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【作品#2】「破片」 『最後の息子』

こんにちは、三太です。

始業式、入学式が無事行われ、新たな出会いの春となりました。

気持ち新たに頑張っていこうと思っている今日この頃です。

では、早速前回の「最後の息子」に続いて、今回は「破片」を読んでいきます。

初出年は1997年(9月)です。

今回も文春文庫の『最後の息子』で読みました。

あらすじ

 酒屋の息子、大海と岳志、そして父、昭三の家族の話です。

 大海は地元の大学を出て東京で就職、岳志は高校を出てそのまま酒屋の跡を継ぎます。

 2人の息子が幼い時に母は濁流に飲み込まれて亡くなってしまいました。

 その出来事は、もちろんこの家族にとって大きな出来事であり、じわじわと影響を与え続けます。

 特に、当時小学校二年生だった岳志への影響は大きく、母の喪失によって、付き合う女性に対して、ストーカーに近いような付き合い方をしてしまいます。

 ただ、それも当然上手くいかず、整理しきれない思いは、父が持つ廃屋の改装へと向かいます。

 その廃屋と自分の家を結ぶ通路の一画を舗装するときに、酒屋にあるビール瓶の「破片」を使って舗装し、地元で話題に上ります。

 その他にも、大海、昭三を含め、不器用な男たちの生活が描かれた話となっています。

出てくる映画(ページ数)

 今回はありませんでした。
 (ストーリーの中で、テレビ局が廃屋へ取材に来るという設定はありましたが・・・映画の名前は出てこずという感じでした)

感想

 最後のゴムボートのくだりは少し明るかったです。

 また、過去と現在がつながった印象もありました。

 このあとの作品でも描かれるのですが、男くさいというか不器用な男を描くのが吉田修一は本当に上手いなと思います。

 そして、「最後の息子」でも長崎は描かれていたとはいえ、その土地に密着した作品としては、この「破片」が一番初めになるということもわかりました。

 次回も吉田修一作品を読み進めたいと思います。

 では、今回も読んでいただきありがとうございました。

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