗濯をしてやろうかといったら、今洗濯機をまわしてると言っていました。やってるね、いい感じだと思いました。
さすがに一人暮らしがいろいろな意味できつかったのでしょう。早くに結婚して今は3児の父です。孫を見せてくれてよかったです。
「改造計画」には母が原因の部分はなかったですが、実はここ大きいのです。専業主婦の息子可愛がりは大きな罪です。
私の知っている人は子育てが終わって息子が独立した数年後に自死しました。生きがいが息子しかなかったようです。
こんな事態は母も息子もつらいだけ。
子供は授かりものではなく、一時の預かりものだと思って、一人立ちする助けをすべきです。
亭主になる前の段階で私は大きなギフトを与えたと思っています。
主人も実家が無人になったので、そこで仕事終わりに自分だけの時間を楽しむようになりました。男性にかしずかないことは実はいいことなのです。
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