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【閑話休題#8】吉野朔実『シネコン111』

こんにちは、三太です。
映画レビューを書き続けているということもあり、こんな本を読んでみました。

吉田修一作品から出会い

このnoteでは、最近ずっと『パレード』の映画レビューを書いています。
そのため映画をずっと見ているのですが、同時進行で吉田修一作品も読み進めています。
その中で『7月24日通り』という作品に次のような文章が出てきました。

「あ、そうだ・・・。お姉さんも、『くらもちふさこ』とか、『吉野朔実』とか、読むんですよね?」そう言って、とつぜんめぐみが手にしていた数冊のコミックを私に見せた。

『7月24日通り』 p.106

どういう流れの記述かはひとまずおいておいて、ここに出てくる「くらもちふさこ」「吉野朔実」が気になり、調べてみました。
どうやら二人とも漫画家のようです。(すみません、恥ずかしながら私は存じ上げておりませんでした)
そして、吉野朔実さんは上記のような、映画に関する本をいくつか書いており、「これは読んでみよう!」と思い、購入しました。

感想

タイトルにもある通り、111の映画ガイドが書かれています。
これだけ多くの映画ガイドを読み、たくさんの魅力的な映画があることを改めて知りました。
「映画に出会えて良かった」と思える本になっています。
そして、いくつか見たくなった映画があったので、メモしてみます。

「マグダレンの祈り」(修道院に囚われた少女達が檻の中から脱出するノンフィクション映画)
「女はみんな生きている」(女達のサスペンス。怖くて優しくてタフなエンターテインメント。)
「WATARIDORI」(鳥達と人間達のドラマ)
「殺人の追憶」(実際に韓国のファソンで起こった連続殺人事件がもとになった映画)
「バッド・エデュケーション」(物凄いグラマラスな恋愛モノで、しかも人生のミステリー)
「ヴェラ・ドレイク」(堕胎の手助けをする家政婦の話)
「皇帝ペンギン」(ペンギンのノンフィクション映画)
「ククーシュカーラップランドの妖精」(フィンランド最北の地、ラップランドでの男女の物語)
「雪に願うこと」(北海道、帯広のばんえい競馬で、様々な人が、様々な思いを託す)
「カポーティ」(「冷血」を書く過程をノンフィクションにした映画)
「ボルベール」(家族を通して、「罪」「贖罪」「罰」を考える)

この11の映画は見たくなりました。
これらを眺めて思うのは、自分はけっこうノンフィクション系に興味があるのかなということです。
半分以上がそういった映画となっています。

自分のnoteへ

自分も映画レビューを書いているということもあり、(質はともかく)どこか参考にできるところはないかなという視点でも読んでいました。
監督に注目する書き方は参考にできるかもしれません。

ロマン・カチャーノフ

こちら『ミトン』も、もう何度観ても清らかで愛らしい。名作です。子供の頃に寂しい思いをした事のある人なら、じんわりしてしまう事請け合い。ロマン・カチャーノフという人は『チェブラーシカ』もそうですが、しんしんと寂しい気持ちを描くのが上手です。だから、とても優しい。(p.99)

ミヒャエル・ハネケ

『ファニーゲーム』で恐ろしいゲームを考案した哲学者ミヒャエル・ハネケ監督の新たな提案。この人の冴え冴えとした知性は、毎回映画を現実の一部に感じさせてくれて恐ろしい。娯楽ばかりを追い求めるのではない、映画の可能性や意味を考えさせてくれます。是非!!(p.183)

ペドロ・アルモドバル

ストーリーを説明しようとすればするほど訳が解らなくなる。それがアルモドバル。
この人の映画はいつも愛に溢れていて、混乱している。もし、この話を別な監督が撮ったとしたらどうだろうか?整然と人を並べて正しい意味をくっ付けて撮ろうものなら、その瞬間に映画は命を失うだろう。また、スキャンダラスな面ばかりに囚われると、それはけばけばしと虚しいものになってしまう。アルモドバルの作品は愛の気持ちで観なければ面白くないし、理解も出来ないのだと思う。(p.211)

ただし、これができるようになるには、ある程度の量の映画を見る必要がありそうです。
なかなかレベルが高そう。
でも、やってみたいです。

もう一つは、吉野朔実さんは漫画家で、それぞれの映画レビューに絵があるのが良いと感じました。
残念ながら、私は、絵は描けません。
けれども、一つできそうなことがありました。
それは俳句です。
ある本に影響を受けて、ここ数年、俳句を投稿し続けています。
俳句自体の上手さはさておき、感想にあるとちょっと雰囲気が変わりそうです。

映画への視界が広がり、愛が深まり、参考となった本でした。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

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